間違えましたっ!!

存在感の薄い者

文字の大きさ
4 / 20

ファースト・・・

しおりを挟む
私は朝までは今日は人生で最悪の日だと思っていたが、案外そうではなかった
彼が意外にも噂と違って優しくて照れ屋さんだということを知ってしまったからだ
今日は一日中彼と手をつなぎ、色々な場所を廻った
そして今、私達は2人でカラオケにいる

「ねえ、煉君次は何歌う?あっ・・・」
「俺はじゃあこれ」

そう言って私が持っていたタッチパネルを取り上げ、勝手に曲を選んだ
曲が流れだすと彼はマイクを持って最後まで彼の美声で歌い上げた
何回聞いても彼の歌声はキレイで優しい
すると彼はおもむろに語り出した

「俺実はこの曲が歌った中でも一番好きなんだ。特に最初のところなんか」

私はさっきの歌いだしのフレーズを思い出し、うんうんと頷きながら賛同した
ちなみに私もこの曲はよく聴くほうでこの曲はいつも心にじんとくる歌詞だ

「そうだよね!この曲すごくいい歌詞だよね」
「そうなんだよな~」

2人でこんなふうにワイワイしていると時間はあっという間に過ぎ去っていった
一日で私は今朝とは見違えるように元気になった
それというのも最初は色々な噂が付きまとう彼のことを怖いと思いながらも事情により仕方なくのデートだったが、私は彼の沢山の顔を知れて嬉しく、最後にはこうやって2人で楽しく盛り上がっていた

そしてあれから時間が経ち、外は闇に覆われていた
私は帰り道、自分の家の近くだからと言って私を家まで送ってくれている彼を見上げながら今日を振り返って感じたことがあった

『噂って本当のところどうなんだろう?』

この疑問を解決すべく、本人に直接尋ねることにした

「煉君・・・」
「ん?」
「あのね、煉君のう――」

だがそれに被せるかのように第三者が私達の前に立ち止まり、話に割り込んできた

「なぁお前、もしかしてあの相崎煉?」

その人物はいかにも不良といった男達だった
ところが煉は彼らを無視して、私の手を引きながらさっさと歩きだした

「おいこら待てよ、俺らんこと舐めてんのかっ!?」
「人違いだ」
「なんだと!?」
「走るぞ・・・・」
「え?」

彼は私の耳元でそう囁き、いきなり走り出した
私は引っ張られるままに走り、それからなんとかあの人達から逃げきった

公園に避難した私はへばりながらも息を整えたが彼は何事も無かったかのように涼しい顔をして息1つ乱れなかった
それを恨めしく思いながらも、さっきの人達を撒けたことに少なからずほっとした

「それにしてもさっきの人達なんだったんだろうね・・・もしかしていつも?」
「まあな・・・・・俺のせいで悪いことしたな・・・・」
「全然、大丈夫」
「そうか・・・家まで送る」
「うん」

そう言って私の息が落ち着いたのを見計らって、彼はまた私の手を引いて家の前まで連れて来てくれた

「ここがお前んち?」
「うん、送ってくれてありがとう」
「別に・・・」
「それじゃ」

私はあいさつをして家に入ろうとしたが、叶わなかった
彼が私の手を引っ張って阻止したからだ
もちろん私は疑問に思って振り返った

「何?」
「デートの最後は決まってんだろ?」

一瞬彼の瞳に凶器的なものが映った気がした
そう感じた次の瞬間、私は彼に強く引かれ相手との距離が0になった
その時、一瞬だけ唇に何か柔らかいものが触れた
私はその正体が何か少しの間分からなかった
でも彼の言葉によってそれがなんなのかが分かった

「ごちそうさま」
「っ!な、なっ何すんのよ!?」
「何ってキスだけど?」
「最低!!」

彼を突き飛ばして今度こそ私は家に入った
だから私は後ろで彼がとても切なく寂しそうな笑顔を浮かべていたことに気づかなかった
そして、すぐさま自分の部屋に入り、さっきの感触を消すかのように口が腫れそうになるまで手でぬぐった

「ファーストキスだったのに・・・!」

それからポロポロと1人涙をこぼした
______________________________________
ここまでありがとうございました!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と… 「Ninagawa Queen's Hotel」 若きホテル王 蜷川朱鷺  妹     蜷川美鳥 人気美容家 佐井友理奈 「オークワイナリー」 国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介 血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…? 華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

四季
恋愛
明日結婚式でした。しかし私は見てしまったのです――非常に残念な光景を。……ではさようなら、婚約は破棄です。

処理中です...