< 小話まとめ >悪役令嬢はやめて、侯爵子息になります

立風花

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四章

59話 お酒を飲み行こう / 騎士団配送係り

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またノエルが可哀そうな展開ですみません。
アレックスとジル。最初の出会いは同じ日ですが全然違う立場と接し方の二人。
最終章での二人による三角関係はずっと決めてました。
立風は三角関係等の揺れ展開も大好物です。
崩落発生まであと1~2話でそこから後半戦です。最後まで楽しんで書かせて頂きます。

<小さな設定>
今日は下の小話絡みの設定です。
クレイ従者の服装の時以外は口調が昔に戻ります。(クレイの過去は「精霊の子」小話)
レオナールにも全然主扱いが消えます。
そんな、クレイとレオナールがノエル就寝後にジルを連れて花街に飲みに行った時のお話です。
結構時系列は前になります。粛清より以前です。

<小話>

――ある懇親の席で

 酒を飲むと気が大きくなる。楽しいから話も大きくなる。
 花街の女の嬌声が、それをさらに加速させる。

 花街の広場には小さな屋台がひしめき合う場所があった。客は好きな料理と酒を買って、小さなテーブルで舌鼓を打つ。特にこの地区の料理は評判がいい。

 両手に女を抱えて、酒を飲む。金で雇った男に料理を運ばせて小金を撒く。人生初の乱痴気騒ぎだ。

「すごーい。男爵様ってお金持ちなのね。後で髪飾りを買って」

 一人の女の唇が頬に当たる。争うようにもう一人の女が肩にもたれ掛かる。

「二人も小鳥を買って下さる男爵様って、きっとすごい方なのね。こんなに優しくて、羽振りが良いなんて中央の方なの?」

「いや、私は騎士だ。だが、有能で将来を嘱望されてるからね」

 顎を撫でながら胸を張って言った言葉。これは嘘だ。何も知らない女が嬌声を上げる。

「すてきー! 有能な方なのね!」

 本当は輸送を担当する末端の騎士だ。
 有名な一族の名の入った書状を持つ男から、ちょっとした任務外の仕事を請け負った。騎士団の荷物に紛れ込ませて、頼まれた荷物を運ぶ簡単な仕事だ。荷物の中身も知らないから、大した事じゃない。

「ねぇ、服も買ってくれる? こんなに羽振りがいいお客様って久しぶりよ」

 女のおねだりに頷く。金はいくらでもあった。
 仕事の報酬は予想を超える金額になった。大金に浮かれる反面、身を超える大金への不安が金を早く減らしたい気持ちにさせた。

「男爵様の素敵な武勇伝を聞かせてちょうだい。ラヴェル伯爵の演奏会に行った事はある?」

「国王様や有名なヴァセラン侯爵やアングラード侯爵ともお知り合いなの?」

 耳に吐息を掛けられて、甘く囁かれる。語れる武勇伝なんてない。
 周囲を見渡せば、ここに貴族はいないようだ。羽目を外して嘘を語っても誰にも分からない。

「うむ。実は有名なアングラード侯爵は大した事ない。色々私が助言してやってるんだ。才能ある者を登用する政策も私を迎え入れたくて出来た。私は自由な下級貴族として穏やかに生活したいのに、レオナールに毎日のように助けてくれと頭を下げられて困っている」

 女の感嘆と同時に、隣のテーブルからドンと大きな音が響いて、宙を舞ったグラスがテーブルの上に飛んできた。零れた酒がテーブルとズボンの裾を汚す。

「うぉ! なんなんだ?!」

 グラスを弾き飛ばしたのは隣のテーブルだ。怒声を上げてそちらを向けば、女の一人が溜息と共に称賛の声を漏らす。

「いい男……」

 隣は三人組の男だ。一人は花街特有の遊び人、一人は黒街にいそうな悪漢、最後の一人は顔は伺えないが眼鏡に帽子の粋な商人だ。商人の顔は分からないが、遊び人と悪漢は悔しい程の美形だった。どちらも何処かで見た事がある気もするのだが、あのような身なりの知人はいない。

