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第一章 空き地のパイプ
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光阜町のはずれに、子供たちが勝手に「秘密基地」って呼んでる空き地がある。
草は伸び放題、使われなくなったブランコが錆びてミシミシ鳴いてる。大人たちにとってはただの放置された土地なんだろうけど、俺たちにとっては宝の山だった。
「なぁ、これ……なんだと思う?」
ケンタが指さしたのは、土から突き出た一本のパイプ。
灰色で、錆びてて、しかも地面からニョキっと生えている。高さは俺の膝くらい。妙に不自然で、まるで空き地が歯を生やしたみたいだった。
「水道管? いや、下水道かな?」
「でも臭くないよ?」
「宇宙への入り口とか!」
ユウタとミナが好き勝手に言う。俺は腕を組んでうーんとうなった。
まぁ正直、なんでこんなところにパイプがあるのか全くわからない。だけど、妙に気になる。子供心ってやつだ。危険そうなら大人に言うべきなんだろうけど……そんな正論より好奇心が勝ってしまうのが俺たちだ。
その時だった。
「カンッ!」
乾いた音が響き、パイプの中から何かが飛び出してきた。
俺たちは条件反射で飛び退いた。落ちたのは空き缶だった。銀色で少し潰れている。
「うわっ、ゴミ?」
「いや、待って……なんか、中に紙が……」
ミナが恐る恐る拾い上げて、缶を振ると、カサリと音がする。手紙だ。
震える指でミナが紙を取り出し、広げた。俺たちは思わず顔を寄せ合う。
『こんにちは。早速ですみません。食べ物はありませんか?』
……は?
「なにこれ……冗談?」
「いたずらだろ? 誰かが下から投げてきたんだよ!」
「でも、下って……どこ?」
俺たちはパイプの穴を覗き込んだ。中は暗くて何も見えない。底があるのかどうかもわからない。息を止めて耳を澄ましても、風の音すらしなかった。
「どうする?」とケンタが言う。
「食べ物……?」
俺はポケットを探った。昨日駄菓子屋で買ったガムが出てくる。ミナはチョコ、ユウタはスナック菓子。
「……入れてみる?」
全員の目が自然と合った。怖さよりも好奇心が勝った。
俺たちは持っていたお菓子を空き缶に詰め、そっとパイプの中へ落とした。
コトン……と音がして、しばらく沈黙。
……そしてまた、「カンッ!」と音を立てて缶が飛び出してきた。
今度の中には、新しい手紙が入っていた。
『こんなに美味しいものは食べたことがありません。
ありがとうございます。
そちらはどんな状況ですか?』
「……やっぱり、誰かいるんだよ!」
「でも、どこに?」
「地下帝国とか?」
ユウタが冗談を飛ばすけど、俺の背筋には冷たいものが走っていた。
だって、次に出てきたのは――手紙だけじゃなかった。
新聞だ。
しかも、見出しを見た瞬間、息が止まった。
《2025年8月31日、光阜町に爆弾が落とされた。
そうして戦争が起き、世界は不毛の地になった。》
……え?
俺たちは顔を見合わせた。
ケンタが震える声でつぶやく。
「……なぁ、これ……未来から来てるんじゃね?」
心臓がどくん、と跳ねた。
草は伸び放題、使われなくなったブランコが錆びてミシミシ鳴いてる。大人たちにとってはただの放置された土地なんだろうけど、俺たちにとっては宝の山だった。
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ケンタが指さしたのは、土から突き出た一本のパイプ。
灰色で、錆びてて、しかも地面からニョキっと生えている。高さは俺の膝くらい。妙に不自然で、まるで空き地が歯を生やしたみたいだった。
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まぁ正直、なんでこんなところにパイプがあるのか全くわからない。だけど、妙に気になる。子供心ってやつだ。危険そうなら大人に言うべきなんだろうけど……そんな正論より好奇心が勝ってしまうのが俺たちだ。
その時だった。
「カンッ!」
乾いた音が響き、パイプの中から何かが飛び出してきた。
俺たちは条件反射で飛び退いた。落ちたのは空き缶だった。銀色で少し潰れている。
「うわっ、ゴミ?」
「いや、待って……なんか、中に紙が……」
ミナが恐る恐る拾い上げて、缶を振ると、カサリと音がする。手紙だ。
震える指でミナが紙を取り出し、広げた。俺たちは思わず顔を寄せ合う。
『こんにちは。早速ですみません。食べ物はありませんか?』
……は?
「なにこれ……冗談?」
「いたずらだろ? 誰かが下から投げてきたんだよ!」
「でも、下って……どこ?」
俺たちはパイプの穴を覗き込んだ。中は暗くて何も見えない。底があるのかどうかもわからない。息を止めて耳を澄ましても、風の音すらしなかった。
「どうする?」とケンタが言う。
「食べ物……?」
俺はポケットを探った。昨日駄菓子屋で買ったガムが出てくる。ミナはチョコ、ユウタはスナック菓子。
「……入れてみる?」
全員の目が自然と合った。怖さよりも好奇心が勝った。
俺たちは持っていたお菓子を空き缶に詰め、そっとパイプの中へ落とした。
コトン……と音がして、しばらく沈黙。
……そしてまた、「カンッ!」と音を立てて缶が飛び出してきた。
今度の中には、新しい手紙が入っていた。
『こんなに美味しいものは食べたことがありません。
ありがとうございます。
そちらはどんな状況ですか?』
「……やっぱり、誰かいるんだよ!」
「でも、どこに?」
「地下帝国とか?」
ユウタが冗談を飛ばすけど、俺の背筋には冷たいものが走っていた。
だって、次に出てきたのは――手紙だけじゃなかった。
新聞だ。
しかも、見出しを見た瞬間、息が止まった。
《2025年8月31日、光阜町に爆弾が落とされた。
そうして戦争が起き、世界は不毛の地になった。》
……え?
俺たちは顔を見合わせた。
ケンタが震える声でつぶやく。
「……なぁ、これ……未来から来てるんじゃね?」
心臓がどくん、と跳ねた。
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