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第54話:夜襲!寺院の影が屋敷に
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深夜のフェルドリン邸。
月明かりに照らされた静寂を、突如として破る影があった。
「侵入者だ――!!」
警備兵の叫びが響き、屋敷が一斉にざわめく。
レオンは寝間着のまま飛び起きた。
「な、なんだ!?こんな時間に!」
「レオン様、こちらに!」
すでに完全装備のクラウスが駆け込んでくる。
しかし――なぜか手には銀のティーポット。
「……なんで武器じゃなくてティーポットなんだよ!!」
「いざというときはこれで熱湯を浴びせられます。」
「それ攻撃っていうか嫌がらせだろ!!」
廊下を進むと、黒い修道服に身を包んだ数人の侵入者が待ち構えていた。
その中心に、先日町で会ったリヒトの姿が。
「クラウス……やはりお前は“主の影”に堕ちたか。」
「……私は堕ちてなどいません。」
「ならば証明してみせろ。寺院に戻れ!」
「断ります。」
一切迷いのない声。
レオンは胸が熱くなるのを感じた。
(……やっぱり、こいつは俺を選んでくれてるんだ)
だがリヒトは杖を振り上げ、仲間たちが一斉に迫る。
レオンが思わず身構えたとき――
「レオン様、どうぞ!」
クラウスが差し出したのは、なぜかフライパン。
「これで頭を叩けば気絶します!」
「なんで武器庫から持ってこなかったんだよおおお!!」
しかしそのフライパンで本当に侵入者を薙ぎ倒していくクラウス。
リヒトは目を見開いた。
「……お前、本気でこの男を守るために戦うのか。」
「はい。それが、私の“教え”です。」
「……教え?」
「レオン様を笑わせること。それが今の私の信仰です。」
「宗教つくんなああああ!!!」
戦いは短く終わり、侵入者たちは退散した。
ただ、リヒトは最後に一言残す。
「……いずれ必ず、お前は選ばされる。主か、教えか。」
静寂が戻った廊下に、クラウスの呼吸音だけが響いた。
レオンは、隣の執事をじっと見つめて言った。
「……お前は、もう選んでるだろ。」
「……はい。何度でも、レオン様を選びます。」
「……ほんと、ずるいな。お前。」
その声は、夜の静けさに吸い込まれていった。
レオン・フェルドリン、19歳。
襲撃の中でも、執事に選ばれ続けることを知った領主。
クラウス・イーデン、27歳。
主を守ることを“信仰”と断言する、常識破りの執事。
――寺院との対立は、もう避けられない段階に来ていた。
月明かりに照らされた静寂を、突如として破る影があった。
「侵入者だ――!!」
警備兵の叫びが響き、屋敷が一斉にざわめく。
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「な、なんだ!?こんな時間に!」
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すでに完全装備のクラウスが駆け込んでくる。
しかし――なぜか手には銀のティーポット。
「……なんで武器じゃなくてティーポットなんだよ!!」
「いざというときはこれで熱湯を浴びせられます。」
「それ攻撃っていうか嫌がらせだろ!!」
廊下を進むと、黒い修道服に身を包んだ数人の侵入者が待ち構えていた。
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「クラウス……やはりお前は“主の影”に堕ちたか。」
「……私は堕ちてなどいません。」
「ならば証明してみせろ。寺院に戻れ!」
「断ります。」
一切迷いのない声。
レオンは胸が熱くなるのを感じた。
(……やっぱり、こいつは俺を選んでくれてるんだ)
だがリヒトは杖を振り上げ、仲間たちが一斉に迫る。
レオンが思わず身構えたとき――
「レオン様、どうぞ!」
クラウスが差し出したのは、なぜかフライパン。
「これで頭を叩けば気絶します!」
「なんで武器庫から持ってこなかったんだよおおお!!」
しかしそのフライパンで本当に侵入者を薙ぎ倒していくクラウス。
リヒトは目を見開いた。
「……お前、本気でこの男を守るために戦うのか。」
「はい。それが、私の“教え”です。」
「……教え?」
「レオン様を笑わせること。それが今の私の信仰です。」
「宗教つくんなああああ!!!」
戦いは短く終わり、侵入者たちは退散した。
ただ、リヒトは最後に一言残す。
「……いずれ必ず、お前は選ばされる。主か、教えか。」
静寂が戻った廊下に、クラウスの呼吸音だけが響いた。
レオンは、隣の執事をじっと見つめて言った。
「……お前は、もう選んでるだろ。」
「……はい。何度でも、レオン様を選びます。」
「……ほんと、ずるいな。お前。」
その声は、夜の静けさに吸い込まれていった。
レオン・フェルドリン、19歳。
襲撃の中でも、執事に選ばれ続けることを知った領主。
クラウス・イーデン、27歳。
主を守ることを“信仰”と断言する、常識破りの執事。
――寺院との対立は、もう避けられない段階に来ていた。
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