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第1章
驚きと無関心
しおりを挟む「は......?」
「真生先輩、美人でしょ?男子校で男しかいない中だとモテるんだよ。それ利用して生徒とか先生とか味方につけて理久先輩の手助けしてるみたい」
「あんなのただのビッチだろ...」
佐倉が吐き捨てるように言う。
「俺、去年から高等部のバスケ部の練習出てるんだけど、夏くらいにサッカー部とちょっと揉めたんだわ。そんで、嫌がらせ受けてこっちの部員一人怪我したんだ。サッカー部部停にしてくれって生徒会に掛け合ったんだけど、うちのサッカー部強いから大会に影響出たら困るって言われた。謝罪はあったけどそんなんじゃ先輩たち収まんなくて...そしたら真生先輩が来た」
眉間に皺を寄せる佐倉を黙ったままじっと見つめる。
「この件終わりにしてくれって服脱ぎながら言い出して...はっきり言って、先輩たちも揉め事の延長で怒ってただけで、怪我したやつのためって感じじゃなかったから、流されて真生先輩のこと輪姦して...見事に部員全員丸め込んでいったよ」
開いた口がふさがらない、とはこのことだろう。
あの人、そんなことしてんのか...
「真生先輩は会長の言いなりって言う人もいるけど実際どうなんだろうね。理久先輩ってそういうの嫌いそうに見えるけど。それに従弟がそんなことしてたら普通嫌だよね...」
佐々井の言葉に好きなやつなんかいないだろ、と思う。
あ、でも需要はあるってことか...
「それってバレたらまずくない?」
「んー、わかんないけど、先生にも手つけてるらしいから何も言えないのかも...」
佐々井が苦笑いしながら答える。
もう返す言葉がなかった。
「まぁ、普通に生活してる分には関わることまずないから関係ないだろ」
佐倉の様子から心底嫌いなのだろうということがわかる。
その後、くだらない話を少ししてから拓斗は二人の部屋を出て、自分の部屋に戻った。
ベッドで目を瞑りながら、二人の話を思い返す。かなり衝撃的な話ではあったし、驚いたのは確かだが、拓斗の持った感想は『男子校て男が好きなやついるって言うけど本当なんだな』程度のものであった。
佐倉の言う通り、自分に関係があるとは思えない。関わりたいとも思わなかった。
まぁ、平和に過ごせればどうでもいいし...
眠りに落ちる頃には、真生のことは完全に頭の中から消えていた。
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