ぷるぷるスッキリ、イカがでしょう

サトー

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★つるつるスッキリ冷やし中華

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「こんな寒い時に、冷やし中華を食べたがるのなんて、日本中探してもユズルさんくらいだねー」

 人がせっかく栄養を考えてトッピングしたキュウリとトマトには一切手をつけずに、ハムと玉子と麺だけをリィは器用に食べる。
「寒い! ユズルさんの家は寒すぎる!」と勝手に人の上着を着て、コタツに潜り込むリィは、冬の間中、学生寮には戻らないでほとんど俺の家に入り浸っている。

 捜索でもされているのか、時々コソコソ電話をしているのを何度か見かけた。
 会話の内容が全く理解出来ない程のスピードで、捲し立てるように中国語で喋るリィを見ていると、インチキじゃなくて、一応本物の中国人なんだな、と感じる。

「ユズルさん、あーん、して?」
「あ? バカヤロウ、テメーは野菜も食べろ」
「ノー! ユズルさん、スキンシップだよー! たまには相手にして欲しいねー、寂しいよー」

 何がスキンシップだ、嫌いな野菜を食べたくないだけだろうが。だいたい、ほとんど毎日一緒にいて面倒を見てやってるのに何が寂しいだ……と、腹は立っていたものの、結局「ユズルさん、食べてー」とじゃれついてくるリィに根負けしてキュウリだけは食べてやった。
「あーん」をして食べさせたことに、リィが嬉しそうにしながら、にやっと笑うのを俺は見逃さなかった。「ユズルさんも、そういうの好きでしょ?」とでも言いたげな勝ち誇った顔。
 イラッと来たから、お返しとばかりに、トマトを「いいから、食べろ」とリィの口の中に無理やり捩じ込んでおいた。



 リィは「冷やし中華は中国発祥じゃないよー。日本人が考えたねー」と言う。
 夏の暑い日に、初めてリィに作ってやった時は不思議そうな顔をされた。中国では麺を氷水でしめたりしないのだと言う。初めて食べた冷やし中華をリィは「つるつるスッキリ! 美味しいねー」とすっかり気に入っていた。

 だから真冬になってもモリモリ食べている……というわけではなくて、節約の一環だ。
 近所のスーパーで在庫処分のため半額になっていたインスタントの冷やし中華を大量に買ったから、リィと二人で来る日も来日も冷やし中華を食べ続けている。

 クリスマスから年末年始はリィと二人で遊びに行ったり、普段より少しだけ良いものを食べたりしていたため、バイトと仕送りで生活する俺は金欠状態になってしまった。月に何十万円も中国の両親に送金してもらっているリィも無駄遣いのせいで、小遣いがほとんど残っていないと言う。
 
 二人とも成長期はとっくに終わっているものの、それなりに図体はデカイし、毎日生きているだけで腹が減る。
「水餃子食べたい、杏仁豆腐食べたい」とブツブツ言うリィを「また送金してもらえる日までの辛抱だろ」と適当に慰めながら、冷やし醤油だれ味とゴマだれ味の冷やし中華を毎日交互に食べて過ごしている。

「美味しかった! ゴチソウサマー」

 今日も帰る気は無いのか、食べ終えた瞬間、リィはごろりと横になる。なんて、だらしがないヤツだろうか。おい、と腕を小突くと「んふ」と笑う。

「ユズルさん、俺もうお腹いっぱい。謝々……」
「そうか、よかったな」
「ユズルさん、外は極寒だよー。こんな寒い中、帰ったら風邪をひいてしまうねー」
「ディオールの高級ダウンを持ってるんだから、風邪なんかひくわけねーだろ」
「ユズルさーん……。寒い、帰るのは寂しい……」

 急激に語彙力が低下したリィが「寒い、お願いします」と迫ってくる。
 ついさっき、放送されていたテレビ番組で、声優兼アイドル達のダンスレッスンの映像が流れていた時は、こうじゃなかった。若くて可愛い声優の、だらりとした練習着の胸元がアップになった瞬間、 「今の4Kだったら見えてたよね?」と滑らかな日本語で気色悪いことを言っていた。

