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Sideセシル 一生の誓い
しおりを挟むセシルは焦っていた。
「なぜ、今あいつが帰って来るんだ?まさか本当にこの領地の後釜を狙って!?」
そして、セシルはもう一回貴族名簿を確認し始めた。
「やはり、アインの名前が無い。これはまさか何かしらの理由で貴族を辞めさせられて、困ってるから自分の父親の領地を取りに来たんじゃないか?」
セシルにとっては、アインが隣の国の王になっていることなんか分かる訳がないので、アインが今帰ってきた理由がそれ以外に思いつかなかったのだ。
「どうする?どうやって対処をする?デリック。」
「何でしょうか?」
デリックとは、セシルが将来、自分が領主になったときに強い者を知覚においておいたほうが良いだろうと考えて雇っている者である。
「アインの行動を追跡しろ。何かおかしなことがあったら俺が黒幕だとばれないように注意を促しておいてくれ。」
「分かりました。それでは行ってまいります。」
そして、デリックは部屋から出て行った。
「ふ~。これで少しは安心できるか?いや、できないな。」
そして、いろいろなことを考えていると、父であるグインが部屋の前に来た。
「セシルよ。重要な話がある。入るぞ。」
そしてグインはセシルの部屋に入ってきた。
「何でしょうか、父上。」
「いや、アインが親孝行だと贈ってきたものの対処に困っていてな。これの使い道を一緒に考えて欲しいのだ。」
「何をもらったのですか?」
「いや、これなんだがな。」
そして、グインは机の上に、アインからもらった袋を置いた。
「これの中身は何ですか?」
「ああ、金だ。」
「金ですか…何にでも使えるから、もらった側としてはうれしいですね。」
(まずい。金だと?まさか親に対して金で領地を渡すように言ってきているのか?)
「それで何で困るのですか?お金なら使い道はいくらでもあるでしょうし。」
「ああ、中を見れば分かる。」
(何だ?少なすぎて、この家に使うものや、政策に必要なものが買えないくらいなのか?でも100枚くらいは有るだろうしな。銅貨?もしくは銀貨か?)
そして、セシルは袋を開けた。
「何ですか?この硬貨は?」
「ああ、セシルは見たことが無かったな。私もあまり見たことが無いのだが、それが黒金貨だ?」
「黒金貨ですって?またまた、ご冗談を。黒金貨なんて、国の予算じゃないですか。」
「ああ、そうだな。国の予算は基本黒金貨で保管されるな。」
「それでしたら、何故アインが持っているのですか?おかしいじゃないですか。」
「ああ、そうだな。私もまさか息子が王になっているとは思っていなかったよ。」
「王って、どういうことですか?」
「アインは、自分の領地を国として、王になった。アインはこれから王様と同じ位に立っていくのだ。」
「本当に言っているのですか?」
セシルは焦っていた。なぜならさっき、デリックに追跡、肉体説得を認めてしまったからだ。
「セシルよ、どうしたのだ?」
「父上、私は急用を思い出しましたので、退室させていただきます。」
そして、セシルは屋敷から出て、デリックを探したが、もう、デリックはいなかった。
そして、デリックが帰ってくることも無かった。
セシルは一生アインに対しての妨害や悪口をしないことを心に刻み、弟の恐ろしさを知ったのだった。
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