白雷のルシウス ~知識チートで最強への道を歩んでいたら、敵もチートだった~

がおがお

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真祖討伐編

新しい隊員

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 朝日が昇り、ギルド併設の酒場の人もまばらになった頃、イザベラ、ヴァネッサ、ダーウィンは良い覚ましに、水の入った杯を持ってテーブルを囲んでいた。

「それにしてもイザベラ、あなた女みたいになりましたわね」

「あぁ? どういう意味だテメェ」

「そうだな。俺はてっきりお前は胸のデカい男なのかと思っていた」

「おいダーウィン。死ぬ覚悟はできてるんだろうな」

 イザベラは黒い外套で隠しているが、その下は冒険者らしい体つきをしている。しかしそれは決して、膨張した筋肉に覆われたそれではなく、動きを阻害しないように適度に鍛えられた体だった。

 前面の開いた外套からは隠しきれない豊かな果実が二つ強調されるように服を押し上げているし、その下にある腰も引き締められている。

 眼帯の上下を走る傷跡は目立つが、灼眼に紅の髪がよく映えており、普通に見れば美しいと分類される顔立ちをしている。しかしそれもイザベラの性格が台無しにしているわけだが。

「お、英雄のお目覚めだ」

「ルシウス!?」

「起きましたの?」

「……知ってる天井だ」

 ルシウスは一回目に知らない天井だ、という定番の台詞を言い逃したことを悔いる。僅かに残る頭痛を無視して、並べて寝かされていた椅子から起きあがる。

「……また世話をかけたみたいだな。ありがとう」

「だからそれはいいって言っただろ? むしろルシウスがあいつを倒してくれなけりゃ王都が滅んでたかもしれねーんだしな」

「そうですわ。もう大丈夫そうですわね」

「あ、しまった。みんなに何も言わずに出てきたんだった……悪い、行くよ」

「もう行くのかよ……?」

「まぁそう言うな。他にも心配しているやつがいるんだろう。ここにこのまま縛りつけるわけにもいかないさ」

「王都にいるんですし、話ならいつでもできますわよ」

「ホントか!?」

「もちろん。あんた達には世話になったしな。酒には付き合ってやれないが、飯くらいならいくらでも付き合うよ」

「約束だぞ!?」

「あぁ。わかったよ」

 ルシウスが立ち上がり、それを見送ろうと三人も立ち上がる。

「ま、また来いよな?」

 イザベラが名残惜しそうに声をかける。

「わかってるよ。それじゃあ、今日は世話になった。またな」

「こっちの台詞だ。そのうち一緒に仕事でもできるといいな。勿論深淵アビスはもうごめんだが」

「あれはもう金輪際近寄りたくもないですわ」

「うーん、あんた達なら戦えるようになると思うんだよな……そうだ! 冒険者を無理にやめろとは言わないんだけど、白雷隊に入りたいってんなら歓迎するから、その気があったら教えてくれ。俺は大体学園にいるからさ」

「そりゃ魅力的なお誘いだ。だがまぁ、俺には冒険者の気楽さが合ってるんでな」

「私も別に王国の出身じゃないですし、王国の下に入るのはやめておきますわ。まだ冒険者もしていたいですし」

「あたしは……」

 俯くようにイザベラが呟く。

 それを遮るように、口元に笑みを浮かべるヴァネッサが「イザベラは入りたいみたいですわよ」と横やりを入れた。

「なぁ!? 何言ってんだヴァネッサ!」

 顔を紅潮させてヴァネッサの服に掴みかかり、イザベラが吠える。

「それなら一緒に行くか?」

 ルシウスの言葉に、ビクッとイザベラが硬直し、これまでの大声が嘘のような小声で「……行く」と呟いた。

「あら、良かったですわね、イザベラ? これでずっと一緒ですわよ?」

「だ、黙りやがれ! 殺すぞ!」

 いつもの「殺すぞ」に比べて、全く殺気を感じないイザベラにヴァネッサが笑みを深める。

「じゃあイザベラは一緒に行こうか。ダーウィン、ヴァネッサ、それじゃあまたな」

「あぁ。何かあればまたいつでも呼んでくれ」

「私も部隊には入れませんけど、いつでも手伝いますわよ。深淵アビス以外なら、ですけど」

「また訓練方法教えるよ。そしたら二人も戦えるようになるだろうし」

「どうやら逃げられないようだな、諦めろヴァネッサ」

「はぁ……対抗できるくらい強くなれたらいいですわよ、もう。それでは、私はお腹がすいたので何か食べますわ」

 酒場に戻っていく二人に手を振り、ルシウスとイザベラは学園へと向かった。



「なぁルシウス」

「なんだ?」

「学園ってあたしも入れるのか?」

「確か学生が同行してれば部外者も入れたはずだ。それに俺個人の研究室があるから、そこなら何も問題にはならないと思うよ」

「そ、そうか。それならいいんだが」

 イザベラを知る者が、このしおらしくなったイザベラをもし見れば、自分の目を疑うだろう。
 美しいことは間違いないが、それを全て台無しにしていたような凶暴な性格が今のイザベラからは感じられなかった。

 これが恋の力というものだろうか。しかし、ルシウスの十一歳という年齢を考えると、現状は別の意味で少々危ない人に見えるかもしれないが。

 二人がルシウスの研究室の前にたどり着くと、中から声が聞こえてきた。

「みんないるみたいだな」

 ガラッと自分の研究室の扉を開くと、そこには白雷隊のメンバー全員が揃っていた。

「ルウ君!」

 全員の視線がルシウスに注がれ、続いて部屋に入ってくるイザベラに移動する。

「え……ルウ、それ誰なの?」

「あぁ、彼女はイザベラ。白雷隊に入ってもらうことになったんだ」

「おっぱいデカーい!」

 レーナの抜けた言葉に、特にレウスの視線がイザベラの胸部へと注がれる。

「イザベラだ。よろしく頼む」

 十一歳の集団に混じる一人の大人。傍目には教師と生徒にしか見えなかった。

「みんなに相談せずに決めて悪かった。それに昨日突然いなくなったことも……」

「ルウが決めたなら文句はないわ。でも、昨日のことは説明してくれるのよね?」

「あぁ。聞いてくれ。実は……」
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