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第17話 一方その頃ギード王子たちは⑤
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□王城にて (国王)
「ふむ、良いお茶じゃろう」
「……あっ、陛下……」
余は執務室で息子が婚約すると言って連れて来た娘への王妃教育の合間にお茶を楽しんでいた。
楽しんでいたのはお茶だけではないが。
それにしても良い女だのぅ。
ギードが入れ込むのもわかる。
すらりとした体躯に磨き抜かれた白い肌。
美しく長い金髪に豊満な胸に尻。
悪くない。
悪くないぞ。
「もう少し表情を消せるようにならねばならぬぞ? 社交界では魑魅魍魎。貴族たちの目はどこにでもあると思え。そんなところで王家が隙を見せるわけにはいかぬのだ」
「はぁっ、はい……陛下……」
まったく、ちょっと揶揄ったらこれじゃ。
若いのぅ。
所詮は子爵の娘。王家の者としての覚悟はまだまだないようじゃの。
例え腕を切り落とされようとも、平静を保つ。それが王家としての資質なのじゃ。
にもかかわらず……まぁ、修行と称してもう少し楽しんでやるとしようかの。
「へっ……陛下……よろしいでしょうか?」
楽しい時間を過ごしていたら、執務室の扉がノックされ、大臣の焦ったような声が聞こえて来た。
余は全くもって構わんが、目の前の娘は大変じゃろうな。
「……」
ふむ、急いで取り繕うとするくらいの気概はあるか。結構結構。
さすがに国王が王太子の婚約者と遊んでいるなどと噂されてはかなわんしのう。
少しだけ待ってやろうかと思ったが……
「かまわん。入れ」
「へっ、陛下……」
まぁ、まだ準備は整っておらぬが悪戯に許可を出す。
ほれ、早くしろ。
大臣が来ておるのにいたずらに時間を使うなど、まさかそんなことはないじゃろうな?
「……」
余が睨むと慌てて整えたようじゃ。
そして微妙に時間を空けて大臣が入ってくる。
さすがに大臣はよくわかっておるのう。
「お忙しいところ、失礼します。報告があります」
ふむ、特に今余からの緊急の用はない。ということは何かあったのか?
最近小さいが地震のような揺れが続いておるのが気になっておるのじゃが……。
ただ、魔石は一定期間ごとに投入しているはずじゃし、問題はないはずじゃが……。
「陛下、大変です。王都での魔石供給が2週間前から途絶えていることがわかりました!」
大臣の血相は悪い。
2週間だと?
それはエルダーウィズ公爵家の娘とギードのやつが婚約破棄をしてからということじゃな。
「なんじゃと!?どういうことじゃ!?エルダーウィズ公爵家は何をしている?」
こんなにもあからさまにやってくるとは、気でも違ったか公爵よ。
気弱で日和見で軟弱な当主じゃが、安定して任務をこなしているから様子見をしていたというのに、どういうことじゃ?
国内で唯一魔石が産出される魔鉱山を持ち、魔石の流通を担っている公爵家が流通を止めない限り、魔石の供給が途絶えることはあり得ない。
流通網は万が一に備えて複数確保しておるのじゃ。
まさか反逆か?
いや、しかし、あの日和見で優柔不断な公爵がそこまで大それたことをするか?
確かに娘とギード王子の婚約破棄は一大事ではあるが、今のところ賠償金などについて何も言って来ぬ。謝罪すら求めてこないのが不思議じゃが……。そもそも息子であるロイドがギード王子の側近をしている。それを継続しているのだから、文句を言うか迷っているのかとも思っていたが、違うのか?
なぜこんな強烈な手段をいきなり使ってくる?
今までの公爵からすると考えられないことだ。
どうやら息子が力を持ってきておるようじゃがそれが関係しておるのか?
ロイドが台頭してはまずいことがあるのかもしれぬな。
しかしいくら考えても仕方がない。事実として供給が止まっているなら一大事だ。
災厄の魔物を封じ込めた守護結界が破れたりしたら大変だ。
そんなことになったら王都は灰塵と化すじゃろう。
以前現れたときは王城の崩落程度だったようじゃが、それから100年以上封じられて力を貯めている。
「すぐにギードを呼べ。なにが起きているのか調べさせよ!」
「はっ」
「父上、お呼びとのことですが……ここにいたのかオルフェ……探していたのに」
ギードはやってくるなり魔石供給が止まったことなどそっちのけで婚約者の心配を始めおった。
バカが。そのようなことをすれば、この女がお前の急所だと知らしめているだけじゃぞ?
ここには大臣もいる。彼は余の腹心だが、お前の絶対的な味方ではないのだ。
後で叱りつけねばならぬな。なんならこいつの目の前で女を辱めれば少しは成長するじゃろうか?
