元お隣さんとエッチな暮らし

サトー

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ユウイチさんの心の闇(3)


「あ、あの、ユウイチさん……、すみません、段ボールを開けたら、バイブがすごくたくさん出てきたんですけど……」
「うん……?」

 作業を中断して、俺の方へ顔を向けたユウイチさんの手には紐みたいなパンツが握られている。何十本あるのかわからないパッケージに入ったままの大量のバイブでビックリしたばかりなのに、パンツまで見せつけられて、余計に動揺してしまう。
 ……そういうアルバイトだと思えば手伝いくらい楽勝だって考えていたけど、「バイブもパンツも全部俺の……」と思うと、どんどん恥ずかしくなってきてしまった。

「……バイブは使わないから、ケースにしまっておいてくれればそれでいいよ」
「はい……」
「出来れば、ぐちゃぐちゃにして入れないで……そうだな、とりあえずコードレスと有線タイプのものは分けてしまって欲しい。」

 ケースの奥の方から有線で、全部入れ終わったらワイヤレス、もちろんメーカーごとにちゃんと並べて欲しい。順番はアイウエオ順で……とユウイチさんは俺に「アナル用バイブ」の収納について長々と細かい指示を出した。

「力仕事なら任せてください!」と張り切って部屋に入ってきた俺を、ユウイチさんはちゃんと「お手伝いの人」として扱うことにしたらしい。いつもみたいに恥ずかしがる俺を見て「可愛いな……」とデレデレすることもなく、「俺は自分の作業に戻るから」と真面目な顔つきですごく忙しそうにしている。……ちなみに、ユウイチさんの言う「自分の作業」は、俺に履かせるために買った極小ビキニやスケスケの下着を、一枚ずつせっせと畳んで100円ショップで買った仕切りつきのボックスにしまうことだ。

「ユウイチさん、これって、そういうプレイですか……?」
「ん? 何が……?」
「……やっぱり、なんでもない」

 ユウイチさんは仕事をするみたいにサバサバとアダルトグッズやパンツを次々と手に取る。恥ずかしがって意識しているのは俺だけだった。
「手伝いたい!」と言ったのは俺の方なんだから、ちゃんとしないといけない。なんとか気合いを入れて、バイブを収納ボックスに立てて収納していると、パッケージにある「リアル造形」だとか「甘い快感」といった文字がどうしても目に入ってくる。
「何この角度!?」「何この形!?」とおっかなビックリしながら……こんなのを使われたら、どうなってしまうんだろう、ってずっとソワソワしていたからなのか、途中ユウイチさんからは「……ちょっとこの並べ方は違うな」と二回くらい注意を受けた。

……バイブは数えたら41本もあった。全部俺に入れたいから買ったんだって思うと、耳まで熱くなる。



 ユウイチさんとは何度もセックスをしてるけど、まだバイブを入れたことはない。
 


「……ユウイチさん。俺、自分の部屋の片付けが終わったんですよ。だから、夜はユウイチさんの荷物を片付けよう?」

 帰ってきたばかりのユウイチさんを誘ってみたら、「せっかくの定休日なんだからゆっくりしていればいいのに」って困った顔をされた。

「午前中はずっと寝てました! 今日こそはやろうって、俺、ユウイチさんをずっと待ってたのにー……」

 ユウイチさんが腕時計を外したり、上着を脱いだりしている間も「ユウイチさん! 大丈夫だってば!」って、側で説得を続けたけど、「べつに急いでやることじゃない」とか「無理をしたらまた腰を痛くしてしまうよ」とか、そんなことをブツブツ言うばかりであんまりノリ気じゃないみたいだった。

「本当に大丈夫だよ! 俺のことは優秀なアルバイトと思って使っていいですよ?」
「へえ……優秀なアルバイトのマナトには時給をいくら払えばいいのかな」
「えっ……!?」

