異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫

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78.グサーノ殲滅戦①(5月21日)

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起動スイッチの代わりにそれぞれの杭に嵌め込んだ魔石に触れて回る。
最後に表示板の魔石に触れる。
表示板全体が淡く光り、それぞれの杭の印の上に青い光が灯った。

「ふえ……何これ!」

「イザベルも探知魔法を使うときは、頭の中にこんな感じで魔物やその他の位置が表示されるんじゃないか?俺はこんな感じで見えている。それを板の上に再現してみた」

「それはそうだけど……ってアンナ?もしかして見えてる?」

「え?この青い光ですか?見えてますけど…?」

「あんた魔法使えるの!?」

「いいえまさか!」

「って事は……」

「魔石を配した効果だろう。魔力を行使する訓練を受けていない者でも、これなら探知魔法を使える」

「魔物を探知する魔道具、しかも位置まで分かるなんて、これすごいよ!売れるよ!!」

売れるか。売れるかあ?
売り物にするなら、もっときちんと作りたいものだ。
使い物になればの話だがな。

「まあ使える物かどうかも分からないからな。索敵範囲を広げるために、焼け残った塀にも仕込んでこよう。併せて負傷者や生き残りの捜索も行う。その後に食糧庫の要塞化を行う。アリシアは食糧庫に硬化魔法をかけてから、アンナと一緒に周囲の監視。アイダとイザベルは付いてきてくれ」

◇◇◇

焼け残った板塀や家々の柱に魔石と魔法式を仕込みながら捜索した結果、各家の地下倉庫や納屋の藁の中で息を殺して潜んでいた生き残りの男女7名を発見して食糧庫へと連れて行った。全員が何かしらの怪我を負ってはいるが、治癒魔法が必要なほどでもなさそうだ。

食糧庫の要塞化だが、食糧庫の左右に土魔法で櫓を作り、狙撃が得意なイザベルとアリシアがそれぞれ陣取る事にした。当然、櫓そのものにも硬化魔法を掛けてもらう。櫓の高さは5メートルにしたから、昨日出会したグサーノが相手でも上方から攻撃できるだろう。

更に手薄になる側面と後方および正面の両角には土塁を作り、地面ごと念入りに硬化魔法を掛けた。
これで奴らの攻撃を正面からだけに集中させることができるはずだ。

探知用の杭の内側には、自宅から回収してきたクレイモア対人地雷をありったけ仕掛けた。地中を進む魔物には効果はないが、地上の魔物まで侵入してきては敵わない。クレイモアに投入したAT弾には、貫通魔法と火炎魔法に加えて、電撃魔法も付与した。グサーノと一括りにしているが、要は地を這い地中に潜む虫達が魔物化したものだ。どんな攻撃が効くのかさっぱりわからないし、そもそも地中から侵攻してくるとも限らない。本来ムカデは地を這う生き物だし、ダンゴムシだって立派に地を這う虫だ。

ダンゴムシの魔物……それってやっぱり金色の触手を延ばして青き衣を纏った少女と意志を通い合わせたりするのだろうか。
あの少女が駆る白い翼には乗ってみたかったのだ。どうせならそんな異世界がよかった……

「あの…カズヤさんどうかしましたか?」

「ああ、すまない。ちょっと別の世界にトリップしていた」

「とりっぷ?」

「そんなことよりお兄ちゃん!このままグサーノが襲ってくるのを待つの!?今夜襲ってくるかはわからないよ!?あいつが無事に街にたどり着けた保証もないし、たどり着けていたとしても援軍がいつ来るかはわからないよ!?」

「そう…ですね。約束の日もあるし、あまりのんびりとはできないです。カズヤ殿、何かいい方法はないでしょうか」

「いい方法と言われてもなあ。討って出るのは論外だし……」

そろそろ日没が近づいているし、そもそも攻勢に出られるのはこちらの方が戦力が多い場合だけだ。現戦力が4人しかいない今は、とにかく守るしかない。

「要するに私達が討って出ずに、奴らが襲ってくるように仕向ければいいのね」

イザベルが何かを思いついたらしい。

「みんなティボラーンを狩った時のこと思い出してよね。あの時お兄ちゃん何て言ったっけ?」

「えっと……迂闊に魔法を使って魔物を呼び寄せてしまってすまない的な……?あれ?ってまさか……」

「それ!ティボラーンが襲ってくるちょっと前に、お兄ちゃんが水中を探る魔法を使ったでしょ。あれって地中にも使えるんじゃない?そうすれば近くのグサーノを誘き寄せられると思うんだ!」

船上で発射したアクティブソナーのことか。
確かにアクティブソナー様の超音波を発射した直後にティボラーンが襲来した。あの超音波は魔物を引き寄せる或いは狂わせる周波数になっているのかもしれない。

