え?聖女って、女性がなるものだよね? ~期間限定異世界救済プロジェクト~

月夜野レオン

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第二部  復興編

26.新しい川

俺達は乾燥をかけながら町に向かって徒歩で進む。 

ゾルゲは干乾びるとすぐに黒い小さな干物になり、グズグズと崩れていく。 

これならば毒も大丈夫だろう。 

町まで到達すると、預けていた馬に跨って更にスピードアップを図る。 

馬はすっかり元気になっていた。 

強いね~、お前達も。 

プールの傍まで来ると、少しペースを落として慎重に川だけ乾燥する。 

仕切ったプールの水は、毎日必要な水を住民達が汲みに来るから蒸発させちゃダメだ。 

もうもうと上がる水蒸気の向こう側で、住民達が歓声を上げて手を振っているのが見える。 

おう、憎いゾルゲは日干しにしてやるからな! 

馬で下流までどんどん進み、昼過ぎには町外れまできた。 

ここから川はまた地下に潜っていく。 

岩の隙間から先は真っ暗で、急激に下っている。 

ゾルゲは寒い地域の生物なので、黒い体を日光で温めて体温をキープしているんだそうだ。 

だから本能的に陽射しの届かない所へは行かない。 

でも過剰な熱にはめっぽう弱いと。 

「これで駆除は完了だな」 

「ああ、間違いない。じゃあ上流に戻ろう」 

時間が惜しいので、馬上で果物を齧りながら移動する。 

ガザルの配下は、ランドスにかなり近づいてきている。 

今日の夕方か明日の早朝には到着する危険があるため、それまでにここを離れたい。 

領主代行には、事前にスザールが聖女様とライド王子一行はここからケルックに向かったとデマを流してもらうよう伝えてある。 

そいつらがケルックに向かえば、ネイモスが門前払いをかけた上で、王都に向かったと言ってもらう形になっている。 

振り回されてくれれば、更に時間が稼げる訳。 

もちろん、俺達もそいつらに掴まる訳にはいかない。 

川を開通させたら、すぐにここを離脱しないとだ。 

 

再び川の上流に着くと、もう陽が傾きだしている。 

急げ急げ~! 

マークとして槍を立てておいた場所から川までは、ライド王子達が緩い斜面を削っておいてくれてある。 

槍を抜いて、そこにリルの枝を刺して岩山の後ろに全員が避難した。 

「一発で開いてくれるといいんだけどな」 

目だけ出して、俺は祈るように成長加速をかけた。 

俺の焦りが成長にも影響したのか、すごい勢いで幹が伸びていく。 

「お……おい、アキラ…慌てるなっ」 

メキメキと猛スピードで伸びていくリルの木に、スザールが目を剥いている。 

うわ、早すぎか? 

ズン!という衝撃と共に、リルの巨木がブルっと震えた。 

あ、貫通した? 

次の瞬間、ドオン!と水柱が立って、リルの木が吹き飛んだ。 

「うわあっ!」 

「ぎゃあ!」 

とっさに竦めた頭の上をビュンと通過した木は、後ろの岩山の壁面にドスっと刺さった。 

うーわ、木って岩に刺さるのね。 

とか現実逃避してたら、バシッと後頭部を叩かれた。 

「お前は!無謀過ぎるんだよ!」 

いでぇ~。 

でも、はい、反省します。 

ワナワナしてるスザールに平身低頭する。 

うん、焦るあまり強引に穴を空けにいってしまった。 

全員リルの枝で岩山に串刺しの刑とか怖すぎだ。 

「とにかく成功だ」 

はあと息を吐いてスザールが腰に手を当てて、横を見る。 

開いた穴から勢いよく水が溢れて、川に注がれていく。 

この勢いなら、ゾルゲの死体も全て流される。 

「んじゃ、終わり良ければ全て良しって事で、撤収しようか」 

「良くねえわ」 

と突っ込まれつつも、俺達は急いで撤収にかかった。 

7人で身軽な旅装なので、すぐに出発出来る。 

「………敵影あり」 

荷物を積んで移動を始めてすぐに、兵士のひとりから制止の声がかかった。 

「こっちだ」 

すぐにスザールが全員を岩の裏手に誘導する。 

さすが、訓練されている兵士たちの動きは素早い。 

馬を下りて砂漠の先を凝視していると、俺にも人影が見えてきた。 

ええ、あの距離で敵を見分けるってスゴくね? 

最初に発見した兵士を尊敬の眼差しで見ると、ニカっと笑った。 

「俺は監視がメインの職務なんで」 

かっけーな、おい。 
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