転生悪役令嬢は断罪による国外追放をお望みです。

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第6話 舞踏会、皇帝の宣言

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煌びやかなシャンデリアが輝き、百を超える貴族と要人たちが集う大広間。
帝国の威光を示すべく催された盛大な舞踏会は、今まさに佳境を迎えていた。

「アリサ様、どうぞ一曲――」
「いえ私と――!」

次々と声をかけてくる諸侯や隣国の王族たち。
婚活リサーチで散々「尊敬と畏怖」を集めてしまったせいか、今ではほとんど「崇拝」に近い扱いになっていた。

(いやいやいや……これは婚活じゃなくて教祖様扱いでしょう!? なんでみんな床にひざまずきかけてんのよ!)

ため息をつきかけたその瞬間――

ドンッ、と重々しい音が鳴り響いた。

大広間の中央、漆黒の軍靴が石床を踏み鳴らす。
視線が一斉に集まり、音楽が止まった。

「……陛下!」

黒衣に身を包んだ男――帝国皇帝ディアス・ヴァルグランが、ゆっくりと壇上に上がる。
その眼差しは冷厳にして威光を帯び、広間を一瞬で静寂に包み込んだ。

「諸君」
その声は低く、しかし力強く響く。

「我が帝国における未来の礎となることを、ここに宣言する」

ざわり、と会場が揺れた。
誰もが息を呑む中、皇帝は視線をまっすぐにわたくしへ向ける。

(え、ちょっと待って。なんか、これ……嫌な予感しかしないんですけど!?)

そして――

「アリサ。お前を、我が婚約者として迎える!」

堂々とした宣言が響き渡った瞬間、大広間は爆発したかのようにざわめいた。

「陛下が!?」
「まさか……あの皇帝が自ら婚約を……!」
「選ばれたのは、追放された令嬢……!?」

周囲は驚愕と困惑の渦。
対するディアスは微動だにせず、堂々とわたくしに手を差し伸べていた。

(はぁぁぁぁ!? なんでここで告白イベントぶっ込んでくるのよ!? ていうか場内宣言って逃げ道ゼロじゃないの!?)

にっこりと笑顔を装いながら、内心は半泣きである。

「……アリサ」
「は、はいっ」
「私の隣に立て。もう二度と、誰にも渡さん」

周囲の熱視線、逃げ場のない空気。
……断れるわけ、ないじゃないの。

「……っ、喜んで、お受けいたしますわ」

そう言った瞬間、歓声が爆発した。
帝国の安泰を確信したかのように、貴族も民も拍手を送る。

――こうして。
わたくしは、半ば強制的に「帝国皇帝の婚約者」として祭り上げられてしまったのである。

(いやいやいや……どうしてこうなった!? 私の婚活計画、完全崩壊~~!!)

胸の奥で叫ぶわたくしをよそに、皇帝ディアスは満足げに口元を綻ばせていた。
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