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これまでの私
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「お姉ちゃん、それ頂戴」
二つ下の妹の常套句。この魔法の言葉で彼女は私からあらゆるものを奪ってきた。
それでも小さな頃は良かった。お気に入りの玩具や洋服を強請られるのは、やはり悲しかったが、言ってしまえば替えはきく。大事にしていた友達のウサギのぬいぐるみやお洒落用の洋服も既製品。
その為、両親は『お姉ちゃんなんだから』、『また買ってあげるから』と私のお気に入りを妹に譲るように諭す。
妹は外見は美人な母に似てとても綺麗で美少女だ。くりくりの大きな瞳に小振りな顔、愛くるしい表情と誰からも大切に愛され甘やかされた。その筆頭が両親なのが笑える。
対して私はどちらかというと父に似ている。外見は平均的だったが、官僚をしている父の要素を受け継いだのか、なかなかに学校での成績は優秀だった。
中学に上がる頃には、物ではなく人になっていった。中学で出来た友達も妹が入学してくると私の醜聞も吹き込み、少しでも私が親しくする同級生などをいつの間にか把握し、どうやったのか定かではないが、ある日同級生は蔑んだ瞳を向けるようになった。
更には異性関係でも妹は手を出してきた。恋人として紹介した途端に『頂戴』という常套句を放ち、数日後には恋人は元恋人になった。
徹底的に私からあらゆるものを奪う妹はその反面飽きやすい。私から奪ったウサギのぬいぐるみは無惨にも引き千切られて返ってきたり、洋服もどこで汚したのかどうやっても落ちない汚れにまみれて返ってきた。
そんなある日、私が中学三年、妹が一年の時に可愛がってくれていた祖母が亡くなった。私は祖母が大好きだった。
両親から与えられなかった愛情を祖母は与えてくれた。そんな祖母が亡くなり、私は周りを気にする事なく泣いた。
泣いて泣いて、涸れ果てるまで泣いた。そんな大切な祖母の遺品として生前祖母が大切にしていた簪を貰った。
なんの変哲もない赤い蜻蛉玉が着いたシンプルな簪。そんな簪を祖母はよく着けていた。数年前に亡くなった最愛だった祖父から貰ったプレゼントだったそうだ。
赤い蜻蛉玉の簪を大切に保管していたが、ある日保管していた所から無くなった。直ぐに妹だと察し、詰問すると素直に認め返してくれた。
無惨にも蜻蛉玉は真っ二つになった状態だった。
替えのきかない大切な祖母の簪。この時、私は人生で初めてキレた。今まではどんなに抗っても両親に周りに妹に譲るように我慢するように強要された。それでも今までは唯々諾々と従い、諦めていた。
だが、これは、これだけは駄目だ。大切な祖母の大切な簪、もう何処にも祖母はいない。そんな彼女の生きた証をこんな状態で妹は『壊れちゃったから返すね』と言ってへらっと笑った。
赦せる筈がない。これまでだって散々奪ってきて、唯一奪われてたまるかと思ったものさえ、尚も私の大切なものを奪った妹が憎くて、悲しくて、どうしようもない、やり場のない憎しみからーーー
ーーーーー妹を殴った。
殴られた妹は初めての衝撃に泣きわめいた。大騒ぎした妹の声に両親は驚いて駆け付け、妹に対して暴力を振るった私を今度は父が殴り飛ばした。
女の力で殴られた妹よりも男である父に殴られた私の方が重傷で殴られた勢いで壁に叩き付けられた。それでも両親は泣きわめく妹を心配し、私の事は放置された。
この瞬間、私の両親に対する敬意や元々薄かった愛情は霧散し、もう何かを期待する事をやめた。
高校に上がってからはアルバイトを始め、細やかな給料を貯金し、趣味の香水を少しづつ集めるのを楽しみしていた。
キラキラと綺麗な光を発する香水の瓶と可愛らしい容器が好きで収集する。それをまた妹は、無断で持っていく。
もう両親と妹に対しては無関心を貫き、三年間を過ごした。高校を卒業すると大学に進学する為、アルバイトをして貯めていたお金を使って独り暮しを始めた。
家を出る日、必要最低限の荷物を持った私に両親は仕送りをしたいので住所を教えるように言ってきたが、仕送りも住所を教える事すら拒否して、長く住んだ家を出た。
大学は今まで住んでいた県の隣の県にある国立大へと進学。授業と生活費を稼ぐ為のアルバイトに忙しい毎日を過ごしていたが、両親と妹に煩わされる事がなくなり、私は充実していた。
ある日、長引いた授業のせいでアルバイトに遅れそうになった。急いでアルバイト先へと走っている時に妹と出会ってしまった。
妹はたまたま遊びに隣の県へと来ていたようで、『大学はこの近くなの?』『どこに住んでるの?』と質問攻めを始めた。妹に取り合っている時間などなかった私は『今、急いでるの』と答え、その場を後にしようとしたが、妹は自分がぞんざいな扱いをされるのに慣れていないのか激昂し、私の腕を掴んだ。
激しく抵抗し、離すように言うが妹は意地になって放そうとしない。
「放して!」
「答えてくれるまで放さないから!」
押し問答していたが、非力な女性の力がいつまでも持つわけもなく、妹の力が緩んだ。これ幸いと振り払った瞬間、ーーーー
ーーーー信号無視してきたトラックによって牽かれた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※暗い話から始まるなぁ~、いや、自分で書いたんだけどね!