 遊び人風の男が立ち上がって、涼し気な整った顔に色男の笑顔を浮かべる

「ご無礼をお詫び申し上げます」

「おい! 弟、話し方に気を付けろ。ここは下町だ!」

 遊び人の丁寧な謝罪に悪漢が低く凄みのある声をあげる。慌てたように遊び人が少しだけ言葉を直した。

「ああ。そうですね! すみません。テーブルを叩いた拍子にグラスが跳ねてしまいました。ご容赦を」

 何処か引っかかるが、これほど派手な見た目の人物なら忘れる事はないはずだ。
 シャツの前を開け放した悪漢が、苛立たし気に床を蹴りながら敵意ある眼差しで睨む。鋭い眼光と凶悪な眼差しに思わず顔を背けてしまう。怒鳴り込もうと思っていたがそれも辞めだ。悪漢は騎士団でも見ない程、無駄をそぎ落とした鍛えられた体をしていた。

「……私は寛大だから許してやろう」

 鷹揚に呟いた私の横で、女たちが艶のある遊び人と逞しい悪漢に流し目を送り始めた。
 負けまいと新しい武勇伝を考え出す。随分前のお披露目の光景が浮かんだ。

「私だけでなく息子も優秀だ。私の息子はアングラード侯爵の息子を倒した! 侯爵の名に胡坐をかいた軟弱者で赤子の手をひねるようなものだった! アングラード子息は悔しくて泣いてしまって――」

 私の顔めがけてグラスが飛んできた。慌てて両手を挙げて顔を庇えば、服が酒でびしょびしょになった。

 さっきは睨みつけていた悪漢が敵意を消して、楽し気にゲラゲラと笑いだす。代わりに遊び人がぞっとするような目つきで睨んでいた。

「ははは。悪いね、男爵! うちの弟は酒癖が悪くてさ。グラスが投げたくなったらしい! ……にしても、うちの可愛い弟は本当に分かりやすいねー」
 
 悪漢が謝罪もそこそこに大笑いしながら、遊び人の首を抱えて頭をぐしゃぐしゃに撫で始める。不満げに眉を顰めて遊び人が言葉を返す。

「言われたくありません。ク……兄、さんだってキレたじゃないですか?」

「あれは、偶然。なんで、俺がレオ……旦那の為にキレなきゃいけない?」

 謝罪を受け入れてないのに、何事もなかったように進む会話に腹が立って立ち上がる。
 私を見て悪漢が好戦的な笑みを浮かべて、指を鳴らしながら立ち上がった。

「すごい、いい体……」
 
 立ち上がった悪漢のシャツから覗く上半身に、女が嬉し気な声を上げる。自分のお腹を見れば柔らかそうに揺れている。腹立たしさが増して、指先に魔力が集まった

「やーーめ! 今日は、もう少し食べたいものがあるから荒事はまだ禁止! フランチェル風のビスケとクルル鳥の焼き物だけは絶対に食べたいから座る!」 

 ぴしゃりと言い放ったのは眼鏡をかけた商人だ。
 悪漢のはだけたシャツの裾を引いて、両手に新しいグラスを握らせる。自分も二つのグラスを持って、ふらふらと陽気な足取りで私に近づくと同じ様にグラスを握らせた。

「うちの子たちが悪いねぇ。羽振りのいい夜に、乾杯。さぁ、皆も一緒に乾杯をしよう! いい夜に、乾杯!」

 グラスを勝手に合わせる。周囲を煽って高々とグラスを掲げる。飄々と陽気な男の声につられるように、乾杯の声があちこちから上がった。商人風の男が楽し気な雰囲気を泳ぐように、周囲の者達とグラスを合わせ始める。グラスの重なる音の中では怒るのが野暮な気がして、毒気を抜かれたように椅子に座る。
 甘い顔立ちに紫の瞳をやはり見たことがある気はするが、抱えの商人に該当する者はいない。

