兄がΩ 〜うっかり兄弟で番いましたが、今日も楽しく暮らしています。〜

文字の大きさ
78 / 86
その後の兄と弟。

★お兄さんといいことがしたい!(上)

しおりを挟む
※2016年の年末。

「お兄さん」
「なに?」
「僕、久しぶりに、お兄さんといいことがしたいです」
 狭い六畳間いっぱいに敷き詰めた布団に、僕と兄は潜り込んでいる。母は忘年会だかなんだかで出たきり帰って来ない。そろそろ夜九時を回るところ。兄の向こう、布団の端には、はしゃぎ疲れた小さな理仁りひとが、こちらに背を向けて眠っている。
「ね、」
 そっと囁やけば、
「いいことってなに」
 なんて兄はしばらっくれるが、常夜灯に照らされた薄闇の中、いたずらっぽくニヤリと笑った。本当は兄だって僕としたい癖に、いつも僕に言わせようとする。兄はちょっとズルいのだ。兄の身体を抱えて転がし、理仁の方に向かせた。熱くなった僕の身体の芯を、兄の太腿の後ろ側に押し当てる。
「なに、やりてぇの?」
「はい、お恥ずかしながら」
 兄の肩が小刻みに震える。くっくっと兄は声を押し殺して笑う。
「全然、恥ずかしそうじゃねぇ」
「ね、いいでしょ?」
 腕の中にすっぽり収まった兄の身体を、ぎゅっと抱き締める。兄はこちらに背を向けたまま、すこし「うーん」と唸っていたが、
「ちゃんと避妊してくれるなら」
 と、やっと許可を出してくれた。
「勿論、お任せください! ちゃんと用意しときましたから」
 僕は枕の下に隠しておいた避妊具を取り出し、兄に見せた。
「よく温まっているので、冷たくなくて快適かと思います」
「バッカ……」
 兄はまた、くっくっと肩を震わせた。
 避妊具を一旦枕の下に戻して、僕は上半身を起こし、兄の頬と敷布団の間に手を差し入れた。兄の顔は相変わらず小さくて、僕の掌にすっかり入ってしまうほどだ。
 頬をぐっと支えて上向かせる。僕が顔を近づけると、兄は躊躇いがちに目を逸し、そして瞼を閉じた。
 最近、兄は色んなことに自身がないのだ。たとえば、近頃はあまり歯医者に行けていないから、歯と歯の間に歯石が溜まって息が臭いと思うとか。たとえば、もうすっかりオジサンだから、きっとΩの匂いよりもオヤジ臭の方がキツく臭っているはずだとか。そんなどうでもいいことを気にして、僕とのスキンシップに消極的になっている。
 兄の唇を舌で割り、押し開いて、深く口づける。奥歯から丁寧になぞり上げる。角度を変えて、何度も何度も口づける。ほら、お兄さんの気にしていることなんか、気のせいにすぎないんだから。唇の端から溢れた唾液だっって全部舐め取ってしまう。首筋に鼻面を埋めて、耳の後ろの匂いを犬みたいにクンクン嗅ぎまくる。あー、お兄さんの匂い、やっぱりいい匂いだぁ―。
 服の上から兄のものを撫でる。口ではやる気のなさそうなことを言うけれど、もう芯がちゃんと通っていて、掌でなぞり上げれば、ひくりひくりと蠢いて、硬度を増す。
 布越しにごしごしとよく擦ってから、下着の中に手を入れる。蒸れて温かい空気が籠もっている。根本から先端まで繰り返し繰り返し、動物の背中の毛並みを撫でるように撫でると、やがて先端が潤んできた。
 兄を仰向かせ、ズボンと下着を膝下までおろす。僕は布団の中で下半身を裸にし、ごそごそと移動して兄の上に乗り上げる。そして、兄のものと自分のものをぴったりと押しつけて、二本一緒に握り込む。僕のはもう先走りをしとどに溢れさせている。それを僕のものと兄のものに塗りたくり、塗り拡げて、互いを擦り合わせる。ぐちょぐちょと卑猥な音がする。
 腰を動かしながら、左手は兄の右手に繋ぎ、唇や首筋のつがいの証に口づける。僕のものも兄のものも今にもはち切れそうなほどにパンパンになった。僕は兄の唇から唇を離した。唾液が細い糸となって僕の唇と兄の唇とを繋いでいたが、すぐにふっつりと途切れて消えていった。
「お兄さん」
 弾む息をそのままに僕は言った。
「僕もうお兄さんの中に入りたい。入ってもいいですか?」
 こくりと首肯く、兄の頬が色づいている。僕は感謝の口づけをして布団を這い出し、枕の下から取り出した避妊具を身につける。粘液に濡れた右手で避妊具の表面を触らないように気をつけつつ慎重に、根本までゴムを引き上げて覆う。
「どの体位がいいですか?」
 そう問えば、予想通り兄はごそりと寝返りを打ち、こちらに背中を向けた。
「後ろから抱え込んで突くやつ」
 僕は兄の背に身を沿わせて抱いた。臀部の割れ目に僕のものを挿し込ませる。先でトントンと数回ノックするように兄の入り口をつつき、そして一息に突き挿れた。
「んっ……」
 兄の背中が強張る。馴らしていないのに、兄の中は柔らかく熟れていて、僕がゆっくり二三度腰を振ると、兄の背中の緊張も解けていった。後ろから兄の顔を覗き込み、口づける。薄暗い黄色い光に淡く照らされた室内に、ちゅっちゅっと湿気った音が満ちる。花開くように、兄のΩの香りが溢れる。夕焼けの匂い、季節外れの桜の匂い。しばらくは兄を攻めることをせず、堪能する。
 兄がこの体位を好きなのは、これだと身体の角度的に、僕のものが奥深くに、兄の胎内のΩの内性器に続く道に入りづらいからだ。ちゃんと避妊具を着けていてさえ、兄は少し怖がる。奥深くまで挿れられて、もしも万が一のことが起きてはと。
 僕としてはそれはそれで全然構わないと言いたいところだけれど、お金はどうにかなるにしても、やっぱり子供を産むということはΩにとっては命懸けな訳で。兄が理仁を出産するのに立ち会った時のことを思い出せば、確かに軽率なことはできないにしても……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

