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第8話 発見されたダンジョンの調査
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エリーゼたちがキーザの街で魔神崇拝者たちを倒してから1か月が経過した頃……
「ふぅ~ん。新しいダンジョンね。これで4か所目かしら?」
「そうでございますな。ロガルディエ、フレーヴェア、リセスに次いで今回のパルメアで4か所目でございます」
紅茶を頂きながら執務室で新聞を読んでいた私の呟きに、執事のセバスチャンがきっちりと回答してくれた。
「お嬢様。少々お行儀が……」
「いいじゃない、誰も見てないわよ」
そして片手でカップを持って、もう片方の手で新聞を抱えている私に苦言を呈してくる。
「王国は景気がいいわね。まぁ、未知のダンジョンなんて何が出てくるかわからないし、そんな怖いところに行きたくはないけれど」
私はそんなセバスチャンを無視して新聞を読み続ける。
新しいダンジョンが見つかると探索のために人が集まるし、ドロップアイテムが取れだすと市場もにぎわう。
いいことづくめだ。
「そのダンジョンの調査指令が来ていますよ」
ぷぅーーーーー
「おっ、お嬢様っ」
「また嫌がらせね!ムキーーーーーー!!!!!!!!!!」
私は口に含んでいた紅茶を全て新聞に向けて発射した後、王宮のクソどもを思い浮かべて精一杯頭の中で罵り、ナイフを刺し、ぐちゃぐちゃにした。
セバスチャンは封筒から出した指令書を私に見せようとしていたようだが、紅茶を発射した私を見て焦ったようね。
あら失礼。
つい怒りと恨みが許容範囲を超えてしまいましたわ。
おほほほほほほ。
「落ち着かれましたかな?では、今回の依頼の確認から行いましょう」
あの後新聞から垂れた紅茶で服を汚してしまったので着替えた私は再び執務室でセバスチャンとソファーで向き合っている。
テーブルには指令書を置いている。
封筒?破って切り刻んで燃やしたわ。
「指令内容はダンジョンの5層までの調査ね」
この世界にはたまにダンジョンが発見される。
誰が作ったのかはわかならいけど、ある日忽然とそこに存在しているとても奇妙なもの。
出現する時には神殿に神託が降りるから、恐らく神様達が作ってるんだろうけど目的はわからない。
どんな敵が出るのかとか、どんなアイテムが手に入るのかとか、そもそも何層あるのかとか、出現した時には全く分からない。
「神託の内容を確認させましたが低ランクとのことでしたので、怪しい点はないかと」
「そう……」
てっきり王宮が報酬をケチって探索階層を少なくしてきたのだと思ったのだけど、違うみたいね。
ダンジョンには高、中、低のランクがあって、それぞれたいてい20層、10層、5層の構造になっている。
まぁ、低ランクなら特に危険はないでしょう。
でも、怪しい。
依頼の書類に特に怪しいところはない。
それが、怪しい。
「今回はライラとダリウスとエレノアでよろしいでしょうか?」
「カリナとグレゴールは別件対応中だものね。ただ、警戒はしておきたいわ」
あの王太子のことだから、きっとなにかあるはず。
さすがに神託を偽るような力はないはずだけど。
そもそも真っ当な依頼を"王宮の犬"と蔑んでいる相手に渡す必要はないのよね。
そんなものはいくらでも受けたい人たちがいるはず。
わざわざ私たちのところに回したということは、絶対に何かある。
「その他となると、今はほとんどで払っておりますので、不肖、このセバス……」
「アッシュに頼むわ」
「わかりました」
なんであなたが腕まくりしてたのかしら?あなたがここにいないと依頼の授受も伝達も家のことも何もかもが滞るからダメよ。
前から言ってる後進を育ててくれたら考えるわ。
「アッシュ、助けて」
なんて言えば来てくれるわよね、きっと間違いなく……
「どうした?エリー」
「……」
えっ、もう来たんですけど、この人怖い……。
なんでゆったりとソファーに座ってるの?