「おい。何か新しい食事と酒を買ってこい」

 用心棒の男に金を渡して、店に走らせる。服はびしょびしょだし、テーブルも酷いありさまだった。仕切り直しだ。
 二人の女たちは、私を忘れて隣のテーブルの悪漢と遊び人に熱い視線を送ってる。

 惨めな有様の自分に比べて、商人は一瞬でこの場の人気者になっていた。陽気笑いながらあちこちに呼ばれてグラスを合わせ、飄々と色々なテーブルで飲み歩く。時折、女には砂糖菓子のような言葉と視線を投げて、嬌声を上げさせた。

 食事と酒を運んできた用心棒の男に再び金を掴ませる。馬鹿にされたような状況で、このまま引き下がるのは面白くない。
 
「今度はごろつきを雇ってこい。路地裏に待機させたら、ニ、三人連れて呼びにこい」
 
 準備が整うまで隣のテーブルを観察する。結構な量の酒の瓶と広場で人気の料理がテーブルに乗っている。テーブルに漸く戻った商人が目当ての料理を嬉しそうに口に運ぶ間、遊び人と悪漢は水のようにお酒を煽っていた。
 相当酔っている筈だ。十人も用意すれば確実に勝てる勝算にほくそ笑む。

 じっと見ていたら、悪漢と目が合った。人の悪い笑顔になって、私の隣の女たち投げキスをする。

「素敵!」「いい……」

 女たちが呟いて、私を忘れて隣にキスを投げ返し手を振り始めた。悪漢が遊び人の手を無理矢理取ってこちらに振らせる、困ったような遊び人の色っぽい笑顔に女たちの嬌声が悲鳴に変わる。

 ここで負けるわけにはいかない。私の用心棒が見知らぬ男を数人連れて戻ってきた。耳元で路地裏に十人程、待機させていると囁く。
 男の矜持が私の虚栄心を煽る。女と隣のテーブルの注目を得る為に、テーブルを一度激しく叩く。

「あーあー。いいか。私はその辺りの庶民とは違う。いや! その辺りの貴族とも違う! あのアングラードを超える男だ。うちの息子はその後、アングラード子息を子分にしている。軟弱だから一から剣を教えてやってるらしい。私もアングラード侯爵に助けてくれと泣きつかれて渋々手伝ってきた。彼は私がいなければ何もできないダメな男のくせに、最近調子に乗っている。今は国王の政策に反旗する派閥を促して、一度お灸をすえてやろうと思ってる。まぁ、最後には助けてやるけれどな」
 
 流石に盛り過ぎたが、見栄というのは張り出したら止まらなかった。
 女たちは疑うような微妙な表情で私を見つめる。流石に嘘だと見抜かれてしまったようだ。これじゃあ、隣のテーブルへの威嚇にもならなかっただろう。

 隣のテーブルで三人の男が立ち上がった。
 威嚇が効いたか? 
 逃げて立ち去るなら好都合だ。わざわざここから引きずって行かなくても、路地裏に誘導できる。

「なんだ、帰るのか? 私の凄さを聞いて恐れをなしたか?」

 挑発するように言った言葉に、三人がこちらを見る。含むような笑みを浮かべた視線は完全に据わっていた。

「気に入らねぇ。世話を勝手に語られたくねぇな」

「腹立たしいです。虚言で口にされるのも不快です」

「聞き捨てならないねぇ。嘘だと思うけど気になる言葉もあるしね!」

 おのおの理解不能な言葉を私に吐き捨てる。どんなに怒ろうが、庶民風情が貴族に勝てるわけがない。
 だが、その凄みに思わず悪寒が走って、慌てて術式を書いて魔法を発動する。向けた下位の水魔法は目の前で消えた。酒に酔って書く術式を間違えたようだ。

