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鉄雄、計画を確認する
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「正一、ガキは明日の二時に来るそうだ。チャカは用意できてるな?」
鉄雄の言葉を聞き、火野正一は頷いた。拳銃を取り出し、テーブルの上に置く。
「よし。ところで、天田とは連絡ついたのか?」
「いや、連絡ついたんですが……奴は今、仕事でしはらく手が離せないと言ってました」
聞いた鉄雄は、溜息をついた。これはもう無理だ。天田士郎を計画に加えるのは諦めよう。正一と自分、そして陽一。この三人で、当初予定していた現金強奪計画を遂行するのだ。
正直、無理がある計画だとは思う。だが、今となっては仕方ない。何せ、組員を襲った犯人が捕まらなければ、自分たちがケジメを取らされるのだ。運が良くても飼い殺し。下手をすると、犯人に仕立てあげられるかもしれない。
鉄雄は、桑原徳馬の恐ろしさをよく知っている。他のヤクザと違い、そうそう暴力を振るったりはしない。その代わり、何のためらいもなく人の命を奪うし、時には殺すよりもえげつない手段を用いる。
以前、銀星会の幹部の娘にさんざん貢がせた挙げ句、ぼろ切れのように捨てたホストがいた。当時、まだ一介の組員だった桑原はそのホストを拉致し、有り金を残らず奪った。
だが、桑原の恐ろしさはそこからである。ホストを自分の息のかかった病院に入れ、麻酔で眠らせているあいだに性転換手術を施させ、女の体に変えてしまったというのだ。
噂によると、そのホストは今もどこかで桑原の監視の下、体を売って生活しているのだという。しかも、戸籍上は事故で死亡したことになっており、さらにそのホストは精神に異常をきたしており、逃げることも訴え出ることもできないという噂だ。
ちなみに、その一件で桑原は出世した。上の人間からは信頼され、周りからは恐れられるようになったのである。
こんな真似をする桑原だ。鉄雄と正一を犯人に仕立てあげるくらいのことは朝飯前だろう。しかも、ふたりには何の後ろ楯もない。
鉄雄と正一を始末した後、仮に真犯人が出てきたとしても……桑原を責めるだけの度胸のあるものなど、今の銀星会にはいない。彼の評判が多少は下がるかもしれないが、そんなことになったとしても……既に死んでいるかもしれない状態の自分には、何のたしにもならない。
結局は、逃げるしかないのだ。
「鉄さん、あのガキと組むんですか? 大丈夫ですかね?」
正一が、不安そうに尋ねる。
「仕方ないだろうが。銀星会を敵に回そうなんて奴がどこにいる? いないだろう。かといって、二人じゃ無理だ。あのガキを使うしかないんだよ。お前にはドライバーをやってもらう。俺とガキが奴らを襲い、金を奪う」
「不安ですねえ……」
正一の表情が曇る。しかし、それも当然だろう。何せ、ニートの少年を計画に加えることになってしまったのだ。しかも、相手は殺気立っている状態の銀星会である。普段ならば、文句無しに中止にするはずだ。
「こうなったら、やるしかねえよ」
鉄雄は言葉を返す。不安なのは同じである。だが、この状況では他に手がないのだ。銀星会を相手に、ヤマを踏もうという奴などいない。今すぐ確保できるのは、陽一しかいないのだ。
しかも、陽一は銀星会には顔も名前も知られていない。鉄雄と陽一の付き合いは、つい最近始まったばかりだ。陽一の両親も、鉄雄の存在には気づいていないはず。陽一という点と、藤田鉄雄と火野正一という点を線で結ぶためには、かなりの時間がかかることだろう。
仮に辿り着いたとしても、その頃には自分たち二人はとっくに高跳びを済ませているのだ。
そう、陽一には荒事の経験はない。その点において不安ではあるが……手駒として使うには、まずまずの人材である。そこら辺のひねくれた不良と違い、素直だし、真っ直ぐな心根も評価できる。
あくまでも、使い捨ての手駒ではあるが。
「もし上手くいったとしたら、ガキはどうするんです?」
その問いに、鉄雄は口元を歪めつつ答える。
「死んでもらうよ。万が一にも、あのガキにベラベラ喋られたらマズいことになる。口は封じなきゃ、安心できない」
「やっぱ、そうなりますよね……」
そう言う正一の表情には、かすかな哀れみのようなものが感じられる。鉄雄は目を細めた。
「てめえ何考えてんだ? 俺たちはな、銀星会に追われることになるんだぞ。タイに逃げたって安心できねえんだ。あのガキに分け前を渡して、また会おうぜって訳にはいかねえんだよ。可哀想だが、あのガキには死んでもらう。こっちの世界に踏み込んで来たのが運の尽きさ」