 状況によって、日本語の下手くそな外国人の振りをするのが最近本当に上手くなっていて、それが小賢しい。



「ユズルさーん……」
「やめろっ、ベタベタすんな……!」

 小賢しいうえに、「帰りたくない」と手を握ってくる。寒い寒い、と言うリィの手は俺の手よりもずっと温かい。

 リィが片言の日本語と流暢な日本語の使い分けを上達させていくのに対して、俺はリィに「ユズルさん、お願い」と甘えられるとすぐに折れてしまう。だから今日も、「雨が降りそうだからな……」と自分に言い訳をしながら、結局はリィが泊まっていくことを許可してしまった。
 


 数ヵ月前に、リィと妙な雰囲気になって、そのまま抜き合いまで進んでしまった。

 一応「好きだ」とは一度だけ伝えた。その時にちゃんと「付き合ってくれ」と言うべきだった。
 最中は声を出すのを懸命に我慢して、別人のようにしおらしかったリィは、翌日にはいつものギャアギャアうるさいリィに戻っていた。それ以来タイミングを逃してしまって、ずるずると今に至る。


 クリスマスイブの夜は一緒に過ごすぞ、と照れ臭いのを我慢してなんとかリィを誘った。
 その時リィは「あー! オーケー、オーケー、ユズルさんのために前から開けてたねー」と軽い調子で頷いていた。
 年末にあった声優アイドルのコンサートに誘われて、「行く」と俺が返事をした時の方が「ユズルさん……、俺、嬉しい……」と涙を浮かべて大喜びしていた。コイツ、マジか……? と、若干イラッとしたものの、そもそもそういうヤツだから仕方ない、とコンサートにはちゃんと付き添った。

「ユズルさん、楽しいねー、俺、日本に来て良かったよー」

 バカみたいにはしゃぐリィを見ていると、むず痒くて「良かったな」と素っ気ない返事をするのが精一杯だった。

 お前が喜ぶならどこだって連れていってやる、というのが本音ではあるものの、結局リィには伝えられないまま「行くぞ」と二人であちこちに出掛けた。
 リィが大好きな秋葉原は、店の入り口にあるピーチやレモンの芳香剤の匂いにも慣れてしまうくらい二人で通った。相変わらずアニメの女の見分けはつかない。
 
 冬休みの間は、せっかく日本に来たのだからと、いろいろな漫画やアニメのモデルになった場所に連れていってやったら、「聖地巡礼だねー、ユズルさん、ありがと、謝々、愛してます……」といちいち大喜びする。
 大好きな『スラムダンク』の聖地である踏切に足を運んだ時には、リィは感極まって号泣していた。海が町に溶け込み調和している鎌倉の景色よりも、涙を流しながら何十枚も写真を撮るリィの様子の方が俺にはよっぽど印象に残った。



「ユズルさん、こんな寒い夜は二人で寝るのにうってつけだねー」
「わかったから! ベタベタすんなよっ!」

 風呂上がりのホカホカした体で抱き付いてくるリィを押し退けてから、二人で寝るための寝床を整える。
 夏の間は「床で寝ろ」と雑に扱っていたけど、さすがに真冬はそういうわけにはいかない。狭い安物のベッドでぎゅうぎゅうになって眠るのはしんどい。朝、目を覚ました時に「いや、近いだろ!?」と驚いたことだって、一度や二度ではない。

「狭いしベッドに二人で寝るのは無理だろ」と言ったら、リィは「オーケー。ユズルさん、任せろ」と、勝手にクイーンサイズのベッドを注文しようとしたからすぐに止めさせた。そんな物を置かれたらテレビもローテーブルも処分しないといけなくなるし、ベランダへ出られなくなる。
 そしたらリィは「じゃー、しょうがないねー」と俺のベッドに潜り込んでくるようになった。


「温かいねー」
「そうだな……」

 いつもデカイ声で騒いでいるリィも、明かりを消した部屋で横になって眠くなるのを待つ時間だけは、声のボリュームを落とす。内緒話をする時のように小さな声でヒソヒソと囁きながら、すり寄ってくる。
 布団から肩が出てしまっているのに気が付いて、慌ててリィの体を引き寄せた。