「だめだなぁ。喧嘩するなら場所を選ばないと」

 商人がテーブルに銅貨を並べてから歩き出す。それに従うように二人の男が続く。広場の出入り口に来ると、商人が唇の端を上げて人差し指で挑発するように私を呼んだ。


 ごろつきを待たせた路地裏に誘導するのは簡単だった。
 予定通り路地裏で三人組を取り囲む。大枚をはたいて雇ったごろつきは十人を超えていた。じりじりと取り囲むように三人との間合いを詰めさせていく。

「貴族に喧嘩を売ってタダで済むと思うなよ?」

 人数だけでも圧勝なのは見えていた。さっきは酔って上手く発動できなかったが、いざとなれば魔法もある。

「これは、昔を思い出して気分の悪い場面です」

 忌々し気に遊び人が呟く。

「弟、相変わらず繊細だな! もう少し人生は前を向け、前を!」

 悪漢はなんだか異様に生き生きとしていた。

「ク……兄さんみたいに、喧嘩好きでお気楽にはできていないので」

「あんまり暗いと楽しい事を逃すぞ」

 しつこく言い合う遊び人と悪漢に向かって商人が手を叩く。

「ジ……弟くんも、兄くんも仲良くしなよ。皆で懇親の為に飲みに来たんだしさぁ」

 商人の言葉に二人の男が一斉に振り返る。

「「飲みの最後に挑発して喧嘩展開にした旦那に言われたくない!」」

 勝手に内輪もめする姿に、これ幸いとごろつきをけしかける。色男があっさりと殴り掛かった一人を躱して蹴り上げると、簡単に一人が崩れ落ちた。
 手近にあった棒を持って二人のごろつきが悪漢に飛びかかる。同時に勢いよく振りかぶった棒を、悪漢はそれぞれ片手で軽々掴む。軽く払うかのように棒ごと二人のゴロツキを振り回すと壁に叩きつけた。凶悪な笑顔で二本の棒を目の前で叩き折ってその力を誇示する。
 
「お見事! うちの子は皆、優秀だねぇ」

 楽しそうに後ろで眼鏡の男が手を叩いて笑う。よく見れば一番こいつが優男で弱そうだ。

「あの眼鏡を狙え!」

 私の言葉に一斉にごろつきが飛びかかるが、眼鏡の男に辿り着くより先に二人の男に叩きのめされた。
 相手の想像以上の強さに下がり始めた士気にいら立って、再び魔法を発動する術式を書く。
 怒りと酒で手加減は消えていた。中級の水属性の魔法は、路地だけでなく区画の一帯を水で押し流す事になる。
 
「レオナール! 魔法ぐらいは働け!」

 魔法の発動と同時に悪漢が叫ぶ。商人が軽い調子で術式を書くと路地裏の闇が一段と濃くなって、私の魔法を軽々と飲み込んでいく。

 闇魔法、レオナール、眼鏡の奥の紫の瞳。漸く私の中で一人の人物に行き当たる。
 後ずさろうとした私の足元を黒い靄が捕えていた。周りのごろつき達の足元も靄が捕えて這い上がっていく。

「男爵の割には羽振りがいいねぇ。君のお金の出所は聞く価値がありそうだね。飲み過ぎには注意しよう。さぁ、おやすみ……」
 
 商人……いや、アングラード侯爵が指先で何かを書くと、闇が私を包み込んで真っ暗な夢に引きずり込まれた。

 目を覚ました私は第一騎士団のヴァセラン侯爵に捕えられていた。
 取り調べでは、手を出したついでの仕事について知る限りのことを白状させられた。

 その年の秋、この国に粛清の嵐が吹き荒れた。
 私もまたその処分者に名を連ねる。あの時の仕事は反旗派の武器の輸送に絡んでいた。

 お酒は飲み過ぎるべきじゃない。見栄を張って嘘をつくべきじゃない。簡単でも悪事に手を出すべきじゃない。後悔は後でしても遅い。
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