「そうか。ダンジョンか。エリーについて行けばいいんだな?」
「……」
私は驚いたの。アッシュが平然と私の紅茶を勝手に飲んだからじゃないわ。
今さら間接キスを気にするほど乙女でもないし、彼が私の肩に手を回していることでもないわ。それはもう慣れたの。
私が驚いたのは、依頼の内容を確認するや否や出撃して行って気付いた時には完了してるなんて無茶苦茶なことをせずにこの場で自制して座っていたことによ。
人は成長するものなのね。
ただ、お説教は確定。
まずは状況を確認しなくては。
「アッシュ?私、この前のキーザの件のときに人の頭は覗くなって言ったわよね?」
「あぁ。今回はエリーのは覗いてないぞ?」
なんですって?ここも自制してる?
もしかしてテーブルに置いてある指令書を読んだだけ?
明日、魔法の嵐でも降ってくるんじゃないでしょうね!?
「ん?私のは?」
「あぁ。そこのおじさんのを覗いたんだ」
「わっ、わたしのですか???いつの間に????」
「覗いてるじゃないの!!!」
「えぇ、エリー以外もダメなのか?いや、しかしそれは……」
何をぶつぶつ言っているの?
現在進行形で誰かの頭を覗いてるとか言わないわよね?
もう、怖いからもういいわ!
「あと、存在感知だっけ?あれはやらないでって」
「あぁ、ちゃんと存在感知は切ったぞ?」
「じゃあ今のは何なの?なんで呟いただけでやってこれるのよ」
「それは愛の力だな。なんか呼ばれる声が聞こえたんだ」
「……」
なおさら悪いわ!
どういうこと?
想いが強まりすぎてってこと?怖いし重いわ!
これからもう一切アッシュって呟けないじゃないのよ!
もう、誰か助けて……。
いや、ダメよね。
指令をこなさなくちゃ。
「アッシュに手伝ってほしいのよ♡」
「まかせろ!」
「ふぅ~ん。新しいダンジョンね。これで4か所目かしら?」
「そうでございますな。ロガルディエ、フレーヴェア、リセスに次いで今回のパルメアで4か所目でございます」
紅茶を頂きながら執務室で新聞を読んでいた私の呟きに、執事のセバスチャンがきっちりと回答してくれた。
「お嬢様。少々お行儀が……」
「いいじゃない、誰も見てないわよ」
そして片手でカップを持って、もう片方の手で新聞を抱えている私に苦言を呈してくる。
「王国は景気がいいわね。まぁ、未知のダンジョンなんて何が出てくるかわからないし、そんな怖いところに行きたくはないけれど」
私はそんなセバスチャンを無視して新聞を読み続ける。
新しいダンジョンが見つかると探索のために人が集まるし、ドロップアイテムが取れだすと市場もにぎわう。
いいことづくめだ。
「そのダンジョンの調査指令が来ていますよ」
ぷぅーーーーー
「おっ、お嬢様っ」
「また嫌がらせね!ムキーーーーーー!!!!!!!!!!」
私は口に含んでいた紅茶を全て新聞に向けて発射した後、王宮のクソどもを思い浮かべて精一杯頭の中で罵り、ナイフを刺し、ぐちゃぐちゃにした。
セバスチャンは封筒から出した指令書を私に見せようとしていたようだが、紅茶を発射した私を見て焦ったようね。
あら失礼。
つい怒りと恨みが許容範囲を超えてしまいましたわ。
おほほほほほほ。
「落ち着かれましたかな?では、今回の依頼の確認から行いましょう」
あの後新聞から垂れた紅茶で服を汚してしまったので着替えた私は再び執務室でセバスチャンとソファーで向き合っている。
テーブルには指令書を置いている。
封筒?破って切り刻んで燃やしたわ。
「指令内容はダンジョンの5層までの調査ね」
この世界にはたまにダンジョンが発見される。
誰が作ったのかはわかならいけど、ある日忽然とそこに存在しているとても奇妙なもの。
