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平和の訪れと旅立ち
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『ここに私達ノーマルと魔女の長い争いの歴史に終止符を打ち、これからは共に手を取り合って生きていく事を誓います』
テレビには、ノーマルの首相が映し出されていた。60代を超えたばかり首相はグレーの長い髪が特徴的で、若い頃はさぞかし色男と呼ばれたであろう端正な風貌をしていた。
首相はノーマルと魔女との平和を高らかに宣言すると、後ろに立っているロードの元に歩み寄り、二人はがっしりと固い握手をした。
ヒイラギとユダは、その様子をコミュニティに1台しかない古ぼけたテレビで見ていた。
「まさかこんな日が来るとはな」
コミニティの長老であるミズタは、嬉しそうな表情をしている。
あれから1ヶ月ほど経ち、ヒイラギとユダの二人は、少女の生まれ故郷であるコミュニティに来ていた。
ロードから託された文書を道中困難がありながらも、何とか首相に届ける事が出来たので、ヒイラギはミズタとの約束を果たすべく、生まれ故郷に一旦戻ることにした。
せっかくならと、ユダも一緒に来ないかと誘ったのである。
ヒイラギは、故郷のコミニティに戻ったその日の夜に、ミズタにこの旅で経験した事を全て話した。
少女が、あまりに仔細に渡って熱中して語るものだから、数時間以上も話しは続き深夜になっても終わらなかった。
それでも、ミズタはこの少女の話すことに熱心に耳を傾け続けた。
全て話し終わって満足そうな表情のヒイラギ姿を眺めていると、ミズタはこの少女の雰囲気の変わりように気付いて驚いた。
両親を早くに亡くして、常にどこかで周囲と心の壁をつくり塞ぎ込んでいた少女はもうここにはおらず、その姿は生命力と静かな自信に満ち溢れていた。
「これで本当に全て終わったな」
ユダは、コーヒーを飲みながらテレビを見つめている。
「はぁーっ、本当に良かった」
隣に座っているヒイラギも、感極まったような声をあげる。
「ところで、君はこれからどうするんだ?」
ユダは体ごとヒイラギの方に向けて、話し出す。
「私はまた旅に出ますよ。もっと広い世界を見たいのと・・・とある人を、探しに行きます」
「そうか、良ければ一緒にトウキョウに来ないかと誘おうと思っていたのだが」
「ユダさんはトウキョウに帰るの?」
「ああ、トウキョウに戻って、この平和が一時的なものではなく、ずっと続くように自分なりに頑張ってみるよ」
ユダのその表情は清々しく晴れやかだった。
翌日の明朝にヒイラギとユダは荷物を抱えて、コミュニティがある森の近くの砂浜に立っていた。
「それでは、またどこかで」
「ああ、元気でな」
二人は握手を交わす。
どこか淡白な感じの挨拶だったが、いずれ道が交わってまた会うだろうと言う予感があった。
互いに軽く手をあげて、ヒイラギは東に、ユダは西に逆方向に歩いて行く。
ヒイラギは砂浜を数歩歩いた所で立ち止まり、額に手を当てながら空を見上げた。
その雲ひとつない透きとおった青空に、一羽のカラスが大きな円を描いて飛び回っていた。
自由に大空を羽ばたいているその様子を、ヒイラギは眩しそうに目を細めて眺めている。
「さて、まずはどこに行こうかな」
少女は太陽に向かって、うーんと大きく伸びをした後に、一歩一歩踏みしめるように砂浜を歩いた。
テレビには、ノーマルの首相が映し出されていた。60代を超えたばかり首相はグレーの長い髪が特徴的で、若い頃はさぞかし色男と呼ばれたであろう端正な風貌をしていた。
首相はノーマルと魔女との平和を高らかに宣言すると、後ろに立っているロードの元に歩み寄り、二人はがっしりと固い握手をした。
ヒイラギとユダは、その様子をコミュニティに1台しかない古ぼけたテレビで見ていた。
「まさかこんな日が来るとはな」
コミニティの長老であるミズタは、嬉しそうな表情をしている。
あれから1ヶ月ほど経ち、ヒイラギとユダの二人は、少女の生まれ故郷であるコミュニティに来ていた。
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せっかくならと、ユダも一緒に来ないかと誘ったのである。
ヒイラギは、故郷のコミニティに戻ったその日の夜に、ミズタにこの旅で経験した事を全て話した。
少女が、あまりに仔細に渡って熱中して語るものだから、数時間以上も話しは続き深夜になっても終わらなかった。
それでも、ミズタはこの少女の話すことに熱心に耳を傾け続けた。
全て話し終わって満足そうな表情のヒイラギ姿を眺めていると、ミズタはこの少女の雰囲気の変わりように気付いて驚いた。
両親を早くに亡くして、常にどこかで周囲と心の壁をつくり塞ぎ込んでいた少女はもうここにはおらず、その姿は生命力と静かな自信に満ち溢れていた。
「これで本当に全て終わったな」
ユダは、コーヒーを飲みながらテレビを見つめている。
「はぁーっ、本当に良かった」
隣に座っているヒイラギも、感極まったような声をあげる。
「ところで、君はこれからどうするんだ?」
ユダは体ごとヒイラギの方に向けて、話し出す。
「私はまた旅に出ますよ。もっと広い世界を見たいのと・・・とある人を、探しに行きます」
「そうか、良ければ一緒にトウキョウに来ないかと誘おうと思っていたのだが」
「ユダさんはトウキョウに帰るの?」
「ああ、トウキョウに戻って、この平和が一時的なものではなく、ずっと続くように自分なりに頑張ってみるよ」
ユダのその表情は清々しく晴れやかだった。
翌日の明朝にヒイラギとユダは荷物を抱えて、コミュニティがある森の近くの砂浜に立っていた。
「それでは、またどこかで」
「ああ、元気でな」
二人は握手を交わす。
どこか淡白な感じの挨拶だったが、いずれ道が交わってまた会うだろうと言う予感があった。
互いに軽く手をあげて、ヒイラギは東に、ユダは西に逆方向に歩いて行く。
ヒイラギは砂浜を数歩歩いた所で立ち止まり、額に手を当てながら空を見上げた。
その雲ひとつない透きとおった青空に、一羽のカラスが大きな円を描いて飛び回っていた。
自由に大空を羽ばたいているその様子を、ヒイラギは眩しそうに目を細めて眺めている。
「さて、まずはどこに行こうかな」
少女は太陽に向かって、うーんと大きく伸びをした後に、一歩一歩踏みしめるように砂浜を歩いた。
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