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お気に入りのお店へ! その1
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ギルドの建物を出て、お店に入って食事をしようと思ったのだが……どこが一番いいのか……
昼飯ということで、高いお店に行くのは少し違うような気がする。
かと言って、シエナにもこの街の食事の美味しさというものをたっぷりと味わってもらいたい。
となると……あそこだな。
街の中心部から少し外れた場所へと歩みを進める。
「エリック様。さっきの大通りなどにはたくさん食事をするお店がありましたが……先になにか用事でもするのですか?」
シエナは俺が食事をする前に用事をするのかと勘違いしている。
まあ、無理もない。さっきから目に入ってくるのは住宅ばかりだからな。
「いや、ちゃんとご飯を食べる店に向かっているところだよ。……っと、着いたな。ここが俺のお気に入りのお店だ!」
一見、普通の家にしか見えない建物が、『ルーマダ』というお店だ。どこにも店名が書いておらず、初見さんは『ん? どこだ?』と迷うこと必至だ。
え? こんなんじゃ初見さんなんて来ない? おっと、そいつは彼にとって禁句なので口を慎むように。
「ここ……ですか……」
「そうだ。別に間違っていないぞ? まあ、一旦中に入ろう」
というわけで、玄関のドアを開ける。すると
「いらっしゃいませ! ってエリックかよ。新規のお客さんかと思ったのに」
ガタイのいいおっさんがお出迎えをしてくる。まあ、お出迎えにしては歓迎していない雰囲気だが、いつもこんな感じなので特に気にしない。
「ワイアット。今日は俺だけじゃないぞ? ほら、シエナも入って入って」
玄関の前で立ち止まっていた彼女の手を取って店の中に招き入れる。
「あ……その……お邪魔します」
店内が完全に一般家庭そのものの内装だったので、シエナの態度が他人の家にお邪魔するみたいな感じになっている。
戸惑うシエナの姿も可愛いな。うん、百点!
「ほら。新規客だ。どうーー」
「おぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ! いらっしゃいぃぃぃぃぃませぇぇぇぇぇっぇ!」
モンスターの咆哮かと思うほど大きな声で歓迎の意を示すワイアット。
これにはシエナもたまらず後退する。
「ワイアット。お前、もうちょっと落ち着いたらどうだ。というか、シエナをビビらすな。はっ倒すぞ?」
「エリック! お前、いつの間に女が出来たんだ!? 動物のメスにすら寄り付かれなかったお前がどうやってこんなべっぴんさんを捕まえたんだよ!? クスリか!? クスリなのか!?」
俺の両肩を興奮したワイアットがガッシリと掴んで前後に揺さぶる。
「一旦落ち着けって。せっかくの新規客が逃げるぞ? それと動物のメスが寄り付いてこないとか、そんな話を捏造するな。あと、クスリじゃない」
「じゃあ何だって言うんだ! というか俺とお前は、以前酒場で一生独身同士だと誓いあった仲だろ!? 最悪、俺とお前で二人ーー」
「おい! それ以上変なこと口走ったら容赦しないからな!?」
十分後。何時まで経ってもワイアットが興奮から醒めず、まともに話が出来ないので『バインド』で彼を捕縛して強制的に落ち着かせた。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「お前……俺の方が歳上なんだぞ……それに、店主に向かってこの仕打ちはないだろ……」
「……俺とお前の仲だ。年なんて関係ない。あと、シエナが怯えていたからな。早急に黙らせる必要があったんだ。許せ」
「こんなことされながら『許せ』とか言われてもだな……まあ、俺も少し興奮しすぎた。もう落ち着いたから解いてくれ」
少し……? と思ったが、早くご飯も食べたかったので縄を解く。
自由の身になったワイアットは、服についたホコリを手で叩いて落とし、シエナに向き直って
「改めまして、シエナさん。ルーマダの店主をしているワイアットです」
ニカッっと眩しい笑顔をシエナに振りまきながら右手を差し出し自己紹介をした。
優しいシエナは、精一杯の笑顔をしながら彼と握手を交わす。
シエナ……お前はなんて健気なんだ……さっきのワイアットの咆哮で怖いと感じているだろうに……これは後から服以外にもなにか追加してプレゼントをするべきだろう。
「で、エリック。シエナさんとはどういう関係なんだ?」
ワイアットが前を歩いてダイニングに俺たちを案内しながら質問をしてくる。
……これまた俺が悩んでいる事を聞いてきたな……
事実としては、奴隷と主人という関係だが……個人的には出来れば男女の関係になりたいと思っているわけで。
周りに『奴隷と主人という関係』だとふれ回ったら、その関係性からいざというときに抜け出せなくなる気がする。なんというか……シエナとの間に壁が出来てしまうというか……そんな感じがするのだ。
なので、ここは意味ありげな言葉を後ろに付けておくのが一番いいだろう。よし、そうしよう!
「俺とシエナは主人と奴隷という関係だ。今は、まだな」
「……なるほど。まあ、エリックの事情は知っているし、奴隷の証である首輪が付いているからなんとなくは予想していたが……なるほど。しかし、『今は、まだな』とか言っているあたり、シエナさんをいずれ奴隷ではなく彼女、いや、あわよくば妻として娶りたいと考えているんーー」
「ワイアット! せっかく濁した部分を全て言うな! じゃなくて! というか、お前はそういうところがあるから女性からモテるのに、付き合った瞬間彼女が逃げるんだぞ!?」
「おい! 図星を突かれたからといって俺を巻き込むな!」
くそっ! やはりこいつの口は塞いでおかないといけないのか!