うそつきΩのとりかえ話譚

沖弉 えぬ
BL
療養を終えた王子が都に帰還するのに合わせて開催される「番候補戦」。王子は国の将来を担うのに相応しいアルファであり番といえば当然オメガであるが、貧乏一家の財政難を救うべく、18歳のトキはアルファでありながらオメガのフリをして王子の「番候補戦」に参加する事を決める。一方王子にはとある秘密があって……。雪の積もった日に出会った紅梅色の髪の青年と都で再会を果たしたトキは、彼の助けもあってオメガたちによる候補戦に身を投じる。 舞台は和風×中華風の国セイシンで織りなす、同い年の青年たちによる旅と恋の話です。

オメガ転生。

BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。 そして………… 気がつけば、男児の姿に… 双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね! 破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!

花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?

銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。 王命を知られる訳にもいかず… 王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる? ※[小説家になろう]様にも掲載しています。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい
BL
αとΩの同性の両親を持つ相模 楓(さがみ かえで)は母似の容姿の為にΩと思われる事が多々あるが、説明するのが面倒くさいと放置した事でクラスメイトにはΩと認識されていたが楓のバース性はαである。  そんな楓が初恋を拗らせている相手はαの両親を持つ2つ年上の小野寺 翠(おのでら すい)だった。  翠に恋人が出来た時に気持ちも告げずに、接触を一切絶ちながらも、好みのタイプを観察しながら自分磨きに勤しんでいたが、実際は好みのタイプとは正反対の風貌へと自ら進んでいた。  実は翠も幼い頃の女の子の様な可愛い楓に心を惹かれていたのだった。  楓がΩだと信じていた翠は、自分の本当のバース性がβだと気づかれるのを恐れ、楓とは正反対の相手と付き合っていたのだった。  楓がその事を知った時に、翠に対して粘着系の溺愛が始まるとは、この頃の翠は微塵も考えてはいなかった。 ※作者の個人的な解釈が含まれています。 ※Rシーンがある回はタイトルに☆が付きます。

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...