10 / 46
第10話 お兄様とヴェルト教授の距離が近すぎる件(エフィ視点)
しおりを挟む
翌日登校した私はいつも通りヴェルト教授の研究室に直行した。
もはや教室や学友に何の興味も関心もなくなった。目指すは研究のみ。
もしかして教授になるための試験を受けられないだろうか。
私は本気でそう考える時があった。
今まで、王子と婚約している時には絶対に叶わない夢だった。
だけど、晴れて自由の身にになったのだから、それもありなのかもしれない。
魔法使いを優遇してくれるエルダーウィズ公爵家であれば、許されるかもしれない。
とまあ、それは置いておこう。
もし受けるとしたら来年度だし、まだまだ時間はあるから。
「どうしたんだエフィ。良い笑顔をしているな」
「おはようございます、ヴェルト教授」
研究室に着いて早々、珍しくヴェルト教授が出迎えてくれた。
本当に珍しいことに服はよれてないし、白衣がぱりっとしているし、なんと薄く化粧もしているようだ。
ただ、この方の感覚は少し一般と違うところがあって、スカートは短いし、胸元は大きく空いているし……その、はっきり言って少し卑猥だ。
でも珍しい。いつもは落ちてる布を拾って身にまといましたと言わんばかりに適当な格好をしているのに。
甥っ子くんがどれだけ顔を赤くして注意しても聞きもしないのに。
今日は氷でも降ってくるのかな?
もしかして槍とか?
どうか私にあたりませんように……。
「クラム殿から連絡があってな。魔石を持ってきてくれるそうなんだ。なにかお願いしてくれたのかい?」
「えっ? あぁ、そうです。昨日お願いしたら、屋敷にある魔石は全部譲ってくれるって」
「それはありがたい! これでしばらく魔石の残数を気にする必要がなくなるな。昨日のうちにエルダーウィズ公爵家の方を通じて連絡してくれたんだが、びっくりしてしまった。ありがとうな、エフィ」
どうやらお兄様がきっちり連絡してくれていたみたいだ。
既に時間まで整えて……。ありがとうございます、お兄様。帰ったらちゃんとお礼を言わないと。
それにしてもヴェルト教授……。独身のお兄様に会うのに、その恰好はちょっとどうなのかしら?
ちょっと煽情的すぎるんじゃないかしら……。
珍しくちゃんと服は着ているものの、お兄様に会うのだとすると、これは妹として注意をした方がいいのかしら……。
でもお兄様もわざわざ来るということは……えっ?もしかして?
私がちょっと自分の考えに驚いていると、本当にお兄様がやってきた。
そして会議室に案内され、ヴェルト教授が明らかにご機嫌な様子で入って行った。
そこから出てくる甥っ子くん。彼の名前はアルスくんだ。
ヴェルト教授の甥っ子だと聞いているけど、歳は13歳で、私より3つ年下の童顔で可愛らしい顔つきの男の子。
こんな大きな甥っ子がいるということは、ヴェルト教授はお姉様かお兄様とは年が離れていたのだろうか?
そんなアルス君も驚いた顔で会議室から出て来た。
きっとヴェルト教授の様子に驚いたんだろう。
本当に2人が……?
でもそう考えると腑に落ちることはある。
そもそも私がここに入れてもらったのはお兄様の紹介だし。
えっ……本当に?
心の中でなにかチクっとした気がした。
妹として、お兄様のことを応援すべきだとはわかってるわ。
お兄様はエルダーウィズ公爵家の後継者だし、もう20歳で本来なら結婚していてしかるべき年。
なのに結婚しないのはなんでだろうって思ってた。
一方のヴェルト教授は24歳。お兄様よりは年上だけど、美人さんだし、凄まじい魔法の腕を持っている。
この国には15年前まで"魔女"と言われる大魔法使いがいた。
なんと出身はエルダーウィズ公爵家だ。
先先々代とか、先先先々代とかそんな感じのご当主様の妹で、魔法で長寿を保っていた方らしい。
私も会ったことがあるらしいけど、赤ちゃんの頃の話だし、当然覚えていない。
ちなみに王国の災厄と言われた魔物を封じたのは別の"魔女"様だ。だけど"魔女"の称号は素晴らしい魔法使いに送られるものだ。
そんな魔女を輩出した通り、エルダーウィズ公爵家は魔法に関係の深い家だ。
ヴェルト教授は幼いながらその魔女に認められた天才児だった。
もしかしたら周囲が納得する実績をあげるまで待っているのかもしれない。
お互い惹かれ合っていて……。
どうしよう。
私、ブラコンだったのかな?
