8 / 46
第8話 一方その頃ギード王子たちは④
しおりを挟む
□王城の地下(とある騎士見習い)
ここは王城の地下にある大空間だ。
あまり知られていないが大広間の3倍はあるとても大きな空間だ。
その空間の半分以上はとある魔道具によって占められている。
かつて王城を崩壊させ、王国の災厄と言われた忌まわしき巨大な魔物。
それを封印している守護結界の魔道具だ。
この魔道具によって魔物は異空間に封じられている。
騎士団でも魔法師団でも倒せなかった強大な魔物。
魔女とも大魔導士とも言われる凄腕の魔法使いが倒したものの、殺しきることはできずにこうして封印することになったらしい。
俺はそんな守護結界の魔道具とこの空間を警備する騎士見習いだ。
全く嫌になるよな。
ここは不穏な雰囲気しか感じない、嫌な空間だ。
なにせ災厄の魔物を封じ込めているんだから当然と言われればそうなんだろうがな。
何と言われても嫌なものは嫌だ。
入るだけで冷や汗が止まらなくなるし、悪寒も頭痛も酷い。
おかしいよな。
俺に仕事を教えてくれた引退騎士さんが言うには、昔はこんなことはなかったらしい。
がらんとした空間にただ巨大な魔道具が安置されている場所で、特に変な感覚もなかったらしい。
なのに気付けばこんなことになっていた。
おいおいおいおい。勘弁してくれよ?
災厄の魔物が復活するとか、マジで勘弁してほしい。
『〇▲×□▼』
ん……?
おかしい。
誰かいるのか?
なんか声が聞こえた気がしたんだが……。
どういうことだよ。ここには俺みたいな見回り役の騎士見習いしか来ないはずだ。
なにせお偉い騎士様方は気味悪がってここには近づかない。
あぁだこうだと理由をつけて行かないんだ。なんのための騎士だよ!
その結果、本来は最も王国の中で危険な場所のはずなのに、騎士見習い……つまり俺みたいな学もないし、剣の腕もない小間使いがたまに見て回るだけの場所になった。
一応、週一回は騎士が来るけど、見回りはせず、魔道具を見るだけらしい。
いいのだろうか?
俺は俺がここにいるときに災厄の魔物が出てこないことを祈るだけだ。
なぜならこの仕事の収入はいい。
見習いでも高収入だ。街で冒険者やるのとは雲泥の差だ。
ほんとなら命の危険がある騎士は目指さず、ここで適度に頑張ってしがみついて稼ぐくつもりだったんだ。
なのにここの見回りを任されるなんてついてないぜ。
とっとと終わらせて帰ろう。
今日こそは食堂のレーネちゃんに声をかけるんだからな!
こんながらんとした空間で、見回るのは小間使いなのにもかかわらず、ここの見回りには手順が定められている。面倒臭せぇな!
まず今俺がやったように、空いている場所をまんべんなく歩き回るんだ。
まるで池に垂らされた餌みたいだよな。なんでこんなことしなきゃいけないんだ?
その結果、端っこの方で変な声が聞こえたし、マジで勘弁してほしい。
俺なんか喰っても美味しくないですよ、災厄の魔物様!
次に中央部……魔法障壁の魔道具の正面まで行き、預かっている魔石を投入する。
そう書いてある。俺が持っている手順書には。
ちょっと待て。俺、魔石なんて預かってないぜ? まぁいつもだけど。
でも、いつも不思議だったんだ。
いつもそう思ってたんだ。
上司である騎士様に聞いても意味はない。
どうせ答えてくれない。
変な質問するなよ、と言わんばかりに目を逸らされて終わりだ。
これいいんだろうか?
魔道具を動かすには魔石がいるなんて、俺でも知ってるぜ?
なのに一度も投入したことがない。
俺がここにきてもう半年だ。
その間一回もない。
もしかしたら俺以外の見回り担当が投入してるのかもしれないけどな。
そんな話聞いたことないけど。
カタカタカタカタ
「なっ、なんだよ!」
目の前で細かく震動する魔道具……。
これ絶対ヤバいやつじゃね?
一応見たしもういいよな?
あっ、そうだ。魔石と言えば、俺1個だけ持ってるわ。
これとりあえず入れておこう。
頼む、あと1日でいいからもってくれ!
