王宮の犬~王太子の愛人の話を蹴って働く私には報復なのか無茶な指令ばかり……超強い協力者といつかきっと一族の安住の地をみつけてやるわ!~

蒼井星空

文字の大きさ
9 / 28

第9話 ダンジョン探索

しおりを挟む
□???

もぞもぞ……もぞもぞ……

仄暗い場所で蠢く何か。

よく見ればそれは無数に存在している。

何かはわからない。

黒い虫のようでもあり、石のようでもある。

モンスターなのかもしれない?

もし人が見れば疑問を感じるだろう。

いや、疑問を感じる前に精神が汚染されて発狂するかもしれない。

それらは一様に同じ方向に向いて蠢いている。

ただ、彼らの進む先もまた仄暗く、なにがあるのかはわからない。



□パルメアの探索者ギルド

「いい?アッシュ、絶対に黙っていてね。そして口を挟まないで。これが守れないならあなたは拠点で待機よ」
「あぁ」
私はきっちりとアッシュに注意する。
これから探索者ギルドで新しくできたダンジョンの調査を行うのだ。

もちろん事前にダリウスたちが調査をしてくれているが、ありきたりな情報ばかりだった。
本当にその通りなら楽な指令で良いのだが、どうにも不安感というか違和感を消せなかった私は自分で調査に赴いたのよ。
どうしてもアッシュが離れてくれないから連れて来てしまったけどね。


「いらっしゃいませ。当ギルドになにか御用でしょうか?」
「こんにちは。私はエルトリア・ハーメット。このパルメアに新しくできたダンジョンについて教えてほしいのよ」
私はルイン伯爵であることは隠しつつ、家名を名乗ることで貴族の子弟を装っている。
この方が話を聞きやすいことが多いためよ。要は舐められないの。

「そうでしたか。ただ、新しいダンジョンということで期待されているのかもしれませんが、神託においても、初期の調査においても低ランクダンジョンですので、あまり調べるようなことはないかと」
しかし、当然かもしれないが予想通りの陳腐な回答しか返ってこない。
まぁこれは表向きどう言われているかの確認でしかないからいいんだけど、情報を持っている人の紹介くらいはお願いしたいわね。

「やはりそうですか。ただ、もしよければ既に探索を行った方などご紹介願えないでしょうか?」
「探索者ですか。それなら……」
「俺が教えてやろうか?」
あまりにもちょろいけど釣れたわね。
後ろから声をかけられたので振り向くと、禿頭で筋肉質でお世辞にもインテリとは言い難い男性が立っていた。

その視線は清清しいほど下卑たもので、顔と胸とお尻とをきっちり順番に凝視した後にもう一度胸に戻った。
あぁ、殴り飛ばしたい。
でも我慢我慢。

私はアッシュが暴走しないように彼の腕を取っておきます。

「お願いしたいわね。そっちの酒場でどう?奢るわ」
「話が早ぇな。そのボンクラ男がいなきゃもっといいんだがな。なぁ姉ちゃん。ステキな夜をお返しするぜ?」
私が全力で抑えているのがわからないのかしら?瞬殺されるからやめてほしい。
ほら、明らかに怒ってる。抑えなさい。
私の頭の中を覗くの禁止しなきゃよかったわ。今こそ覗くときよ!

そんな私の心配をよそに、アッシュは黙々とついてきた。
「なんだよ」
禿頭が訝しんでいるがもう突っかからないでほしい。

「で、なにが聞きたいんだ?」
なぜか急に親切になる禿頭。なぜ?

「今回できたダンジョンに潜ったんでしょ?なにか違和感を感じたりしなかった?」
「あぁ……特に何の特徴もないダンジョンだったぞ?5層まで行って、ボス部屋でボスとして出てきたワイルドボアを倒して戻ってきた」
ふむ……既にクリア済みなのか。
これはもしかしてダンジョン自体の調査が目的じゃなくて、例えばダンジョン探索中に強襲して私たちを捕えたいとかそう言う企みなのかしら?
それとも……?

「そう言えば、パーティーメンバーの斥候がボスを倒した後でも何か気配がするとか言ってたけど、それでもアナウンスとしてクリアしましたっていうのが頭の中に響いたからなぁ。特に低ランクダンジョンとしておかしなことはないと思うんだが」
ボスを倒した後に気配?

通常ダンジョンではボスを倒したからと言って他のモンスターが全部消えるとかそういうことはない。
ボス部屋の前で放置したモンスターがいれば、ボスを倒してボス部屋を出たときに再度戦闘になるようなことは日常茶飯事だ。

「もしボス部屋の中で気配を感じたのなら、それはおかしいわね。でも、アナウンスがあったということはクリア扱いなんだろうし……妙ね」
ボスの仲間が残っているならクリア扱いにはならないが、ボス部屋にボス以外の存在がいることは普通ない。

特定の状況下においてだけ出現するエクストラステージも存在するとは聞いたことがあるけど、高ランクのダンジョン限定の話のはずよね?

うーん、わからないわね。
これ以上は行ってみるしかないかしら。

「エリー、もういいか?」
「ん?」

私が話しながらある程度考えをまとめると、アッシュが突然そんなことを言いだした。目の前にまだ禿頭がいるのに失礼すぎじゃない?怒らないかしら、と思って禿頭を見るが、まるでアッシュの言葉は聞こえていないかのようにそこにいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...