< 小話まとめ >悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります

立風花

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三章

40話 モノクル / ジル

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ジルはモノクルを姐さん達からたくさん貰いました
生活費の為に売ったりもしましたが、気に入ったものは残してあります
毎日、微妙に違うのをかけている筈です


< 小話 >

――とある、食後の時間に

 紫の瞳が私の顔を不思議そうに覗き込む。

「ジルは、モノクルを取った方がいいと思います」

 最近、よく大事なご主人さまはそう言ってモノクルを取り上げる。

「一応、私なりに以前の姿と印象を変えてるですが……あと便利ですし」

 むぅっと音がするように口をへの字にするので、その口の端を人差し指で撫でるように持ち上げる。

「こちらの顔の方が可愛くてらっしゃいます」

「では、ジルの誕生日はいつですか?」

 誕生日? そんなものはなかったので困りましたね。旅芸人の時は興行が終われば打ち上げでいつもお祝でしたし、母が倒れてからは余裕はなかった。プレゼントなら日にかかわらず姐さんたちもくれましたし。

「さて、誕生日をしりませんので……」

 困ったように次の言葉を探すご主人さまは本当に素直だ。それが私にとって悲しい事なのか、大丈夫な事なのか迷って、継ぐ言葉を必死に探している。
 簡単に答えを導く道をつくって差し上げることはできるけど、あともう少しその心の中を独占させていただきましょう。本分にはそれますが、声に出さなければバレません。

「では、私がジルのお誕生日を作ってもいいですか?」

「もちろんです」

 その後、24歳にして初めて私に誕生日ができました。
 プレゼンとはなぜかモノクルでした。さて、モノクルをつけない方が良いとおっしゃったのは愛しい我がご主人さまだと思うのですが、どうした風の吹き回しやら。
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