その小さな小指の先くらいのサイズの魔石を投入すると、一応震動は治まったようだ。
よかった。
「見回り終わりました!」
「ご苦労。何か変わったことはなかったか?」
「はい、空間の隅の方に行くと何やら不思議な声が聞こえたのと、あとは魔法障壁の魔道具が小刻みに震動していました」
「……なにもなかったようだな。ご苦労」
「あのう、俺、持ってた私物の魔石を入れたら震動は止まったんですが、これって補填してもらえるんですかね?」
「よし、ご苦労だった。行ってよし!」
ふざけんなよバカ野郎!!!
俺の魔石返せよ!まったく。
こんな仕事やめてやる!!!!
「また見習いがやめたのか。まったく、部下の管理もできんのか」
「しかし……さすがに限界です。明らかに魔法障壁の魔道具の様子がおかしいのです」
「どうおかしいのだ?」
「……」
「この無能が! 少しは調べて物を言え!」
「しかし魔石はどうなったのですか? 小さな魔石を入れたら異変が少しは治まったのです。手順に決められた量を投入すべきです!」
「ふん。そんなものはない。どうせ王妃様がお召し物の購入に使ってしまったから」
「……」
そんなやり取りが魔法師団の担当者との間であったようで、俺は上司と一緒に退職したのだった。
レーネちゃん。悪いことは言わないから、王城の食堂の仕事はやめた方がいいよ?
その言葉を伝える機会はなかった。
ここは王城の地下にある大空間だ。
あまり知られていないが大広間の3倍はあるとても大きな空間だ。
その空間の半分以上はとある魔道具によって占められている。
かつて王城を崩壊させ、王国の災厄と言われた忌まわしき巨大な魔物。
それを封印している守護結界の魔道具だ。
この魔道具によって魔物は異空間に封じられている。
騎士団でも魔法師団でも倒せなかった強大な魔物。
魔女とも大魔導士とも言われる凄腕の魔法使いが倒したものの、殺しきることはできずにこうして封印することになったらしい。
俺はそんな守護結界の魔道具とこの空間を警備する騎士見習いだ。
全く嫌になるよな。
ここは不穏な雰囲気しか感じない、嫌な空間だ。
なにせ災厄の魔物を封じ込めているんだから当然と言われればそうなんだろうがな。
何と言われても嫌なものは嫌だ。
入るだけで冷や汗が止まらなくなるし、悪寒も頭痛も酷い。
おかしいよな。
俺に仕事を教えてくれた引退騎士さんが言うには、昔はこんなことはなかったらしい。
がらんとした空間にただ巨大な魔道具が安置されている場所で、特に変な感覚もなかったらしい。
なのに気付けばこんなことになっていた。
おいおいおいおい。勘弁してくれよ?
災厄の魔物が復活するとか、マジで勘弁してほしい。
『〇▲×□▼』
ん……?
おかしい。
誰かいるのか?
なんか声が聞こえた気がしたんだが……。
どういうことだよ。ここには俺みたいな見回り役の騎士見習いしか来ないはずだ。
なにせお偉い騎士様方は気味悪がってここには近づかない。
あぁだこうだと理由をつけて行かないんだ。なんのための騎士だよ!
その結果、本来は最も王国の中で危険な場所のはずなのに、騎士見習い……つまり俺みたいな学もないし、剣の腕もない小間使いがたまに見て回るだけの場所になった。
一応、週一回は騎士が来るけど、見回りはせず、魔道具を見るだけらしい。
いいのだろうか?
俺は俺がここにいるときに災厄の魔物が出てこないことを祈るだけだ。
なぜならこの仕事の収入はいい。
見習いでも高収入だ。街で冒険者やるのとは雲泥の差だ。
ほんとなら命の危険がある騎士は目指さず、ここで適度に頑張ってしがみついて稼ぐくつもりだったんだ。
なのにここの見回りを任されるなんてついてないぜ。
とっとと終わらせて帰ろう。
今日こそは食堂のレーネちゃんに声をかけるんだからな!
こんながらんとした空間で、見回るのは小間使いなのにもかかわらず、ここの見回りには手順が定められている。面倒臭せぇな!