この考えを続けるのが苦しい。
応援しなきゃいけないってわかってるのに……ごめんなさい、お兄様。
もちろん、そんな思いを抱えていたとしても、今私ができることは何もない。
ただただ、2人の話が終わるのを待つだけ。
研究室で様子を伺っていても、会話の内容なんてわからない。
ちらっとアルスくんが見えたが、彼も同じように様子をうかがっているみたいだった。
そうしてしばらくするとお兄様が会議室から出て来た。
私の方を一度見てくれて、目が合うと微笑んでくれた。
素敵なお兄様。
ただ、会話はすることなくお兄様は行ってしまった。
その後、だいぶたってから会議室から出て来たヴェルト教授はとてもご機嫌で、再び研究に没頭していた。
羨ましいと思った。
もはや教室や学友に何の興味も関心もなくなった。目指すは研究のみ。
もしかして教授になるための試験を受けられないだろうか。
私は本気でそう考える時があった。
今まで、王子と婚約している時には絶対に叶わない夢だった。
だけど、晴れて自由の身にになったのだから、それもありなのかもしれない。
魔法使いを優遇してくれるエルダーウィズ公爵家であれば、許されるかもしれない。
とまあ、それは置いておこう。
もし受けるとしたら来年度だし、まだまだ時間はあるから。
「どうしたんだエフィ。良い笑顔をしているな」
「おはようございます、ヴェルト教授」
研究室に着いて早々、珍しくヴェルト教授が出迎えてくれた。
本当に珍しいことに服はよれてないし、白衣がぱりっとしているし、なんと薄く化粧もしているようだ。
ただ、この方の感覚は少し一般と違うところがあって、スカートは短いし、胸元は大きく空いているし……その、はっきり言って少し卑猥だ。
でも珍しい。いつもは落ちてる布を拾って身にまといましたと言わんばかりに適当な格好をしているのに。
甥っ子くんがどれだけ顔を赤くして注意しても聞きもしないのに。
今日は氷でも降ってくるのかな?
もしかして槍とか?
どうか私にあたりませんように……。
「クラム殿から連絡があってな。魔石を持ってきてくれるそうなんだ。なにかお願いしてくれたのかい?」
「えっ? あぁ、そうです。昨日お願いしたら、屋敷にある魔石は全部譲ってくれるって」
「それはありがたい! これでしばらく魔石の残数を気にする必要がなくなるな。昨日のうちにエルダーウィズ公爵家の方を通じて連絡してくれたんだが、びっくりしてしまった。ありがとうな、エフィ」
どうやらお兄様がきっちり連絡してくれていたみたいだ。
既に時間まで整えて……。ありがとうございます、お兄様。帰ったらちゃんとお礼を言わないと。
それにしてもヴェルト教授……。独身のお兄様に会うのに、その恰好はちょっとどうなのかしら?
ちょっと煽情的すぎるんじゃないかしら……。
珍しくちゃんと服は着ているものの、お兄様に会うのだとすると、これは妹として注意をした方がいいのかしら……。
でもお兄様もわざわざ来るということは……えっ?もしかして?
私がちょっと自分の考えに驚いていると、本当にお兄様がやってきた。
そして会議室に案内され、ヴェルト教授が明らかにご機嫌な様子で入って行った。
そこから出てくる甥っ子くん。彼の名前はアルスくんだ。
ヴェルト教授の甥っ子だと聞いているけど、歳は13歳で、私より3つ年下の童顔で可愛らしい顔つきの男の子。
こんな大きな甥っ子がいるということは、ヴェルト教授はお姉様かお兄様とは年が離れていたのだろうか?
そんなアルス君も驚いた顔で会議室から出て来た。
きっとヴェルト教授の様子に驚いたんだろう。
本当に2人が……?
でもそう考えると腑に落ちることはある。
そもそも私がここに入れてもらったのはお兄様の紹介だし。
えっ……本当に?
心の中でなにかチクっとした気がした。
妹として、お兄様のことを応援すべきだとはわかってるわ。
お兄様はエルダーウィズ公爵家の後継者だし、もう20歳で本来なら結婚していてしかるべき年。
なのに結婚しないのはなんでだろうって思ってた。
一方のヴェルト教授は24歳。お兄様よりは年上だけど、美人さんだし、凄まじい魔法の腕を持っている。
この国には15年前まで"魔女"と言われる大魔法使いがいた。
なんと出身はエルダーウィズ公爵家だ。
先先々代とか、先先先々代とかそんな感じのご当主様の妹で、魔法で長寿を保っていた方らしい。
私も会ったことがあるらしいけど、赤ちゃんの頃の話だし、当然覚えていない。
ちなみに王国の災厄と言われた魔物を封じたのは別の"魔女"様だ。だけど"魔女"の称号は素晴らしい魔法使いに送られるものだ。
そんな魔女を輩出した通り、エルダーウィズ公爵家は魔法に関係の深い家だ。
ヴェルト教授は幼いながらその魔女に認められた天才児だった。
もしかしたら周囲が納得する実績をあげるまで待っているのかもしれない。
お互い惹かれ合っていて……。
どうしよう。
私、ブラコンだったのかな?
この考えを続けるのが苦しい。
応援しなきゃいけないってわかってるのに……ごめんなさい、お兄様。
もちろん、そんな思いを抱えていたとしても、今私ができることは何もない。
ただただ、2人の話が終わるのを待つだけ。
研究室で様子を伺っていても、会話の内容なんてわからない。
ちらっとアルスくんが見えたが、彼も同じように様子をうかがっているみたいだった。
そうしてしばらくするとお兄様が会議室から出て来た。
私の方を一度見てくれて、目が合うと微笑んでくれた。
素敵なお兄様。
ただ、会話はすることなくお兄様は行ってしまった。
その後、だいぶたってから会議室から出て来たヴェルト教授はとてもご機嫌で、再び研究に没頭していた。
羨ましいと思った。
179
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
【完結】私が誰だか、分かってますか?
美麗
恋愛
アスターテ皇国
時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった
出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。
皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。
そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。
以降の子は妾妃との娘のみであった。
表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。
ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。
残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。
また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。
そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか…
17話完結予定です。
完結まで書き終わっております。
よろしくお願いいたします。
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる