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正体
しおりを挟む確かに、最初の方はばれていなかったが、そのうちばれるようになってきた。
「どうしたのですか?
宴会に参加しましょうよ!」
「してますよ。
何回か、食事も取りに行っていますし。」
「そうなんですね。
でも、やっぱり中心のほうに行きましょうよ~。」
若干酔った人にこのように言われてしまった。
しかし、彼は分隊長がいることに気がついているので、出来るだけ村の中心には行きたくなかった。
「それじゃあ、後にあったら行きます。
私は出来るだけ1人が好きなので…」
そういったごまかしで、一旦その人をまくことができた。
しかし、彼が客人ということは、村中の人が知っているので、彼を何とかして、町の中心に引っ張り出そうとする人も増えていった。
そして、それはだんだんと収集がつかなくなった。
「行こう。行こう。中心へ!」
「行こう。行こう。中心へ!」
このように村人にコールされてしまった。
そして、分隊長は。
「彼は何なのだ?」
「ああ、彼ですか?
彼は貴方が来る前に、ここにやってきた旅人です。」
「そうか、彼が…」
村長に話を聞いて、彼が来客だと知った。
そして、彼自身は何か違和感を感じていた。
(何か分からないが、それでも何かしらの違和感を感じる…)
それは、長年分隊長をやってきて、培った勘であり。
精度はそれなりに高くなっていた。
(彼を少しだけ集中してみるか…)
彼には、鑑定のスキルもあったが、さすがに初対面の人をいきなり鑑定するのも失礼だし、
それに、相手のほうが力量が上だった場合、鑑定をかけられたことに、気がつく人もいる。
この国の分隊長である、彼よりも強い人がそんなにいるのかといわれれば、少し、言葉がにごってしまうが、それでも確実にいる。
それは、彼の上にいる総隊長や、他の分隊長以外にも、冒険者や旅人、それに、探検家などにも、彼より強い人は存在しているのだ。
だからこそ、彼は一応念のためとやっていなかったのだった。
しかし、何人もの村人に誘われても、かたくなに中心に来たがらない旅人に、ちょっとした嫌な予感がしてきた。
(まさか、盗人か?)
盗人だった場合、出来るだけ多くの人に顔を覚えられてしまうことは、避けたかった。
しかし、村人が執拗に誘ってくるので、断っているという発想になった。
(盗人の中にも、私より強い者は存在しよう。
しかし、そんな事言っていては、彼が行動を起こしてからの対処になってしまう!)
こうして、彼は鑑定を使った。
そして、確実に見てしまった。
何回も見返してしまった。
しかし、それは幻ではなく、現実だった。
そこに書かれていたのは、職業:貴族
装備品:『伝説シリーズより数点』
彼が貴族であることと、持っているものが全て、伝説のものだと知ってしまったのだった…
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