レンズに映る君の姿

夕悠

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わからない

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夏休み
「悪いな。夏休みなのに呼び出して」
「大丈夫ですよ。部活のことなんですから部長として当然です」
どうせ家にいてもぼーっとしてるだけだしね
「部長なぁ...そういや三年はもう引退時期か」
「そうですね。運動部は大会後、文化部はだいたい8月末ぐらいですね」
「ただ写真部は行事の記録係なんで9月末ぐらいですけどね」
「その前に秋大会があること忘れんなよ?」
「大丈夫ですよ。だから今こうしてデータ確認をしてるんですから」
「ははっ そうだったな」
よし
「先生データ確認終わりました。全員題名までオッケーです」
「ありがとな。そうだお前にちょっと聞きたかったことがあるんだけどな」
「どうしました?」
「日比谷のことなんだけどな。見てもてもらったほうが早いか...」
風太?
「ほら、あいつお前ばっか撮ってんだよな」
「えっ!?」
「同じモデルを撮り続けるのもいいんだけどこれじゃあお前が引退したら他のやつを撮りにくくなるだろ」
「そう...ですね」
知らなかった...いつの間にこんなに撮ってたんだ
「で、この写真結構いいやつが多んだよ」
「あぁ、なるほど。大会とかでも全然使っていいですよ」
「話が早くて助かるよ。このままにしとくのは勿体からな」
「そうですね。じゃあ僕はそろそろ帰りますね」
「ああ、ありがとな。気をつけて帰れよ」
「はい、失礼します」
風太はなんで僕ばっか撮ってたんだろ...モデルの子他にいるのにな
あれ、でも風太は僕のこと可愛いって言ってるし
むぬぬぬ....わかんない。部活始まったら聞いてみるか...
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「部活出れないんですけど!!」
「いきなり部屋に押しかけてきてなんだよ」
「インターンシップとか聞いてない!しかもなんで部活の日と丸かぶりなの」
どういう偶然?
「お前が忘れてただけだろ。部活出なきゃいけない理由でもあんの?」
「んん~ もうこの際伊織でもいっか」
「でもって失礼だな。なに?悩み事?」
「そう、風太の写真が僕ばっかでね」
「うわwそれどこで見た?」
「夏休み中に先生が見せてきた」
「顧問からバレるとかまじかよw」
「伊織....その反応知ってたでしょ」
「なんのこと?今始めて知ったけど」
「嘘つき。写真のこと知ってるんだったら理由も分かるよね」
「え~~っと」
「なんで?」
ごまかせないからな
「教えて」
「わかった!わかったからちょっと離れろ」
やっと観念したか
「はぁ、それはな風太が凪のことを好きだからだよ」
「好き?」
先輩として?
「好き。LikeじゃなくてLoveな」
「なんで...僕男だよ?」
「お前がそれを言うか?なんでかは知らないけど風太は本気だぞ」
「...伊織」
「なに?」
「好きってどんなの?」
「どんなのってずっと一緒に居たい、他の人と仲良くしてると嫌な気持ちになる、自分を見てほしいとか?」
分からない。なんで僕を?
「どうせ「なんで」とか考えてんだろうけど大抵好きに理由は無いから考えるだけ無駄だぞ。それよりお前は風太のことをどう思ってる?」
どうって...
「まぁ、時間はまだあるからな。ゆっくり考えろ」
「うん....とりあえず帰る」
「明日の集合時間遅れんなよ」
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