正義の劣等生は異世界にて活躍する夢を見ない

マキシマム・ザ ・俊ちゃん

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第一章 黒ギャルにイケメンの仲間が加わった!(+モブ未満1名)

誰か猪のアルティマニアを売ってくれませんか?

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 結論を言おう。
 猪の肉…………というか猪の死体がそのままでした。

 盾でバッシュしただけと聞いていたけれど、車が電柱に突っ込んでメキョっとへこんだみたいになってるよ?

 何なの?
 これが必殺技のボンバータックルなの?

 おお、目玉が飛び出してグロいグロい。

 ストレジさんの謎空間が便利すぎるからね。
 袋に詰めているわけじゃないからね。
 血で汚れていようが、他の道具をしまっていようがお構い無しだ。
 更に時間も停止しているのか、まるでこの場で死んだみたいに血が固まっていない。

 保存能力もバッチリだ。

 ストレジさん。正直、便利すぎますよ?
 どうして俺の所には来てくれないんですか?
 早く来て下さい。いつまでも待ってます。

 乙女チックに焦がれていると、白井は焚き火の中にそのまま猪を放り投げようと構えている。

「ちょっ! 待った、待ったぁ! そのまま焼くつもり?」
「違うの?」

 白井に首を傾げられて理解した。

 あ、こいつに料理を任せちゃダメだわ、と。
 料理の英才教育は受けてないわ、と。

 で、俺は思い出す。

 んーと、骨のついた肉をかける台を用意して、その下で焚き火をして、テッテテ、テテテ、テッテテ、テテテ、テレレ~テレレ~テレレ~テレレ~、テッテテッテテ、テンっ♪ のタイミングでボタンを押せば――って、これは狩人として生きるゲームの肉焼き方法じゃねーかっ!

 うん、白井と五十歩百歩だった。

 解体ってどうするんだっけ?

 皮剥いで、内臓抜いて、血抜き?

 なんだか手順が抜けそうで不安になる。

 それで合ってたっけ?

 誰か猪のアルティマニアを売ってくれませんか?

 俺は腹の虫が鳴くのを我慢しながら、泣く泣く解体を断念した。
 それから白井を説得して、猪の死体をストレジさんにしまわせる。

 こりゃもう村の料理に期待するしかないね。
 郷土料理と、田舎なまりのお姉さんを目当てに巨大しゃもじを持って突撃(意味深)みたいな?

 それ何てヨネ◯ケ?

 バカなの? 食うの? 据え膳なの?

 とかうかれてみたけど、俺ってもしかしなくてもスキル未習得の件があるし、一番待遇が悪くてもおかしくないんだよね。

 他の奴らって、どっかの華やかな城下町とか行ったんじゃね?

 最初から色々と便利な場所についたんじゃね?

 大人の店もいっぱいあるんじゃね?

 異世界だと十六歳って大人だよね?

 魔物と戦わせるんだから大人だよね?

 召喚(同音異義語)いけるよね?

 大人の階段登れるんだよね?

 ひゃっほーいっ!

 と喜んでいたら、白井にカイトシールドで押し飛ばされた。

「ど、どうした?」

 起き上がりながら尋ねると、白井は「何となく?」と答えるのみだった。

 まさかこいつ俺の考えを読んだのか?

 そう思って、とんでもなく卑猥な単語を浮かべたら、もっと強烈なシールドバッシュが飛んできた。

 たぶん顔に出てしまっているんだ。
 白井の前で変なことを考えるのはやめよう。
 吹き飛ばされながら、俺は本気でそう思った。

 それからしばらく歩くと、白井が何かを感じ取ったのか、身を呈して俺を引きとめた。

 やだ、この黒ギャル格好いい! 私を抱いて!

 と、乙女モードに入っていると、だいぶ下方の道を細身の男が歩いていた。こちらは最短距離で下山しているのだが、彼は安全に山を登るらしい。人の切り開いた道を迂回するように進んでいる。

 てか、ようやく人が住んでるって感じの場所に来たな。

 このままだと俺たちはすれ違いになるが――。

 弓…………か。

(村の狩人かな?)

 俺の小声に白井は考え込むと、じっと男を見つめて動かない。

 何なの?
 まだオコなの?

 そう思っていたら、(レベル8、【察知LV3】持ちの狩人だよ)と、小声で返ってきた。

(ちょっとステータスを見せて)

 白井は頷いてウィンドウを開いた。

 あった。


~~~ ~~~ ~~~ ~~~


【魔法・サードアイLV1】
 消費MP2 【調査】
 対象の簡易ステータスを見ることができる


~~~ ~~~ ~~~ ~~~


 しかし、ほいほいと覚えていくなぁ。

 白井が優秀なのか、転移者が特別なのか。
 うん、両方だな。

(接触してみる?)
(うん、そうしよう。白井さんはここで待機してて)
(え?)
(白井さんの方が不測の事態に対処できるんだろうけど、俺で試せばいい。命なんて安いものだ。特に俺のは、な)

 アニメの名言でカッコつけながら俺は歩き出す。 

 歩いている理由は簡単だ。
 敵意がなかったとしても走れば反射的に攻撃される可能性があるからだ。

「だ、ダメ!」

 白井は叫んでいた。
 きっと無意識だったと思う。
 とっさに自分の口を塞いでオロオロとしているが、やっぱり無表情だった。

 しかし、それでこそ白井。

「だ、誰か助けてください!」 

 俺も叫んだ。

 狩人と距離があるなら、てっとりばやく見極めてしまえばいい。

「何があったの!? 大丈夫かい!?」

 遠くで男の叫び声が聞こえた。
 よし、少なからず潜伏して襲ってくるような相手ではないみたいだな。

 言葉も通じるようだしな。

「あ、すみませ~ん! ちょっとあなたが悪い人かどうか試してしまいました! ちょっと話を聞いてもらえませんか!?」

 ややあって、「分かった!」と返事があったので、俺と白井は男と合流することとなった。
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