出現する時には神殿に神託が降りるから、恐らく神様達が作ってるんだろうけど目的はわからない。
どんな敵が出るのかとか、どんなアイテムが手に入るのかとか、そもそも何層あるのかとか、出現した時には全く分からない。
「神託の内容を確認させましたが低ランクとのことでしたので、怪しい点はないかと」
「そう……」
てっきり王宮が報酬をケチって探索階層を少なくしてきたのだと思ったのだけど、違うみたいね。
ダンジョンには高、中、低のランクがあって、それぞれたいてい20層、10層、5層の構造になっている。
まぁ、低ランクなら特に危険はないでしょう。
でも、怪しい。
依頼の書類に特に怪しいところはない。
それが、怪しい。
「今回はライラとダリウスとエレノアでよろしいでしょうか?」
「カリナとグレゴールは別件対応中だものね。ただ、警戒はしておきたいわ」
あの王太子のことだから、きっとなにかあるはず。
さすがに神託を偽るような力はないはずだけど。
そもそも真っ当な依頼を"王宮の犬"と蔑んでいる相手に渡す必要はないのよね。
そんなものはいくらでも受けたい人たちがいるはず。
わざわざ私たちのところに回したということは、絶対に何かある。
「その他となると、今はほとんどで払っておりますので、不肖、このセバス……」
「アッシュに頼むわ」
「わかりました」
なんであなたが腕まくりしてたのかしら?あなたがここにいないと依頼の授受も伝達も家のことも何もかもが滞るからダメよ。
前から言ってる後進を育ててくれたら考えるわ。
「アッシュ、助けて」
なんて言えば来てくれるわよね、きっと間違いなく……
「どうした?エリー」
「……」
えっ、もう来たんですけど、この人怖い……。
なんでゆったりとソファーに座ってるの?
「そうか。ダンジョンか。エリーについて行けばいいんだな?」
「……」
私は驚いたの。アッシュが平然と私の紅茶を勝手に飲んだからじゃないわ。
今さら間接キスを気にするほど乙女でもないし、彼が私の肩に手を回していることでもないわ。それはもう慣れたの。
私が驚いたのは、依頼の内容を確認するや否や出撃して行って気付いた時には完了してるなんて無茶苦茶なことをせずにこの場で自制して座っていたことによ。
人は成長するものなのね。
ただ、お説教は確定。
まずは状況を確認しなくては。
「アッシュ?私、この前のキーザの件のときに人の頭は覗くなって言ったわよね?」
「あぁ。今回はエリーのは覗いてないぞ?」
なんですって?ここも自制してる?
もしかしてテーブルに置いてある指令書を読んだだけ?
明日、魔法の嵐でも降ってくるんじゃないでしょうね!?
「ん?私のは?」
「あぁ。そこのおじさんのを覗いたんだ」
「わっ、わたしのですか???いつの間に????」
「覗いてるじゃないの!!!」
「えぇ、エリー以外もダメなのか?いや、しかしそれは……」
何をぶつぶつ言っているの?
現在進行形で誰かの頭を覗いてるとか言わないわよね?
もう、怖いからもういいわ!
「あと、存在感知だっけ?あれはやらないでって」
「あぁ、ちゃんと存在感知は切ったぞ?」
「じゃあ今のは何なの?なんで呟いただけでやってこれるのよ」
「それは愛の力だな。なんか呼ばれる声が聞こえたんだ」
「……」
なおさら悪いわ!
どういうこと?
想いが強まりすぎてってこと?怖いし重いわ!
これからもう一切アッシュって呟けないじゃないのよ!
もう、誰か助けて……。
いや、ダメよね。
指令をこなさなくちゃ。
「アッシュに手伝ってほしいのよ♡」
「まかせろ!」
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