二つ下の妹の常套句。この魔法の言葉で彼女は私からあらゆるものを奪ってきた。
それでも小さな頃は良かった。お気に入りの玩具や洋服を強請られるのは、やはり悲しかったが、言ってしまえば替えはきく。大事にしていた友達のウサギのぬいぐるみやお洒落用の洋服も既製品。
その為、両親は『お姉ちゃんなんだから』、『また買ってあげるから』と私のお気に入りを妹に譲るように諭す。
妹は外見は美人な母に似てとても綺麗で美少女だ。くりくりの大きな瞳に小振りな顔、愛くるしい表情と誰からも大切に愛され甘やかされた。その筆頭が両親なのが笑える。
対して私はどちらかというと父に似ている。外見は平均的だったが、官僚をしている父の要素を受け継いだのか、なかなかに学校での成績は優秀だった。
中学に上がる頃には、物ではなく人になっていった。中学で出来た友達も妹が入学してくると私の醜聞も吹き込み、少しでも私が親しくする同級生などをいつの間にか把握し、どうやったのか定かではないが、ある日同級生は蔑んだ瞳を向けるようになった。
更には異性関係でも妹は手を出してきた。恋人として紹介した途端に『頂戴』という常套句を放ち、数日後には恋人は元恋人になった。
徹底的に私からあらゆるものを奪う妹はその反面飽きやすい。私から奪ったウサギのぬいぐるみは無惨にも引き千切られて返ってきたり、洋服もどこで汚したのかどうやっても落ちない汚れにまみれて返ってきた。
そんなある日、私が中学三年、妹が一年の時に可愛がってくれていた祖母が亡くなった。私は祖母が大好きだった。
両親から与えられなかった愛情を祖母は与えてくれた。そんな祖母が亡くなり、私は周りを気にする事なく泣いた。
泣いて泣いて、涸れ果てるまで泣いた。そんな大切な祖母の遺品として生前祖母が大切にしていた簪を貰った。
なんの変哲もない赤い蜻蛉玉が着いたシンプルな簪。そんな簪を祖母はよく着けていた。数年前に亡くなった最愛だった祖父から貰ったプレゼントだったそうだ。
赤い蜻蛉玉の簪を大切に保管していたが、ある日保管していた所から無くなった。直ぐに妹だと察し、詰問すると素直に認め返してくれた。
無惨にも蜻蛉玉は真っ二つになった状態だった。
替えのきかない大切な祖母の簪。この時、私は人生で初めてキレた。今まではどんなに抗っても両親に周りに妹に譲るように我慢するように強要された。それでも今までは唯々諾々と従い、諦めていた。
だが、これは、これだけは駄目だ。大切な祖母の大切な簪、もう何処にも祖母はいない。そんな彼女の生きた証をこんな状態で妹は『壊れちゃったから返すね』と言ってへらっと笑った。
赦せる筈がない。これまでだって散々奪ってきて、唯一奪われてたまるかと思ったものさえ、尚も私の大切なものを奪った妹が憎くて、悲しくて、どうしようもない、やり場のない憎しみからーーー
ーーーーー妹を殴った。
殴られた妹は初めての衝撃に泣きわめいた。大騒ぎした妹の声に両親は驚いて駆け付け、妹に対して暴力を振るった私を今度は父が殴り飛ばした。
女の力で殴られた妹よりも男である父に殴られた私の方が重傷で殴られた勢いで壁に叩き付けられた。それでも両親は泣きわめく妹を心配し、私の事は放置された。
この瞬間、私の両親に対する敬意や元々薄かった愛情は霧散し、もう何かを期待する事をやめた。
高校に上がってからはアルバイトを始め、細やかな給料を貯金し、趣味の香水を少しづつ集めるのを楽しみしていた。
キラキラと綺麗な光を発する香水の瓶と可愛らしい容器が好きで収集する。それをまた妹は、無断で持っていく。
もう両親と妹に対しては無関心を貫き、三年間を過ごした。高校を卒業すると大学に進学する為、アルバイトをして貯めていたお金を使って独り暮しを始めた。
家を出る日、必要最低限の荷物を持った私に両親は仕送りをしたいので住所を教えるように言ってきたが、仕送りも住所を教える事すら拒否して、長く住んだ家を出た。
大学は今まで住んでいた県の隣の県にある国立大へと進学。授業と生活費を稼ぐ為のアルバイトに忙しい毎日を過ごしていたが、両親と妹に煩わされる事がなくなり、私は充実していた。
ある日、長引いた授業のせいでアルバイトに遅れそうになった。急いでアルバイト先へと走っている時に妹と出会ってしまった。
妹はたまたま遊びに隣の県へと来ていたようで、『大学はこの近くなの?』『どこに住んでるの?』と質問攻めを始めた。妹に取り合っている時間などなかった私は『今、急いでるの』と答え、その場を後にしようとしたが、妹は自分がぞんざいな扱いをされるのに慣れていないのか激昂し、私の腕を掴んだ。
激しく抵抗し、離すように言うが妹は意地になって放そうとしない。
「放して!」
「答えてくれるまで放さないから!」
押し問答していたが、非力な女性の力がいつまでも持つわけもなく、妹の力が緩んだ。これ幸いと振り払った瞬間、ーーーー
ーーーー信号無視してきたトラックによって牽かれた。
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※暗い話から始まるなぁ~、いや、自分で書いたんだけどね!
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いったん終了します
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