まず今俺がやったように、空いている場所をまんべんなく歩き回るんだ。
まるで池に垂らされた餌みたいだよな。なんでこんなことしなきゃいけないんだ?
その結果、端っこの方で変な声が聞こえたし、マジで勘弁してほしい。
俺なんか喰っても美味しくないですよ、災厄の魔物様!
次に中央部……魔法障壁の魔道具の正面まで行き、預かっている魔石を投入する。
そう書いてある。俺が持っている手順書には。
ちょっと待て。俺、魔石なんて預かってないぜ? まぁいつもだけど。
でも、いつも不思議だったんだ。
いつもそう思ってたんだ。
上司である騎士様に聞いても意味はない。
どうせ答えてくれない。
変な質問するなよ、と言わんばかりに目を逸らされて終わりだ。
これいいんだろうか?
魔道具を動かすには魔石がいるなんて、俺でも知ってるぜ?
なのに一度も投入したことがない。
俺がここにきてもう半年だ。
その間一回もない。
もしかしたら俺以外の見回り担当が投入してるのかもしれないけどな。
そんな話聞いたことないけど。
カタカタカタカタ
「なっ、なんだよ!」
目の前で細かく震動する魔道具……。
これ絶対ヤバいやつじゃね?
一応見たしもういいよな?
あっ、そうだ。魔石と言えば、俺1個だけ持ってるわ。
これとりあえず入れておこう。
頼む、あと1日でいいからもってくれ!
その小さな小指の先くらいのサイズの魔石を投入すると、一応震動は治まったようだ。
よかった。
「見回り終わりました!」
「ご苦労。何か変わったことはなかったか?」
「はい、空間の隅の方に行くと何やら不思議な声が聞こえたのと、あとは魔法障壁の魔道具が小刻みに震動していました」
「……なにもなかったようだな。ご苦労」
「あのう、俺、持ってた私物の魔石を入れたら震動は止まったんですが、これって補填してもらえるんですかね?」
「よし、ご苦労だった。行ってよし!」
ふざけんなよバカ野郎!!!
俺の魔石返せよ!まったく。
こんな仕事やめてやる!!!!
「また見習いがやめたのか。まったく、部下の管理もできんのか」
「しかし……さすがに限界です。明らかに魔法障壁の魔道具の様子がおかしいのです」
「どうおかしいのだ?」
「……」
「この無能が! 少しは調べて物を言え!」
「しかし魔石はどうなったのですか? 小さな魔石を入れたら異変が少しは治まったのです。手順に決められた量を投入すべきです!」
「ふん。そんなものはない。どうせ王妃様がお召し物の購入に使ってしまったから」
「……」
そんなやり取りが魔法師団の担当者との間であったようで、俺は上司と一緒に退職したのだった。
レーネちゃん。悪いことは言わないから、王城の食堂の仕事はやめた方がいいよ?
その言葉を伝える機会はなかった。
204
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
やり直し悪女は転生者のヒロインと敵対する
光子
恋愛
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう……
断頭台を登る足が震える。こんなところで死にたくないと、心の中で叫んでいる。
「《シルラ》、君は皇妃に相応しくない! その罪を悔い、死で償え!」
私に無情にも死を告げるのは、私の夫である《キッサリナ帝国》の皇帝陛下 《グラレゴン》で、その隣にいるのは、私の代わりに皇妃の座に収まった、《美里(みさと)》と呼ばれる、異世界から来た転生者だった。
「さようならシルラ、また、来世で会えたら会いましょうね。その時には、仲良くしてくれたら嬉しいな!」
純粋無垢な笑顔を浮かべ、私にお別れを告げる美里。
今の人生、後悔しかない。
もしやり直せるなら……今度こそ間違えない! 私は、私を大切に思う人達と、自分の幸せのために生きる! だから、お願いです女神様、私の人生、もう一度やり直させて……! 転生者という、未来が分かる美里に対抗して、抗ってみせるから! 幸せになってみせるから! 大切な人を、今度こそ間違えたりしないから!
私の一度目の人生は幕を閉じ――――
――――次に目を覚ました時には、私は生家の自分の部屋にいた。女神様の気まぐれか、女神様は、私の願いを叶えて下さったのだ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる