転生賢者は安心して死にたい ~転生者カノイの一生~

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第81話:獣害は下手すると命に係わる害悪

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さて、やってきたるは飛竜の群れ。

サリバン家の人々は血気盛んに槍だ弓だと準備を始めている。

それはリボルも例外ではなく、朝から右手に槍を持ち左手に弓を構え、背中には矢筒を背負っていた。

「もうやる気満々じゃん!」

「おうよ!大量に狩ってご先祖様の功績を塗り替えてやるぜ!」

「いやいやいや危ない危ない危ない。お家にいようよ!」

「なに言ってるんだよ!カノイにだって出撃命令が出てるだろ!?」

「まぁ、うん、いや、出なくていいなら出たくないよ!?」

そう、辺境伯として、王国から出撃命令が出ていた。

嫌だよ~命がけじゃんかよ~お家から出たくないよ~。

そう言って駄々をこねていてもしょうがないので飛竜の情報を調べる。

噂によると飛竜は山岳地帯から緑の多い王国領に攻め込んで来るらしい。

この飛竜、実は草食らしく人を襲うことはあまりない。

しかし、収穫頃のお野菜等を食い荒らすため王国民からは大層嫌われているのだとか。

そのため、冬の農作業がない時期に数を減らしておかなければならないのだという。

なるほど~脅威じゃなくても災害だから討伐するのね。

うん?ということは毒餌とかで処理できるんじゃないか?

なんて考えたが、どうやらそういったことには耐性があるらしい。

うーん、難しいな。

なんとか直接対決せずに処理したい所存。

デバッグモードで消すのも考えたが、数が多いとリポップするモンスターがどんな状況で現れるかわからないので手が付けられなかった。

ほんとにどうしようかな……。

「とりあえず俺は前衛な!」

「僕は後方支援ですね。カノイ様は指揮官なので中衛でどうでしょうか?」

「うーん、しょうがないな~。いやだけど行くか~。はぁ~……。」

なんとか飛竜と共存できないものか……餌をどうにかできればなぁ。

そうこう言っている間に戦場に着いた。

前線にはご存じサリバン家の皆々様が全国から集結している。

リボルも意気揚々とその人の群れに突っ込んでいった。

元気だな~。

後衛は教会関係者や医療従事者が固めている。

あの辺はほとんどボランティアみたいなものである。

そして飛竜はというと遠くの方にまばらに見える。

まだ戦場にまではたどり着いていないようだ。

戦場には大量のマンドラゴラ……みたいなお野菜が積まれており、飛竜をおびき出す準備は万端だ。

さて……どうするか。

飛竜が人を襲うことはほとんどないと聞いてはいるが、攻撃されたらその限りではない。

その鋭利な爪を人間目掛けてふるうだろう。

もしかしたら火とかも吐くかもしれない。

そんなの食らったらひとたまりもない!

はぁ……本当にどうしよう。

そんなこんなしているうちに飛竜は目前まで迫ってきていた。

この瞬間に思いつく。

近づいてきた奴片っ端からデバッグモードで時間停止して攻撃すればいいんじゃね?

そうと決まればとまずは1匹目を時間停止でつんつん突っつく。

「ぎゃー!」

作戦は成功!……したが、なんか可哀そうだな。

なんとか共存できないものか……。

そういえば彼らはどこから来てるんだ?

彼らの住処にはお野菜は一切ないのか?

後ろを振り返ると種になりそうなお野菜の数々。

……いけんじゃね?

決めるが早いか私はお野菜の山の一つをひっつかみデバッグモードで飛竜たちの住処にワープする。

戦場に数体の飛竜が送り込まれただろうが、そのあたりは頑張ってほしい。

たどり着いたのは山岳地帯。

よく見て見ると飛竜達が避けて通る茨のような植物が山々に巻き付いていた。

これ変換したらお野菜になるんじゃね?

思い立ったが吉日。茨のような植物を置き換えで一括で別のものに変換する。

もう構ってられるか!全部変換じゃ!

「いくぞ!デバッグモード!」

するとどうしたことでしょう!茨のような植物がマンドラゴラ風お野菜に早変わり!

ってあ。

「「「ぎゃあああぁぁぁ!!!」」」

「ぎゃー!うるさい!」

しかーし!その声に反応して飛竜達はこちらに向かって飛んでくる!

うん?いや、本当に飛んできたな?

「「「ぎゃー!」」」

「いやお前らもうるさいんかい!」



「ほーら餌だぞー!たんと食えー!」

「「「ぎゃー!」」」

「もう、なんか、何食ってるのかわからんけど、とりあえず全部食え!ここに生えてたやつだから!」

「「「ぎゃー!」」」

飛竜達に大好評のお野菜バイキングだよ!

無尽蔵に生えていた茨がお野菜になったからか、その量は膨大だった。

山を覆い隠す様に生えているお野菜を引き抜きながら飛竜達に投げれば、フロアが湧く。

そんなわけで現在飛竜達に大人気のカノイです。

何故か足に纏わりつかれたり、頭に乗られたりしていますけれども。

なんか懐いてね?案外話分かる奴らの可能性出てきたぞ。

そうして、お腹いっぱいになった飛竜達は山に集まってくる。

「やめろやめろ!溺れる溺れる!」

「「「ぎゃー!」」」

完全にお野菜をくれる人として懐かれてしまった!

これあれか!定期的に餌やりに来ないと駄目な奴か!?

と、とりあえず、持ってきた種野菜は地上に植えて帰ることにした。

こうしておけばマンドラゴラもどきに育ったお野菜は逃げ出しながら種をまき散らし、いつしか自生するようになる。

その間に何とかお野菜を与えて飛竜の食欲を抑えてやる必要があるな……しばらく頑張るか。



「ただいま~どうなった?」

「あ!おかえりなさいませ!カノイ様!」

「お!カノイ!見てなかったのか?俺の華麗な槍捌き!」

「見てなかった~どうなった?」

「リボルが飛竜を数体倒していましたよ!」

「そうだぜ!そしたら飛竜達が撤退していったんだよ!カノイなんかやっただろ?」

「うん?うーん、まぁ餌やりを少々。」

「「え。」」

「しばらくは生態系を作るところからかな~。種は撒いてきたからあとは芽吹くのを待つか~。」

「カノイって結構やることでっかいよな。」

「カノイ様のお力の使い方ってダイナミックですよね。」

「え?そうかな?」

「「うん。」」

「えー?」

そんな感じで、王国からの討伐依頼は無事達成ということになった。

余談だが、討伐数に対する報奨金が出たのでリボルが小金持ちになったのだった。

「いや、使うとこねーよ。村に寄付するか~。」

まったくありがたい限りである。

カノイ・マークガーフ、19歳、生き物を大切にしようと改めて思った冬の出来事である。
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