「ユズルさん、ありがとう」
「……ワンアン」
「ノー、ノー。 晚安」

 おやすみなさい、の一言ですらも、俺の中国語の発音は一向に上達しない。上達はしないけど、リィのお陰でそれなりに言葉は覚えた。
 リィは寝る前に必ず「 ワンアン、チンアイダ」と俺に言う。どういう意味だ? とこっそりスマホで意味を調べたら「おやすみ、ダーリン」「おやすみ、大事な人」という、目にしただけで全身がむず痒くなるような、翻訳が出てきた。
 リィといると、こういった言葉ばかり増えていく。……リィ以外とのやり取りでは使えないような、言葉を。



「……ワンアン、チンアイダ」
「……おう」

 くふ、と笑ってから、大事なことを伝えるように、ゆっくりと「おやすみ」の挨拶をするリィ。中国語は初級レベルの俺でも、からかわれているんじゃないとわかる、うっとりしたような声色。

「……ユズルさん、 ウォーシャンチンニー」

 ぎゅっとしがみつきながら、キスがしたい、と中国語で訴えてくるリィは、母国語のくせになんだかたどたどしい喋り方だった。
 冬の乾燥とは無縁の、ツルツルしたリィの頬に手を添える。シャネルの化粧水やら美容液やらを浴びるように使っている肌は、柔らかくてハリがある。俺とはまるで違う手触りにぼんやりしていると、リィの方から唇を合わせて来た。

 ちゅ、と触れるだけの可愛らしいもので終わる日もある。だけど、今日は二人とも止められなくて、夢中でお互いの口の中へ舌を伸ばした。

いつもリィとは騒がしく過ごしているのに、この瞬間だけは、言葉を交わさなくても気持ちが通じあっているような気がする。狭いベッドの上で体を密着させていると、どうしても互いのモノが反応してしまう。舌を絡めたり吸い合ったりしながら、二人とも体を擦り付けあった。

「ユズルさん……」

 肩にリィがグリグリと頭を押し付けてくる。小さな声で、「俺、夏には、帰国しないと」と呟くのが聞こえた。

「……うん」

 そんなこと言われなくたってわかっている。帰るな、と言う勇気も無いし、言ったところでどうする事も出来ない。あと、七ヶ月。たったの七ヶ月後にはいなくなるって言うのかよ、と堪らなくなってリィの体を強く抱き締めた。

「ユズルさん、俺、思い出、もっと欲しい……。旅行やコンサート、違う。特別な思い出。ユズルさん、お願い……」

 特別な思い出なんか作ってしまったら、もう戻れなくなるだろ、とは言えなかった。……リィと出会う前に戻りたいわけでも、ただの友達だった頃にも戻りたいわけでもない。
 時間はあまりないのに、二人とも先へ進みたいと思っている。
 お願いします、と下手くそな日本語で話す時のリィはいつもよりもずっと弱々しく見えた。演技なのかそうじゃないのかは、もうどうだって良かった。

「ユズルさん」

 服を脱ぐのももどかしくて、二人とも履いている部屋着をずり下げただけの格好で、お互いの体に手を伸ばした。
 真っ暗な部屋で、ゴソゴソと布団と体が擦れる音がする。二人とも黙ったままで、先走りを亀頭に塗り広げて、扱きあった。
ヌチヌチという音も、手のひらと性器の熱さも、荒い呼吸も、どちらのものなのかわからなくなるくらい、体を密着させて、夢中で手を上下に動かした。

「んっ、んんっ……!」

 空いている方の手でリィが必死で口元を押さえている。普段は「静かにしろ」と怒鳴り付けてもうるさいのに、恥ずかしいのか、こんな時は絶対に声を聞かせようとしない。
 窒息するんじゃないか、コイツ、と心配になって、なんとか手のひらを無理やり下ろさせた。

「うう……」
「バカッ、死んだらどーすんだ!」

 小声で叱ると、リィは首を横に振って「違う、違う」と訴えてくる。

「ユズルさん、引いちゃうよ」
「引くかよ……」

 声を聞かれるのが嫌なら、とリィの唇に唇で触れた。いつもやかましいヤツが声を出さないよう我慢する姿は、正直言って、自分でも引くくらい興奮してしまう。
 まだモゾモゾと動いて抵抗しようとするリィに覆い被さって、体を押さえ付けた。



