正義の劣等生は異世界にて活躍する夢を見ない

マキシマム・ザ ・俊ちゃん

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第一章 黒ギャルにイケメンの仲間が加わった!(+モブ未満1名)

俺って、異世界に来ても意味ないよね?

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 高校二年の春。

 俺、小森仁也こもりじんやはラノベなどで憧れていた異世界転移を果たした。

 なんだかよく分からない神さまの願いを聞くためにクラスメイトたち全員が召喚されたんだけど、世界を救う為に魔物と戦ってほしいのだそうだ。

 それは『非現実的で何て面白そうな展開なんだ』と一瞬だけ喜んだ。しかし、異世界の現実はどうやらそんなに甘くはないらしい。

 転移先の集落は『LUC』によって優先的に決定されると神さまから説明は受けている。

 そのはずだ。
 あいつがエセでなければ間違いないだろう。

 しかし、何ということでしょう。

 見渡す限りの草木が生い茂る山奥に飛ばされて、俺はかれこれ二時間くらいさまよい続けてる。

 腹の減り具合からもそんなもんだろう。

 ってか、嘘の説明だったの?
 近くに集落すら無いんですけど?

 何か便利な魔法でも覚えていれば少しはこの状況も楽しめたのだが、学生服のみの手ぶらな状態と、いかんせん辛いだけで一向に楽しくなる気配のない状況が俺を苦しめる。

 神様が言うには財布や携帯なんかの初期装備は、こちらの世界にコンバートする手間を省きたかったらしい。まあ確かにクラスメイト全員分だと無意味なコンバートを省略する必要はあったんだろうさ。でも、少しくらいは融通を利かせてもいいだろ。俺って暇潰しの道具をいつも体に忍ばせてんのよ?

 持ってきたかったなぁ。
 Gボーイミニミニと炎のエムブレム。
 全員重装歩兵なのに移動力15にして、見た目詐欺の蹂躙じゅうりんプレイという尊い遊びがしたかった。

 まあ、ないものは仕方ない。
 とりあえず、ただ歩くのもつまらないので、俺は神さまに与えられたステータスを確かめた。


~~~ ~~~ ~~~ ~~~


《》の中は最大値
【NAME】小森仁也

【AGE】   16
【LV】     1
【HP】    10《10》
【MP】     5《5》
【STM】   72《100》

【STR】    8
【VIT】    8
【DEX】    8
【AGL】    8
【INT】   10
【MND】   10
【LUC】    2

【魂の形状・劣等】

 取得経験値・減(特大)
 必要経験値・増(特大)
 レベルアップのステータス上昇率(微小)
 グッドステータスの時間短縮(特大)
 バッドステータスの時間延長(特大)
 スキル、魔法の習得難易度及び成長率(最困難)


~~~ ~~~ ~~~ ~~~


 某ゲームで『生まれるべきではなかった』というマゾな過去を設定したキャラクターのような、最悪効果の羅列に俺の腹筋は崩壊寸前だった。

 何で俺だけナイトメアモードで転移したの?

 魔物を倒して欲しいとか言って、何で俺だけハブなの?

 俺抜きで転移すれば良かったよね?

 俺って、異世界に来ても意味ないよね?

 神さまはバカなの? 死ぬの?

 文句とは裏腹に笑みが溢れてしまう俺はマゾなのかもしれない。

 いや、自分には実にお似合だと思ってしまうんだよね。

 だって、前の世界と大して待遇が変わらないし、別に今さら異世界でのステータスが最悪ですなんて、大した足かせにもならないのだ。

 死ぬ時は呆気なく死ぬだろう。どうせ無理なものは無理なのだ。『足かせがなかったら生き延びた』なんて、そんな『たられば』の話で悔しがるくらいなら、『不運なのにここまでは生き延びてやったぞ』と誇れる方がいい。

 ってか、悟り世代のエースをなめんなよ?

 欲がないを拗らせすぎて、自分の命の勘定まで低く見積もれるんだからな。

 とは言え目標は大事だ。

 まずは集落を見つけないと、どんなに弱い魔物に遭遇したってゲームオーバーの可能性が高い。

 異世界の情報もないから、どんな魔物がいるか分からない。
 武器もなければ防具もない。
 役に立つアイテムもなければ、魔法だってない。

 こんな状態でまともに戦えるはずがないのである。

 しかし、それでも俺は大胆に森の中を掻き分けて進んだ。

 集落を見つける前に水や食料が手に入る可能性が未知数なので、もたもたしている時間の余裕もない。

 詰んでるねぇ。

 俺がこの逆境ににやけていると、向かっている先から茂みが動く音がした。

 魔物か?
 せめて逃げられる相手を頼むぜ?
 どうせ叶わないだろうけどな。

 自分の不運を鼻で笑っていたら、飛び出してきたのは一人の少女だった。

 と言うか、彼女はとても見覚えのある制服を着て、肌を焼いた黒ギャルで、学校にもろバレのつけまつげをしていて、女性にしてはそこそこ背が高くて、少しだけ残念なことに胸もそこそこ…………いやいや、それは失礼な話だけど、脳内だから本音は仕方がない。

 まあ、要するに俺のクラスメイトだった。

『(肌が)黒いのに白井しらいさん』とか、『男っぽい名前の白井さん』という不名誉な覚え方をされている白井真しらいまことだった。

 しかもその手には白銀のカイトシールドを装備していて、『へえ、今時のギャルって盾を持って出掛けるんだぁ』とか感心してしまう。

 凄いよね。彼女たちは言葉やら、メイクやら、独自の流行で最先端を突き抜けていくけど、行くところまで行ってしまった気がするのは気のせいだろうか。

 てか、大気圏突破?

 そんなことを考えてたら、白井の方から声をかけてきた。

「小森くん、見つけた」

 棒読みの声、ギャルらしくない言葉遣い。

 まさしく本人だと確信しながら、彼女と別れることとなった今朝の転移事件を俺は思い出していた。
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