< 小話まとめ >悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります

立風花

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三章

42話 弟と育児 / エルヴェ

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シュレッサー伯爵もお兄さんも大変距離の近いコミュニケーションが好き


< 小話 >

――とある日の学園内

「エルヴェ、お前も話してて直ぐ抱きつくけど……弟君は更に近すぎない?」

 研究棟の仲間の言葉に様子を見に行くために、1年の校舎に向かう。弟の口から最近友達の名前を聞く。
ノエル、クロード、カミュ様、アレックス王子、友達と呼ぶには恐れ多いが、弟が楽しそうに語るのなら、それでいい。

 母を失った時、ユーグはまだ片言でしゃべれるぐらいだった。
 シュレッサーは探求者の死を悔やまない。だから、悲しくても私も父も母を誇った。

――母様、偉いの。

 真似をして涙も流さない幼子には無理があった。程なく、毎晩叫ぶように起きて母を求めて泣くようになった。

――母様、いない。母様、どこ?

 父と一緒に子供の心理学や育児の研究を慌ててした。育児に答えはないらしい。
 私たちで母の穴を埋めよう。そう結論を出して、日に何度も何かある度に抱き締めた。
 夜、弟を抱き締めて寝るミルクの臭いと温かい体温は気づけば自分の穴を埋めていた。守っているのか、守られているのか。私も父も抱き締めて育て続けた。
 遠くに友達を抱き締めている弟を見つける。

「ユーグ! 抱き締めて話すのは、ダメです!」

 やり過ぎたかな? 気づけば私も父も人に距離が近いと言われるようになってしまったが、弟のあれはちょっと近すぎる。
 でも、笑う弟が満足げなら、それでいい。

「この方が落ち着くんだよね」

「ユーグ、耳を噛むのはなしです!!」

「えっ?だってお願い聞いてもらいやすくなるし?」

 それは、兄さん教えてないぞ! 誰だ、弟に変な事を教えたのは?!
 それでいい、とは兄さんは言えないぞ!
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