鉄雄の言葉を聞き、火野正一は頷いた。拳銃を取り出し、テーブルの上に置く。
「よし。ところで、天田とは連絡ついたのか?」
「いや、連絡ついたんですが……奴は今、仕事でしはらく手が離せないと言ってました」
聞いた鉄雄は、溜息をついた。これはもう無理だ。天田士郎を計画に加えるのは諦めよう。正一と自分、そして陽一。この三人で、当初予定していた現金強奪計画を遂行するのだ。
正直、無理がある計画だとは思う。だが、今となっては仕方ない。何せ、組員を襲った犯人が捕まらなければ、自分たちがケジメを取らされるのだ。運が良くても飼い殺し。下手をすると、犯人に仕立てあげられるかもしれない。
鉄雄は、桑原徳馬の恐ろしさをよく知っている。他のヤクザと違い、そうそう暴力を振るったりはしない。その代わり、何のためらいもなく人の命を奪うし、時には殺すよりもえげつない手段を用いる。
以前、銀星会の幹部の娘にさんざん貢がせた挙げ句、ぼろ切れのように捨てたホストがいた。当時、まだ一介の組員だった桑原はそのホストを拉致し、有り金を残らず奪った。
だが、桑原の恐ろしさはそこからである。ホストを自分の息のかかった病院に入れ、麻酔で眠らせているあいだに性転換手術を施させ、女の体に変えてしまったというのだ。
噂によると、そのホストは今もどこかで桑原の監視の下、体を売って生活しているのだという。しかも、戸籍上は事故で死亡したことになっており、さらにそのホストは精神に異常をきたしており、逃げることも訴え出ることもできないという噂だ。
ちなみに、その一件で桑原は出世した。上の人間からは信頼され、周りからは恐れられるようになったのである。
こんな真似をする桑原だ。鉄雄と正一を犯人に仕立てあげるくらいのことは朝飯前だろう。しかも、ふたりには何の後ろ楯もない。
鉄雄と正一を始末した後、仮に真犯人が出てきたとしても……桑原を責めるだけの度胸のあるものなど、今の銀星会にはいない。彼の評判が多少は下がるかもしれないが、そんなことになったとしても……既に死んでいるかもしれない状態の自分には、何のたしにもならない。
結局は、逃げるしかないのだ。
「鉄さん、あのガキと組むんですか? 大丈夫ですかね?」
正一が、不安そうに尋ねる。
「仕方ないだろうが。銀星会を敵に回そうなんて奴がどこにいる? いないだろう。かといって、二人じゃ無理だ。あのガキを使うしかないんだよ。お前にはドライバーをやってもらう。俺とガキが奴らを襲い、金を奪う」
「不安ですねえ……」
正一の表情が曇る。しかし、それも当然だろう。何せ、ニートの少年を計画に加えることになってしまったのだ。しかも、相手は殺気立っている状態の銀星会である。普段ならば、文句無しに中止にするはずだ。
「こうなったら、やるしかねえよ」
鉄雄は言葉を返す。不安なのは同じである。だが、この状況では他に手がないのだ。銀星会を相手に、ヤマを踏もうという奴などいない。今すぐ確保できるのは、陽一しかいないのだ。
しかも、陽一は銀星会には顔も名前も知られていない。鉄雄と陽一の付き合いは、つい最近始まったばかりだ。陽一の両親も、鉄雄の存在には気づいていないはず。陽一という点と、藤田鉄雄と火野正一という点を線で結ぶためには、かなりの時間がかかることだろう。
仮に辿り着いたとしても、その頃には自分たち二人はとっくに高跳びを済ませているのだ。
そう、陽一には荒事の経験はない。その点において不安ではあるが……手駒として使うには、まずまずの人材である。そこら辺のひねくれた不良と違い、素直だし、真っ直ぐな心根も評価できる。
あくまでも、使い捨ての手駒ではあるが。
「もし上手くいったとしたら、ガキはどうするんです?」
その問いに、鉄雄は口元を歪めつつ答える。
「死んでもらうよ。万が一にも、あのガキにベラベラ喋られたらマズいことになる。口は封じなきゃ、安心できない」
「やっぱ、そうなりますよね……」
そう言う正一の表情には、かすかな哀れみのようなものが感じられる。鉄雄は目を細めた。
「てめえ何考えてんだ? 俺たちはな、銀星会に追われることになるんだぞ。タイに逃げたって安心できねえんだ。あのガキに分け前を渡して、また会おうぜって訳にはいかねえんだよ。可哀想だが、あのガキには死んでもらう。こっちの世界に踏み込んで来たのが運の尽きさ」
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