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正弥の決意
しおりを挟むもういい,と突き放したように正弥は言って奥へと進んでいった。
何をするつもりだ,という達也の声を無視して手当たり次第に引き出しを開けて中身を漁る。
「金目のものなんて特になかったぞ」
「何言ってるんだ。お前に任せているとろくなことがないから,終止符を打つんだ」
正弥はどこで見つけたのか,新しい便せんを持ってきた。
「今度はおれが書く。要するに,この性欲ウサギちゃんの悩みは答えが出ていて,お腹の子を育てるために頑張ろうとしているんだろ? なおさらおれたちにしてやれることは何もないんだ。つまらない正義感をさらして何にもならない。おれが丸く収めて,事を荒立てないようにしてやる」
そんなにうまくいくかなあ,と達也は不安げだが,正弥には自信があった。返事はいらない。これから頑張れ,応援している,それで終わりだ。
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