白雷のルシウス ~知識チートで最強への道を歩んでいたら、敵もチートだった~

がおがお

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新人対抗戦編

勇者召喚

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「それで父上を殺されてそのまま帰らせたのか」

「申し訳ございません!」

「俺が皇帝になるのが早まったのはいい。だが魔法師団を失ったのはデカいぞ」

 魔術師団は帝国の主戦力だ。あれらがいなくなるだけで帝国の国力は大きく落ちることになる。報告に来た兵が悪いわけではないのは分かっている。この惨状を見れば生半な状況ではなかったのは伺い知れる。だがだからといって抑えることも難しい。

「殿下、まぁ良いではないですか。儂は残っておるのですから」

 フェルディナンドは帝国の魔法指南役だ。帝国の魔術師のトップだ。魔法師団にも冒険者でいうSクラスに匹敵する魔術師はいたが、爺には劣る。何せ魔法の秘術で四百年も生きている正真正銘の化け物だ。

「爺、そうは言っても魔法師団はやはり痛いぞ。王国との戦争で使う貴重な戦力だったのだからな」

「それはそうですな……一つ案があるのですが」

「何だ?」

「勇者召喚をしてみてはどうですかな?」

 勇者召喚か。確かにそれが一番手っ取り早い方法だろう。だが勇者召喚には問題がある。

「成功するのか?」

 そうだ。勇者召喚は非常に難しいのだ。何せ異世界から召喚するのだ。そこいらの魔法なんて目じゃない程の難易度だというのは容易に想像がつく。

「修正を進めておるのですが、今なら成功率は六割といったところでしょうな」

 六割だと? 最後に勇者召喚が成功した記録が残っているのは五百年前、爺ですら産まれていない程昔だ。その勇者召喚をそこまで練り上げたのか……さすがは帝国の魔法指南役ということか。

「随分自信があるようだな」

「それはもう。六割とは言いましたが、ほぼ成功すると儂は考えております」

「さすがだな。それで……いつ出来る?」

「すぐにでも」

「分かった。すぐに取りかかれ。」

 勇者は記録によればSクラスの冒険者すら上回っていたという。さすがに爺程になると分からないが、戦力の増強という意味ではこれ以上はないだろう。成功すればまず間違いなく魔法師団の穴は補って余りある。

「頼むぞ」

「殿下は少し休んでおられては? お疲れのようです。起きるまでには終えていましょう」



次元のディメンション異邦人=エトランゼ

 さすがに魔力の消費が激しい。しかし手応えはある。やはり儂のやり方は間違っていなかった。床に描かれた魔法陣が金色に輝いていく。そして部屋全体を光が満たした。
 そして光が収まった部屋には、数人の男女が不安そうな面もちで佇んでいた。

「ようこそ勇者殿」

「え? ここどこだ?」

「何これ!? なんでいきなりこんなとこにいるの!?」

 記録に残っていた通り異世界からの勇者達は全員黒髪か。そしてやはり混乱している様子。とりあえずはそこからか。

「落ち着いてください。あなた方は私が召喚しました」

「召喚? ……もしかして異世界か?」

 ふむ? 妙に理解が早い。こちらとしては助かるが、一体どういうことか。

「その通りです。私はフェルディナンド、帝国の魔法指南役をしております。まずはお名前を聞かせてもらえますかな?」

「異世界……なるほど。まさか本当にそんなことがあるなんて……おっと、俺は白銀 真也しろがね しんやです」

 この男がリーダーなのか、他の者はかなり信頼しているようだ。召喚直後はあれだけ慌てていたのが嘘のようだ。いい素質を持っているようだな。

「こんなところではなんですから、一緒に来てくださいますかな?」

「分かりました……みんな行こう」

 シンヤの言葉で四人が歩きだした。さて、勇者はこの中の一人だが、記録では一緒に召喚された者達も隔絶した力を持っていたという。勿論まだ成長前ではあるが、勇者は魔物を倒していけば、すぐに成長するはず。戦力の補充にはそれ程時間はかからないかもしれんな。

