俺の異世界転移が明らかにおかしい件について!!

浅野舞

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1話 イカれたメンバーを紹介するぜ!!!

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「私と契約して勇者になってよ!」

 真っ白な世界でそんな言葉を言い放った女性が一人。
 容姿は物凄く美人――だが何故か背中に十二枚の翼が生えている。

「……あの、嫌です」

 対して、彼女の言葉に否定をぶつけたのは一人の男性。
 容姿は物凄く普通――だが、何故か頭上には白い輪が浮かんでいた。

「いや、あの、というかここどこですか? なんか周り真っ白なんですけど」

 辺りを見回して男は女性に聞いた。
 女性は彼の言葉に笑顔を浮かべて答える。

「ここは死後の世界……佐伯貫太さん。貴方は死んだのです」
「――っ、死んだ!?」

 女性の言葉に男――カンタは衝撃を受けた。

「はい。死にました。ちなみに私は神様です。正確には女神ですけど」

 そう言って女性――女神はわざとらしく背の翼を広げた。
 カンタは目の前の女性から溢れる威光を前に、彼女の言葉が事実であると確証した。

「で、では、俺はこれからどうなるのでしょう」

 震えるカンタの声。対して女神は軽やかな口調で答えた。

「異世界で魔王倒してもらいます」
「……はい? え、魔王?」

 予想とは遥に違う回答。
 てっきり地獄か天国に行くものだと思っていたカンタは首を傾げた。

「はい、魔王です。あ、この口調疲れるから止めるね」
「あ、はい」

 女神の割には随分とノリが軽いなとカンタは思った。

「いや、実はさ~、私って女神というか神様なんだけど、他の神達と一番凄い神は誰かって話をしててね? 私は私が一番凄いと思ってるんだけど~。他の神達は自分が凄いとか言ってて、じゃあ、異世界に魔王作って一番最初に倒した神が最強ねって話になったわけ」
「はぁ……」
「で、そしたらさ~、魔王の強さミスって私達より強くしちゃって倒せなくなっちゃった!」

 そう言って女神はテヘ、と可愛げに舌を出した。

「――じゃねええええええよ!! それ明らかに貴方達のミスでしょ!? なんで俺が巻き込まれるの!?」

 カンタが叫ぶ。
 しかし、流石は女神。動揺せず、寧ろヘラヘラとそれを流す。

「まあまあ、落ち着きなさいって。なにも君一人に頼むわけじゃないから」
「他にも巻き込まれた人がいるのか……」
「巻き込まれたとは失礼ね! 誰もが羨む異世界転移よ! 普通だったら全裸でスライディング五体投地よ!」
「いや、スライディング五体投地ってなに」

 気が付けば敬語を忘れるカンタ。しかし、寛容な女神はそれを許す。ありがとう女神。
 ゴホン、と咳ばらいをして女神は話を続ける。

「とにかく、貴方の他に二人の転移者を用意したから紹介するわね」
「……分かった」

 訝しい表情を浮かべてカンタはその二人を待つ。
 やがて、女神は二つの魔法陣を当たり前の様に描き出した。
 きっとこれが魔法という奴だろうと、カンタは若干興味を持った様子でそれを見た。

「では、まず一人目。彼は生前様々な国を縦横無尽に駆けた伝説の男よ」
「伝説の男だと……!?」
 ごくり、とカンタが唾を飲む。
 同時に魔法陣から一人の男が姿を現した。
 身長は二メートルを超え、鋼の如し肉体を持った、白髭の男性。
 果たして、その男の名は――。

「――どうも。サンタです」

 一瞬の静寂。そして、数秒後カンタが叫んだ。

「さ、さ、サンタさんんんんんんんんんんんんんんんん!?」

 そう、目の前の無頼漢の如し男は正真正銘のサンタであった。

「え、いや、なんで!? 縦横無尽に駆けるってクリスマスの話だったの!?」
「はは、いやはや、趣味でやっていただけだったがどうも有名になりすぎたようだな」
「趣味!? サンタさんって趣味だったの!? だとしたら不法侵入だよ!?」
「まあまあ。落ち着きなすってカンタさんや」

 興奮するカンタを宥める女神。

「冷静に考えてみて? サンタさんだよ? 分かる? 多分強いよ?」
「いや、何一つ強さが伝わらないんだが。唯一、分かるのは筋肉が凄いことくらいだよ」

 そう言ってカンタはサンタの筋肉を凝視した。
 最早、人間の領域を超えた肉体。人外の領域だった。
 カンタの視線に気が付いたサンタは頬を紅く染めて口を開いた。

「強さかは分からんが、空間程度なら殴って破壊できる……ぞ?」
「なに頬染めてんの? なに少し上目遣いしてるの? こえーよ。あと、空間程度って何?」
「と、まあ、彼がまず一人目よ」
「いや、もうサンタさんだけで十分じゃね? 明らかにラスボスの風貌だよ」

 カンタの言葉を無視して女神は召喚を続ける。
 やがて、魔法陣から二人目の転移者が姿を現した。

「な――っ!?」

 その姿にカンタは目を見開かせた。
 サンタはニヤリ、と笑った。

 背に十二枚の黒い翼を生やし、漆黒の鱗を纏った肉体。
 白銀に光る瞳に額から伸びた鋭い二本の角。
 その正体は――。

「――どうも、サタンです」
「いや、なんでだ!? なんでサタン!? 何をどう間違えたらサタンが出てきちゃうの!?」
「失礼ね! 間違えてないわよ! ちゃんと彼の許可も得ているわよ!」
「うむ。我も彼女の懇願を承諾した身だ」

 そう言って、サタンはカンタ達の近くに歩み寄った。
 サンタと同じ程度の背丈と肉体をサタンは持っていた。
 そのため、カンタからしてみれば圧力と迫力が凄まじく感じれた。

「因みに、サタンは地獄の皇帝でありながら邪神としても活躍しているわ。この前も世界を幾つか滅ぼしていたし」
「それもはや敵だよね。どう考えても魔王より格上だよね? どう考えたってこっちの方がヤバいよね?」
「まあ、落ち着けカンタ殿。彼ほどの実力者がいるなら此度の戦も安心ができるというものだ」
「なにこいつはサタンと対等みたいな面してるの? なんでサンタがサタンと肩並べてるみたいな態度とってるの? てか、なにカンタ殿って、殿ってなに」
「――フ。我もこの顔ぶれなら安心して背を任せられる」
「どの顔ぶれですか? サタンが安心出来る顔ぶれってどの顔ぶれですか?」
「ま、これでメンバー集結ってところかしらね。あ、勿論私もいるからね」

 女神が満面の笑みを浮かる。
 それに同調するかのようにサンタとサタンも不敵に笑みを浮かべた。
 カンタは転移など断りたいが明らかにそれが許されない空気に意を痛めた。

「さて、じゃあまずはとりあえず一億年くらい修行ね!」
「……は?」

 この女神は何を言っているのだろう。
 そんな気持ちになったカンタであった。
 なお、本当に一億年間修業する模様。
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