「あっ、あっ、ユズルさん……」

 小さな声で喘ぎながらリィが少しだけ足を開く。「ユズルさん、後ろも、使って」とリィから不意打ちで言われて、思考が追い付かずに固まってしまう。

「あ……?」
「ここ、いつも準備してる……」

 リィが一瞬腰を浮かせた。手をほとんど使わずに、下に履いているものを脱いだ後、またモゾモゾと体を動かす。ひゅっ、とリィが息を飲んだのがわかった。

「バカッ! 傷付いたらどうすんだ!」

 まさか、とは思ったものの、リィは自分の指を力任せに挿入しようとしていた。なんて、バカなことを……絶対痛い思いだけはさせないよう我慢してきたのに、コイツは……! と怒りを通り越して、ガックリと体の力が抜ける。「あと、七ヶ月しか一緒にいられない」という焦る気持ちは同じでも、それ以外の部分がなかなか噛み合わない。
 

「……見せろ」
「え?」
「使ってやるから、見せろ」
「えっ!? あっ、待って、ユズルさん……!」

 開いたままの足を押さえ付けてから、真っ暗な部屋で初めてリィのモノをしゃぶった。後ろ、についてもまじまじと眺めてみたが、部屋が暗くて、傷ついてしまっているのかはよくわからなかった。
 無防備に晒されたソコに舌を伸ばした時、リィはじたばたと暴れた。

「ああっ……! 嫌だっ、ユズルさん、ダメ……!」

 リィが中国語で何か呟くのが聞こえる。焦ったような切羽詰まった声で、何て言っているのかは俺にはわからない。わかるのは、初めて耳にする、恥ずかしそうな声だということだけ。
 俺はリィのこの声が好きだ、と勃起した性器を口に含んでから、舌で裏筋を舐め回した。ぎゅっと足に力を入れて快感に堪える、リィが好きだ。

 俺の言葉が足りなくて焦らせたんだな、ゴメンな、と思いながらなるべく丁寧にリィの性器を舐めた。
 すすり泣くような声をあげてリィは射精した後、「ユズルさん、大好きです、愛してます……」とぐったりしていた。



 こんな部屋じゃなくて、もっとちゃんとした場所で思い出を作ってやるから待ってろ、と伝えた途端リィは目を輝かせた。

「ラブホテル!?」
「……まあ。ベッドが大きくて、それで、ええと……、風呂も広い、とにかくそういうホテルだよ」
「……渋谷の?」
「なんで渋谷限定なんだよ。行ったことあんのか?」

 んふ、と笑うだけでリィは質問に答えようとはしなかった。代わりに「ユズルさんの次の給料日は10日! その日は開けとくねー」と勝手にスケジュールを組んでしまう。

 離れ離れになる前に、友達だった頃には戻れなくなるような思い出を残したかった。それで、こういう事はちゃんとしておかないとと思って、付き合うか、とリィに伝えたら、「ユズルさんってば、今さら!?」と笑われた。
 
「言われなくたって、ちゃんとわかる、俺とユズルさんの間に言葉はいらないねー」

 得意気な顔をした後「ユズルさん、大好き、愛してます!」と相変わらず自分は正直に気持ちを言葉にしてぶつけてくるリィに、俺も笑った。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

マメリア
2021.09.05 マメリア

いつか別れが来る前提での学生同士のお話ってちょっと切ないけど若さが愛おしいです。うまくいえないけどサトーさんらしいお話だと思いました。受けの懐が広いのがいいですね。

2021.09.05 サトー

マメリアさま

コメントありがとうございます。期限付きの関係は仲が良ければ良いほど、ちょっぴり切なくていいなあ…と思います。
普段はあまり年上らしくなくても、肝心な部分ではどっしり構えて、懐が広くいて欲しいなあ…と思いながらキャラクターを作ったので嬉しいです。
「サトーさんらしいお話」と言ってくださって、ありがとうございます。

解除

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