何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

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第19話:真面目なだけじゃ、ダメですか?

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入学から数週間。
ようやく教室の空気にも慣れた頃だった。

その“彼女”は、朝のホームルームで壇上に立っていた。

「本日より風紀週間に入ります。無断離席、授業遅刻、廊下での私語は禁止とします。……以上!」

ビシィッとした敬礼とともに、完璧な口調で宣言を終えた彼女の名は――

「アイリーン=クラウゼル。初等部生徒会長だってさ。すごいよなぁ……。」

「魔術はダメ、運動もダメ。でも学内規律だけは誰にも負けないらしいよ。」

噂はさまざまだったが、私の第一印象はこうだった。

(真面目な人……なんか、俺より疲れてそう。)



それはある日の放課後だった。

私は課題提出のために生徒会室を訪ねて、ふと、アイリーンの“溜息”を聞いてしまった。

「……なんで、私なんかが生徒会長なんだろう。みんな本当は、私が魔法もできないこと、知ってるくせに……。」

「えっと、それって本気で言ってる?」

「――っ!? 王子、さま……!」

「カノンでいいよ。ていうか、アイリーンさん。教えてもらえない?“ちゃんとやる”ってこと。」

「……へ?」

「俺、どうしてもすぐサボりたくなるし、言い訳しちゃうし。だから、そういうのちゃんとしてる人って、正直すごいと思うんだよ。」

目を丸くした彼女は、しばらく固まってから――顔を真っ赤にしてうつむいた。

「そ、そんな風に言われたの、初めてです……!」



それから、私は時折アイリーンに“規律の心得”を教わるようになった。

筆記整理の仕方。資料の順番の付け方。言葉遣いの練習。

「その“すみませんが~”の“が”のところで声を下げると、印象が柔らかくなるんです。」

「なるほど、社会って奥深いなぁ……。」

アイリーンは次第に、“誇らしげな顔”をするようになっていった。



そして、数ヶ月後。

「……アイリーン様と、良ければご一緒に散歩を――。」

「え、えっ!? い、いいですけど!?ええと、日程調整は生徒会を通してもらえますか!?あっ、でも直接話しても……っ!」

告白されたのは、隣のクラスの図書委員。
穏やかで、内向的だけど芯のある、読書家の少年。

アイリーンは、真っ赤になりながら、それでもちゃんと「はい」と答えた。



「……アイリーンさん、最近顔が緩みすぎでは?」

「う、うるさいです、カノンくんっ!」

そう言って慌てる彼女は、もう自分を“何もない子”とは呼ばなかった。

カノン・ライエル・フィルディア、7歳と少し。
一人の真面目な少女が、自分を誇っていいことを知った日だった。
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