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第24話:仮面の下に隠した想いと、気づいてほしい気持ち
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「それでは今年も――仮装舞踏祭、開幕です!」
生徒会長・アイリーンの声が響き渡ると、校庭と講堂は一気に賑やかになった。
妖精、獣人、英雄、魔王、果ては“魔法使いの猫”まで――思い思いの衣装に身を包んだ生徒たちが走り回っている。
「うわぁ……これ、文化祭よりすごくないか?」
「カノン様。あまり浮かれすぎると足元を見られますよ。仮装しても“第一王子”であることは変わりませんから。」
「ええい堅いっ!そんなわけで、俺の衣装見てみて!」
「……これは……白い軍服に黒マント……まさか“謎のヒーロー”設定ですか?」
「正義の騎士・ノアールだ!」
「……ええ、はい、素敵です。とても幼児趣味で……個性的で。」
アレスはこめかみを押さえたが、なぜか少し笑っていた。
「王子、ちょっとお時間いただけますか?」
「おいしいお菓子があるのよ、食べに来て~!」
「お芝居、主役がまだ決まってないの!お願い、王子様役を!」
カノンは瞬く間に人気の中心になり、引っ張りだこになった。
そのたびに、アレスの眉がピクリと動いたが――
(……だめだ。これは“仮装舞踏祭”。浮かれていい日だ。……我慢しろ、アレス。)
その表情には、笑顔を浮かべるカノンを“誇らしく思う”気持ちと、“奪われそうになる”怖れが混ざっていた。
そして、夜――舞踏の時間。
「パートナーは……まだ決まってないの?」
「うん、というか、俺、正式には“踊れません!”って逃げてきた。」
「……またですか。」
「えへへ、でも……俺、アレスがいいと思ってたし。」
「……えっ。」
「“王子と踊る”のは、そういう意味で大事らしいし。だから、アレスとなら踊ってもいいかなって。」
「…………はい。」
静かに手を取ったアレスの掌は、少しだけ震えていた。
仮面の下に隠した想い。
けれどその一夜は、ほんの少しだけ“それを言ってもいいかもしれない”と思えるほどに、特別な夜だった。
カノン・ライエル・フィルディア、8歳。
仮装の裏で、少しずつ本音が見えてきた、そんな舞踏祭の夜だった。
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