むやみ やたらにかわいいと言うな!

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第6話 取り扱い説明書は必要らしい

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文化祭も無事(?)終わり、放課後はクラスの打ち上げ。
焼きそばやらたこ焼きやらが机に並び、みんなでワイワイ——
……のはずなんだけど、僕の席はなぜか三人に包囲されていた。

右:矢鱈(ヤンデレ幼馴染み)
左:会長(依存症予備軍)
正面:委員長(心拍数監視ストーカー)

もうね、食べにくいのなんの。

「日和、焼きそば取ってやる」

「いや、自分で——」

「俺も取りに行く」

「……俺が持ってくる」

同時に立ち上がる三人。
はいはい、落ち着けって。

「かわい~!」

「「「……っ」」」

(よし、黙らせた)

―――

しかし黙ったのはほんの数秒だった。
すぐに委員長が口を開く。

「なぁ……そろそろルールを決めないか」

「ルール?」

「日和の取り扱いについてだ」

「……は?」

会長が頷く。

「確かに、このままでは不毛な取り合いが続くだけだ」

「不毛ってなんだよ。日和は俺のもんだ」

「俺のだ」

「俺が守る」

——もう帰っていい?

「例えば、放課後の送りは日替わり制にする」

「休日の予定は予約制にする」

「心拍数が異常な時は優先的に——」

「だからお前のアプリ基準やめろって!」

(しかもそれ僕の意思完全無視じゃん)

―――

議論はなぜか本格的になり、紙とペンが出てきた。
「日和使用スケジュール表」という不穏なタイトル。
そこに真剣に記入していく三人。
これもう文化祭より盛り上がってない?

「なぁ日和、何か意見はあるか?」

「……えーっと、僕は——」

三人の期待の眼差し。
はい、この顔に弱いんですよ僕。

「三人ともかわい~!」

「「「……っ!!」」」

案の定、耳まで真っ赤になって固まった。
議論は中断。
——うん、今日も平和だな。

川合 日和、16歳。
取り扱い説明書を作られかけた秋の夜である。
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