 先に見張りの兵に殿下へ連絡に行かせて謁見の間へと歩いていく。五人とも緊張しているようだな。長い廊下を進み、謁見の間へ続く階段を上る。

「殿下、フェルディナンドです」

「入れ」

 中には殿下の他に宰相がいるようだ。こいつは金のことばかりで魔法の真髄を全く理解ようともしない。これほど素晴らしい世界を知ることができないとは哀れな男だ。

「その者たちか?」

「はい。勇者召喚で召喚した勇者達です」

「全員か?」

「いえ、勇者は一人でしょう。ただ、他の者も並ではありますまい」

「おい、鑑定官」

「はっ!」

 鑑定官まで用意しているか。さすがは殿下、準備が早い。

「なっ……!?」

「どうした? 結果を教えろ」

 鑑定官が紙に結果を書き写している。そして鑑定結果は予想通り素晴らしいものだった。

白銀 真也しろがね しんや
職業:勇者

二階堂 麻里にかいどう まり
職業:魔導師

藤堂 雫とうどう しずく
職業:聖騎士

三枝 美鈴さえぐさ みすず
職業:大神官

梔 武くちなし たける
職業:剣聖

「ほう……全員が上位職か」

「魔導師は儂と同じ、他も引けをとらない職業ですな」

「説明が遅れたな。異世界の者達よ。私はオルデンブルク帝国皇帝、ハイドリヒ=ファーロード=オルデンブルクだ」

「こ…皇帝?」

「俺達は……名前はさっきの鑑定? で分かっているんでしたね。それで、俺達は帰れるんでしょうか?」

「ふむ……今すぐは難しいな。私達も目的があって召喚したのだからな……ただ、目的を達成すれば送り返すことを約束しよう」

 召喚は古の魔法陣からなんとか成功した。だが送還については全く情報がない。召喚の反対であるから、召喚の魔法陣を元に調べることはできるだろうが。まぁ、召喚の魔法陣には洗脳も組み込んである。徐々に洗脳が効いてくれば、そんなことも考えなくなるだろうがな。

「そんな! すぐに帰してよ!」

「みんな、とりあえず話を聞こう」

「真也がそう言うなら……」

 やはり白銀がこの者達を束ねているようだ。白銀さえ落ちれば他はどうとでもなるだろうな。

「いいかな? 私達の目的だが、帝国は現在王国の攻撃を受けている。この城も先日一部が破壊された。つまり、王国との戦争に勝つことだ」

「戦争!? そんなの無理です!」

「……俺達は戦いの無い世界から来ました。さっき職業がどうとか聞きましたが、それが俺達が戦えるという根拠ですか?」

「そうだ。お前達の職業は全て上位職だ。成長すれば敵はいない。そして帝国はそのサポートを惜しまない」

「俺達ってもしかしてかなり強いの?」

「でもやっぱり戦争なんて……」

「戦争に勝てば帰してもらえるんですね?」

 他の者達は今の情報にだけ囚われているが、白銀だけは目的を忘れていない。これは思わぬ収穫……だが同時に警戒も必要だ。

「それは約束しよう」

「……分かりました。みんな、今帰りたいと言っても難しいだろう。それに俺達にはここに来たことで力も得たらしい。帝国の人を一緒に救わないか? それだけの力を持ってしまったんだから」

「うー……分かったわよ! やればいいんでしょ! やれば!」

 二階堂は快活な娘だ。だが白銀へ対する好意が見える。人を助けるという言葉が特に響いたようだな。

「しゃあねぇなぁ。付き合ってやるよ」

 梔も白銀の言葉に乗った。この男は恐らく一番御しやすいだろう。そして裏切ることもないように見える。ただ、一度でも疑心を抱かせると厄介なことになりそうだ。

「わ、分かりました。私も!」

 気の弱そうな三枝も白銀の言葉に感化されている。この女はどうとでもなるだろう。

「……いいわ」

 凜とした雰囲気の藤堂という女は感情が読みづらい。だが白銀に対する信頼は変わらないようだ。白銀を介して使うのが良いだろうな。

「それは良かった。よろしく頼むよ。さて、君たちには部屋を用意してある。訓練は明日から開始する予定だ。今日はゆっくりと休むといい」

 全員が礼を言って案内の者に連れられて部屋へ向かった。扱いには気をつけなければいけないな。帝国へ敵対心を持たれてはやりづらくなる。

「殿下、あんなことを言って良かったのですかな?」

「送還のことか? 王国に勝てたなら構わないだろう。ただ、その頃には帰りたいとは思っていないかもしれないがな」

「ははは。正にその通りですな。抑えつけてはどこかで綻びが出来てしまいますからな」

「そうだ。念のため鎖はつけているが、相応に扱うつもりだよ、私は」

 あれらは私に匹敵する戦力になる可能性を秘めている。そこまで成長すれば王国も相手ではないだろう。そしてそこまで達した時の生活を抜けたいと思う者などそうはいない。これで帝国の力は前にも増して増大するだろう。
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