だが、そんなことは後じゃ。今は魔石のことが大事だ。
「ギードよ。王都での魔石供給が止まっているとのことだ。公爵家との関係はどうなっている!?」
「なんですと?そんなはずは……」
まったく把握していないらしい。
ロイドから何か聞いているくらいのことをしていればまだ許せるものを。
「エルダーウィズ公爵家のことは任せたはずだ。すぐに調べろ!」
「はい!」
女にうつつを抜かしている場合ではないのだ。早く行け。
それでは余はまた報告を待って居よう。
オルフェとお茶でもしながらな……。
「ふむ、良いお茶じゃろう」
「……あっ、陛下……」
余は執務室で息子が婚約すると言って連れて来た娘への王妃教育の合間にお茶を楽しんでいた。
楽しんでいたのはお茶だけではないが。
それにしても良い女だのぅ。
ギードが入れ込むのもわかる。
すらりとした体躯に磨き抜かれた白い肌。
美しく長い金髪に豊満な胸に尻。
悪くない。
悪くないぞ。
「もう少し表情を消せるようにならねばならぬぞ? 社交界では魑魅魍魎。貴族たちの目はどこにでもあると思え。そんなところで王家が隙を見せるわけにはいかぬのだ」
「はぁっ、はい……陛下……」
まったく、ちょっと揶揄ったらこれじゃ。
若いのぅ。
所詮は子爵の娘。王家の者としての覚悟はまだまだないようじゃの。
例え腕を切り落とされようとも、平静を保つ。それが王家としての資質なのじゃ。
にもかかわらず……まぁ、修行と称してもう少し楽しんでやるとしようかの。
「へっ……陛下……よろしいでしょうか?」
楽しい時間を過ごしていたら、執務室の扉がノックされ、大臣の焦ったような声が聞こえて来た。
余は全くもって構わんが、目の前の娘は大変じゃろうな。
「……」
ふむ、急いで取り繕うとするくらいの気概はあるか。結構結構。
さすがに国王が王太子の婚約者と遊んでいるなどと噂されてはかなわんしのう。
少しだけ待ってやろうかと思ったが……
「かまわん。入れ」
「へっ、陛下……」
まぁ、まだ準備は整っておらぬが悪戯に許可を出す。
ほれ、早くしろ。
大臣が来ておるのにいたずらに時間を使うなど、まさかそんなことはないじゃろうな?
「……」
余が睨むと慌てて整えたようじゃ。
そして微妙に時間を空けて大臣が入ってくる。
さすがに大臣はよくわかっておるのう。
「お忙しいところ、失礼します。報告があります」
ふむ、特に今余からの緊急の用はない。ということは何かあったのか?
最近小さいが地震のような揺れが続いておるのが気になっておるのじゃが……。
ただ、魔石は一定期間ごとに投入しているはずじゃし、問題はないはずじゃが……。
「陛下、大変です。王都での魔石供給が2週間前から途絶えていることがわかりました!」
大臣の血相は悪い。
2週間だと?
それはエルダーウィズ公爵家の娘とギードのやつが婚約破棄をしてからということじゃな。
「なんじゃと!?どういうことじゃ!?エルダーウィズ公爵家は何をしている?」
こんなにもあからさまにやってくるとは、気でも違ったか公爵よ。
気弱で日和見で軟弱な当主じゃが、安定して任務をこなしているから様子見をしていたというのに、どういうことじゃ?
国内で唯一魔石が産出される魔鉱山を持ち、魔石の流通を担っている公爵家が流通を止めない限り、魔石の供給が途絶えることはあり得ない。
流通網は万が一に備えて複数確保しておるのじゃ。
まさか反逆か?
いや、しかし、あの日和見で優柔不断な公爵がそこまで大それたことをするか?
確かに娘とギード王子の婚約破棄は一大事ではあるが、今のところ賠償金などについて何も言って来ぬ。謝罪すら求めてこないのが不思議じゃが……。そもそも息子であるロイドがギード王子の側近をしている。それを継続しているのだから、文句を言うか迷っているのかとも思っていたが、違うのか?
なぜこんな強烈な手段をいきなり使ってくる?
今までの公爵からすると考えられないことだ。
どうやら息子が力を持ってきておるようじゃがそれが関係しておるのか?
ロイドが台頭してはまずいことがあるのかもしれぬな。
しかしいくら考えても仕方がない。事実として供給が止まっているなら一大事だ。
災厄の魔物を封じ込めた守護結界が破れたりしたら大変だ。
そんなことになったら王都は灰塵と化すじゃろう。
以前現れたときは王城の崩落程度だったようじゃが、それから100年以上封じられて力を貯めている。
「すぐにギードを呼べ。なにが起きているのか調べさせよ!」
「はっ」
「父上、お呼びとのことですが……ここにいたのかオルフェ……探していたのに」
ギードはやってくるなり魔石供給が止まったことなどそっちのけで婚約者の心配を始めおった。
バカが。そのようなことをすれば、この女がお前の急所だと知らしめているだけじゃぞ?
ここには大臣もいる。彼は余の腹心だが、お前の絶対的な味方ではないのだ。
後で叱りつけねばならぬな。なんならこいつの目の前で女を辱めれば少しは成長するじゃろうか?
だが、そんなことは後じゃ。今は魔石のことが大事だ。
「ギードよ。王都での魔石供給が止まっているとのことだ。公爵家との関係はどうなっている!?」
「なんですと?そんなはずは……」
まったく把握していないらしい。
ロイドから何か聞いているくらいのことをしていればまだ許せるものを。
「エルダーウィズ公爵家のことは任せたはずだ。すぐに調べろ!」
「はい!」
女にうつつを抜かしている場合ではないのだ。早く行け。
それでは余はまた報告を待って居よう。
オルフェとお茶でもしながらな……。
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