 しまった、優秀なボランティアと言えばよかった、このままじゃ現金を握らされてしまう……と焦っていたらユウイチさんがようやく笑った。

「じ、時給は無しで……。寿司と焼肉はいつでもお誘い待ってます……」

 寿司と焼肉、と復唱した後ユウイチさんがようやく「わかった」と頷いた。

「ほ、本当に……!? やった……! いつにしよう……!?」

 美味しいものを食べさせて貰える、と喜びすぎて、「荷物を片付ける」という本来の目的を忘れてしまうところだった。
 ユウイチさんが連れていってくれるのは、どこもいいお店だから、寿司か焼肉を奢って貰ったら時給を払うよりも高くついてしまうかもしれない。「いいのかな~……」って、ユウイチさんの側をウロウロしていたら、「じゃあ、それで。よろしく」って大きな手で頭を撫でられた。



「で、出来た……」

 バイブ41本を収納ケースに納めるだけで、なんだかどっと疲れていた。キツい肉体労働というわけでもなければ、すごく頭を使う作業、というわけでもないのに。一本一本パッケージをチェックするたびに「俺にこれを入れたいんだよね……」と想像しては、変なことを考えちゃダメだって、手のひらに滲む汗を何度も拭った。
 俺が大量のバイブに動揺している間に、ユウイチさんはどんどん段ボールを開封して、テキパキと作業を進めていた。しかも、出てきた順にただケースに突っ込むんじゃなく、「乳首に使うもの」「手足を縛るもの」というふうにちゃんと種類別でわけて収納する。



 結局、任せて貰えた「バイブを片付ける」という作業はユウイチさんが自分でやるよりきっと何倍も時間がかかってしまった。
 全部終わりました、という俺の申告に、ユウイチさんは「オーケー。蓋をしてしまっておいて」とは言わずに、じっ……と出来映えをチェックし始めた。そして、迷うことなくいくつかのバイブの並び順を入れ替えてから、「うん」と何度か頷いた。俺にはいったい何がどう違うのかはわからない。ユウイチさんに何かこだわりがあることだけは確かだった。

「ユウイチさん、スゴイね……。だって、まだ一度も使ったことがないのに、こんなにたくさん……」
「使わなくても、注文した瞬間に満足してる部分があるから」
「うん……」

 恐いんなら仕方がないよ、ってユウイチさんは慰めるみたいに、俺の背中を軽く擦った。
 バイブを入れてみたい、とは前から言われているし、「ちょっと頑張ってみようかなー……」と思って何度かトライしてみたこともある。だけど、まだ一度もちゃんと使えていない。
 どうしてかというと、「バイブで良くなるためには念入りな準備が必要だから」ってしつこいくらいユウイチさんの指で慣らされるからだ。気持ちいいところを指で何度も押されて、「もういいです」って言ってもユウイチさんは「まだダメだよ」って全然聞いてくれない。ジリジリともどかしい時間が続くと、だんだん苦しくなってきてしまう。結局俺が「バイブは嫌だ」と言って……。それで、いつも失敗してしまう。

「すみません……。あの、いつもいっぱい……準備して貰ってるのに……。えっと、どうしても本物の方がいいなって思って、それで我慢が出来なくて……。また今度そういう機会があったら、次はちゃんと頑張る……」

 時間をかけて俺のナカをほぐして貰ってるのにすみません、とは言えなくて、ボカした言い方になってしまった。ユウイチさんのが入っているんだからきっと入るんだろうし、入れるのが怖いわけでもない。ただ、我慢が出来ないだけなんです……って、正直に本当のことを打ち明けた。俺もユウイチさんの秘密の宝物を覗いたから、これで平等にしたつもりだった。
 
 
 次は頑張る、って約束したからちょっとは喜んでくれたかなあ? ってユウイチさんの様子を窺ったら、バチっと目が合った。あれ? と思った時には、ユウイチさんはなんだかワナワナしながら何も言わないで部屋から出ていってしまった。
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