やるか。イザベルが言うとおりただ待っているだけでは埒が明かない。襲撃に怯えながら朝を待つよりは、こちらから誘き出したほうがまだコントロールできる可能性もある。

「よし。全員戦闘準備。アリシアはPSGー1だ。マガジンには15発しか入らないから、弾倉を交換するタイミングに気をつけて。予備装備としてMP5A5を持って行け」

「はい!」

「イザベルはG36Vでいこう。予備装備はM93R。普段持ってる銀ダンはアイダに渡してくれ。G36Vの勝手はわかるな?」

「任せて!」

「アイダはMP5Kでいくか。剣とエアガンのどちらで戦うかは任せる」

「了解です」

アイダはイザベルからホルスターごとポリスピストルSSを受け取り、いつも持っているグロック26と合わせて両腰に装着する。

「あの!私にも何か!」

「アンナ。それじゃあ表示板を持って魔物の動向を監視してくれ。赤い点が現れたら、大きな声で皆に知らせるんだ。場所は……食糧庫の屋上でどうだ?」

「わかりました!」

「全員、予備のAT弾は存分にある。1匹でも奴らの侵入を許せば、せっかく生き残った村人が今度こそ全滅してしまう。絶対に通すな。だが生き残るぞ!」

「了解!」

「よし!持ち場につけ!」

◇◇◇

アリシアとイザベルがそれぞれの櫓に上り、アンナが屋上から顔を覗かせるのを待って、食糧庫の外壁に右手の平を当てる。アイダは食糧庫の扉の正面、土塁の切れ目に陣取った。
食糧庫の外壁は大きな石組みだ。底部は地面に埋め込まれている。その底部から発する200KHzほどの超音波をイメージする。

コンッ!

本来聞こえるはずもない高周波数の超音波を放った瞬間、手の平に手ごたえが返ってきた。
一瞬の間をあけて、反射波が次々と返ってくる。
きっかり10秒毎に高周波を放ち、移動する物体を探す。

来た!
移動する物体5。軽いジョギングほどの速さで移動している。深さは1メートルほどか。

「アンナ!そっちはどうだ!」

「はい!赤い点が5つ。村の中央からこっちに来ます。正面です!」

「わかった!ソナーの照射を中断する。イザベル!奴らの侵入経路が上方から視認できたら、貫通魔法を重ね掛けしたAT弾を侵入経路前方に叩き込め!地上に姿を現したらアリシアが狙撃!討ち漏らした奴はアイダと俺で叩く!」

「了解!セーフティ解除!……見えた!5匹真っ直ぐこっちに来る!」

地上の俺やアイダには見えないが、航跡或いは雷跡のように侵入経路の跡が櫓の上からは見えるのだろう。

「杭まで残り10メートル!攻撃開始!」

イザベルが射撃を始める。
着弾の一瞬後に、着弾地点から炎が噴き出す。どうやら貫通魔法に加えて火炎魔法も重ね掛けしたようだ。

炎に耐えきれなくなったか、土を割ってグサーノが次々と姿を現した。5匹全てがムカデ型だ。
一対の大顎をガチガチと打ち鳴らし、鎌首をもたげて俺とアイダを睨み付ける。ゆらゆらと揺れる一対の触角は、子供の腕ぐらいの太さはあるだろう。

タンッ!タンッ!タンッ!タンッ!タンッ!

単発の乾いた発射音が5発連続で響き渡る。
アリシアが櫓の上から放った5発のAT弾が、グサーノの触角の間に吸い込まれ、頭部を四散させた。

「やったか?」

アイダの願望の篭った言葉は、どう考えてもフラグだ。残念ながらムカデは頭を失ったぐらいで活動を止めるほどヤワな生き物ではない。魔物化したグサーノなら尚の事だ。

「まだだ!油断するな!」

返す俺の言葉もありきたりになってしまう。

G36Cを構えて慎重に近寄る。剣を構えたアイダが続く。
毒液を吹くであろう口の部分は潰されているから、警戒すべきは太い胴体を叩きつけられるか下敷きにされることか。

「わわっ!こいつまだ動くぞ!」

アイダが剣を構えたまま器用に飛びすざる。

「焼くか。アイダ。なるべく高温の炎で、奴らの胴体を焼くぞ」

「了解!Lanza de fuego!!」

アイダの剣の切っ先から炎の槍が伸びてグサーノの胴体を貫く。

「ふぁいや!」

俺の指先から超強力ターボライター状の青白い炎が伸び、もう一匹のグサーノを包んだ。

5匹目のグサーノに点火した直後に、イザベルからの大声が届いた。

「お兄ちゃん!アンナがあと10匹向かってきてるって!戻って!!」

はいよ!団体さんのご到着だ。
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