灰色のエッセイ

板倉恭司

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パチンコ屋の変な人たち

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 なぜか知りませんが、私は変な人に絡まれやすいです。
 二十年くらい前でしょうか。私がパチンコ屋にいた時のことです。何の気なしに台に座り、ボーッとパチンコを打っていたら、いきなり後ろから肩を叩かれました。
 知り合いかと思い振り返ると、そこには見知らぬオヤジが立っていました。商店街の小さな飲み屋で、くだまいてそうな雰囲気の中年男です。

「やあ、どもども」

 確か、そんなことを言ってきた記憶があります。誰だお前? などと思いつつも、私も仕方なく「どもども」と会釈しました。すると、そのオヤジはこんなことを言ってきたのです。

「帰りの電車賃なくなっちゃった。悪いけど、貸してくれない?」

 はい? と思いました。なぜ、見ず知らずの人に電車賃を貸さねばならないのでしょう。意味がわかりません。
 しかし、私も面倒くさかったので、無言のまま三百円とちょいを渡しました。ポケットに入っていた小銭です。オヤジは「どもども」と言いながら去って行きました。
 言うまでもなく、その後このオヤジとは会っていません。したがって、三百円も返ってきません。まえ、会いたくもないですが……。




 また数年後、私は懲りもせずパチンコ屋にいました。空いている台に座りましたが。となりの台にはトボけた顔のオヤジが座っていました。
 このオヤジ、私が座ると同時に、マシンガンのごとき勢いで話しかけてきたのです。

「お兄さん見ない顔だね。どっから来たの? 何やってんの? この店は初めて?」

 私は「勘弁してくれ」と思いながらも、適当に受け答えしていました。そうなると、オヤジの方はさらに調子づいてきます。

「若いのに元気ないな。おい、惚れてる女はいるのか? 風俗は好きか?」

 うっとうしくなってきた私は「あっ、忘れてた。そろそろ行かないとな」などとわざとらしく言いながら席を立ちました。オヤジに背を向け歩き出した時です。

「兄さん、また来いよ」

 オヤジの声が聞こえてきました。私は「絶対に来ない」と心の中で言いながら立ち去りました、



 その後、私はパチンコをやめました。こんな連中と、ちょいちょい遭遇するのが嫌になったからです。それから今にいたるまで、パチンコはやってません。
 そして最近になって、パチンコメーカーや関連企業が相次いで潰れているというニュースを目にしました。いろいろ思い出してしまいましたね。その思い出した記憶を、今回は書いてみました。


 

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