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第一章

第41話 冥神ざまぁ回②だよ、みんな見てね♪

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side 冥神……

「ここは……?」
 遊神と戯神から『覚悟はいいか』と問われた後、気付いたらこの空間にいた。
 どこかわからん。

 ゴォオオォォォオオオオオオ!!!!!

「うごぉおぉぉおおお!!!!」

 そこに飛んで来るオレンジ色と紫色が混ざった攻撃……。

 どういうことだ。
 遊神と戯神は確かに力の強い2級神だが、なぜこの私が一方的にやられるのだ。

 ゴォオオォォォオオオオオオ!!!!!

 私は魔力の盾を出して防ごうとしたが……

 「ぐはぁあぁぁあああ!!!」

 あっさりと突き破って私を直撃する……。


 どういうことだ!


「冥神さまはやりすぎたんだよ」
 頭上から声がしたので、私はそちらを向く。そこにいたのは……


「誰だ……!?」

 長いオレンジ色の髪を靡かせ、物憂げな表情でこちらを向く女神……。
 誰だ?

「冥神様……気付いていない……」

 そしてその後ろには紫の髪を靡かせ、無表情でこちらを眺める女神……これは戯神だ。
 
 ということは、まさか……!?



「なぜ、そんなに強い……?」


「お仕置きの時間です、冥神さま」



 そこからは一方的に攻撃され続けた。

 戯神は手を出していない。

 ただひたすら遊神の攻撃を受ける私。


 1級神であるにも関わらず魂が千切れそうだ……。


「くそっ、やっ、やめろ、遊神……こんなことをして……」
「ん?」
 私の言葉に顔をあげる遊神。
 攻撃しているときは斜め下をずっと向いていた。

 そこへ金色の光が飛んで来て、遊神のまわりをまわって遊神に吸い込まれていく。
 まさか……。


「ほかの1級神さまたち全員の許可が出たよ……」
 なっ、なっ、なっ……やっ、やめて


「ボクたちの怒りを食らえ!」
 落ちてきたのは光と雷と闇と風をまとった強力な一撃。
 
 私の根幹が揺さぶられる。
 これは本格的にまずい……。


「どういうこと?……冥神様……?」
 くっ、戯神め。

 ここはもうこれしかない。



 恥や外聞を気にしている場合ではないのだ……。


 そして私は遊神の方を向き、渾身の一撃を繰り出した。



「すまんかった!私が悪かった!!!」


 そう、1級神の土下座という、衝撃の一撃を。



 あの光が飛んで来た時から配信が回っているのは気付いている。
 なにせ私が作った魔道具だ。



 ???:ズコ――――――!!!
 ???:そこであっさり謝るんか~い!!!
 ???:さすが冥神様だ。見事なモーションで"土下座"を繰り出したな。まぁ、許せんけど。




「冥神さま……そんなことで許せるとでも?」

 しかし物憂げな表情を崩さない遊神がそんな言葉をかけてくる。
 悪いがこの土下座は君あてではないのだ……

「ぐぉおぉぉぉおおおおおお!!!!!」
 土下座している上から攻撃された私は不覚にも意識を失ってしまった。


 
side アナト
 
 光神 :どうだろうか、アナトよ。さすがにこんなことで神界を揺るがすのは本意ではなく、申し訳ないが……。
 
「えぇ、俺ですか?」
 とつぜん話しかけられた俺は驚いてしまう。そして、俺もこの不思議空間に立っていた。
 連れて来られたということだろうか。

「光神さま……さすがにそれは汚い。恨みますよ……?」
 ミルティアが怒りの表情を向けてくる。
 怖いからやめてほしい。
 あれ、本当にミルティアなのか?めちゃくちゃナイスバディな美女なんだが……。
 
 光神 :え~っと、勘弁してほしいのはやまやまなんじゃが、さすがにのぅ……。頼む、遊神ちゃん。今度お願いを1つ聞くから。
 闇神 :そうだな。さすがにこんなことで1級神が1人減るのは避けたいのだ。
 雷神 :そうじゃ。そこの人間は助かっておるのだ。怒りを鎮めよ遊神よ。
 ???:雷神様、それはさすがにその言い方はまずくないですか?
 

「では、光神さま、私の願いは冥神様に全力攻撃をしてもらうことです(怒)」
 平然とした表情でとんでもないことをミルティアは宣言した。光神様と闇神様は唖然としている。
 
 光神 :!?!?
 闇神 :!?!?

 
「あと、雷神さまは嫌いだと告げたはずです。出てこないでください」
 火に油を投入した雷神様にはとんでもない爆弾をお見舞いするミルティア。雷神様は撃沈していった。
 
 雷神 :チーン……(ぷすぷすぷすぷす)
 ???:もう1級神1人くらい減ったんじゃね~か?
 ???:おいっ!発言に気をつけろ!さすがにやばいって!

 
 
「では、光神さまと、闇神さまは大切な人にこんなことをされていたにもかかわらず、ボクにただ退けと?(怒)」

 しれっと起こった表情でとんでもないこと言ってるが、俺のためなのか。



「ぐぅっ、ぐぅ……勘弁してくれ……」
 そんなやり取りをしていると土下座姿のままミルティアの攻撃を受けて沈んでいった冥神様が再び浮かび上がってきた。

「頼む……」
「覚悟!(怒)」
 そこにまた攻撃を撃ち込もうとするミルティア……。


「ストップ!ミルティア、ストップだ!」
 俺はミルティアに歩み寄り抱きしめる。

「!?!?!?!?」
「!?!?!?!?」
 それに驚くミルティア……となぜか戯神様。
 

「なっ、ミルティア。俺のためなんかに怒ってくれて嬉しかったよ」
「アッ、アッ、アッ、アナッ、アナッ……」
 あきらかに俺の腕の中で混乱しているミルティア。
 普段のちんちくりんな姿と違ってナイスバディだから俺もドキドキしてしまうけど、次もまた俺の攻撃だ。
 覚悟しとけよ!?



 

 ちゅぅ♡




 

「……(かぁ~~~~)」


 
「……(かぁ~~~~)」



 抱きかかえてキスをした俺からミルティアの表情は見えないが、顔が熱くなってるのはわかる。
 そしてミルティアの後ろにいる戯神様もなぜか真っ赤だ。



 
 ???:なんだと~~~~(涙)
 ???:いや~~~~遊神ちゃんが~~~(涙)
 ???:のぉおぉぉおおおぉぉおおおおおおおおお!!!!(涙)
 ???:あはははははは。カッコいいじゃない。やるわね、アナト君!
 ???:だめだだめだだめだだめだだめだ(涙)

 
 外野が騒がしいが、俺はそっとミルティアの唇から自分の唇を離し、そのまま抱きしめ、普段より高い位置にあるミルティアの頭を撫でた。


 ゴンッ!?


 そして崩れ落ちた……。
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