自分の手でワイアットの口と、ついでに鼻を塞ぎ、俺の後ろにいるシエナに対して弁明をする。
「ごめんなー! ワイアットは少し妄想が激しい男なんだ。不快な事を言われたと感じたかも知れないが許してやってほしい」
「ムゴゴゴゴッ!」
「あ! いえ……不快だなんて……むしろ嬉しかったと言いますか……それよりも、ワイアットさんが死にそうな顔をしているので、息をさせてあげたほうが……」
「……ム……ゴゴ……」
彼の方を見ると、顔が紫色になっていた。
バッと手を離して呼吸をさせてあげる。
「ワイアット! 大丈夫か!? 誰にやられたんだ!」
「ごほっ……ごほっ……エリック……お前にやられたんだが……」
「なんだって!? それは大変だ! だが、それよりも今すぐ飯を作ってくれ!」
「……お前は本当に……まあ、いい。エリックも色々考えていることがあるんだろうしな」
意味深な言葉を掛けてきたが……よし! これでさっきのワイアットの発言もシエナは忘れてくれただろう。
後ろにいた彼女をちらりと見ると……俺の視線に気づいたのか、ニッコリと笑ってくれた。
あーダメダメ。そんな事をされたら『トゥンク』ってしちゃいますよ。
昼飯ということで、高いお店に行くのは少し違うような気がする。
かと言って、シエナにもこの街の食事の美味しさというものをたっぷりと味わってもらいたい。
となると……あそこだな。
街の中心部から少し外れた場所へと歩みを進める。
「エリック様。さっきの大通りなどにはたくさん食事をするお店がありましたが……先になにか用事でもするのですか?」
シエナは俺が食事をする前に用事をするのかと勘違いしている。
まあ、無理もない。さっきから目に入ってくるのは住宅ばかりだからな。
「いや、ちゃんとご飯を食べる店に向かっているところだよ。……っと、着いたな。ここが俺のお気に入りのお店だ!」
一見、普通の家にしか見えない建物が、『ルーマダ』というお店だ。どこにも店名が書いておらず、初見さんは『ん? どこだ?』と迷うこと必至だ。
え? こんなんじゃ初見さんなんて来ない? おっと、そいつは彼にとって禁句なので口を慎むように。
「ここ……ですか……」
「そうだ。別に間違っていないぞ? まあ、一旦中に入ろう」
というわけで、玄関のドアを開ける。すると
「いらっしゃいませ! ってエリックかよ。新規のお客さんかと思ったのに」
ガタイのいいおっさんがお出迎えをしてくる。まあ、お出迎えにしては歓迎していない雰囲気だが、いつもこんな感じなので特に気にしない。
「ワイアット。今日は俺だけじゃないぞ? ほら、シエナも入って入って」
玄関の前で立ち止まっていた彼女の手を取って店の中に招き入れる。
「あ……その……お邪魔します」
店内が完全に一般家庭そのものの内装だったので、シエナの態度が他人の家にお邪魔するみたいな感じになっている。
戸惑うシエナの姿も可愛いな。うん、百点!
「ほら。新規客だ。どうーー」
「おぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ! いらっしゃいぃぃぃぃぃませぇぇぇぇぇっぇ!」
モンスターの咆哮かと思うほど大きな声で歓迎の意を示すワイアット。
これにはシエナもたまらず後退する。
「ワイアット。お前、もうちょっと落ち着いたらどうだ。というか、シエナをビビらすな。はっ倒すぞ?」
「エリック! お前、いつの間に女が出来たんだ!? 動物のメスにすら寄り付かれなかったお前がどうやってこんなべっぴんさんを捕まえたんだよ!? クスリか!? クスリなのか!?」
俺の両肩を興奮したワイアットがガッシリと掴んで前後に揺さぶる。
「一旦落ち着けって。せっかくの新規客が逃げるぞ? それと動物のメスが寄り付いてこないとか、そんな話を捏造するな。あと、クスリじゃない」
「じゃあ何だって言うんだ! というか俺とお前は、以前酒場で一生独身同士だと誓いあった仲だろ!? 最悪、俺とお前で二人ーー」
「おい! それ以上変なこと口走ったら容赦しないからな!?」
十分後。何時まで経ってもワイアットが興奮から醒めず、まともに話が出来ないので『バインド』で彼を捕縛して強制的に落ち着かせた。
「どうだ? 少しは落ち着いたか?」
「お前……俺の方が歳上なんだぞ……それに、店主に向かってこの仕打ちはないだろ……」
「……俺とお前の仲だ。年なんて関係ない。あと、シエナが怯えていたからな。早急に黙らせる必要があったんだ。許せ」
「こんなことされながら『許せ』とか言われてもだな……まあ、俺も少し興奮しすぎた。もう落ち着いたから解いてくれ」
少し……? と思ったが、早くご飯も食べたかったので縄を解く。
自由の身になったワイアットは、服についたホコリを手で叩いて落とし、シエナに向き直って
「改めまして、シエナさん。ルーマダの店主をしているワイアットです」
ニカッっと眩しい笑顔をシエナに振りまきながら右手を差し出し自己紹介をした。
優しいシエナは、精一杯の笑顔をしながら彼と握手を交わす。
シエナ……お前はなんて健気なんだ……さっきのワイアットの咆哮で怖いと感じているだろうに……これは後から服以外にもなにか追加してプレゼントをするべきだろう。
「で、エリック。シエナさんとはどういう関係なんだ?」
ワイアットが前を歩いてダイニングに俺たちを案内しながら質問をしてくる。
……これまた俺が悩んでいる事を聞いてきたな……
事実としては、奴隷と主人という関係だが……個人的には出来れば男女の関係になりたいと思っているわけで。
周りに『奴隷と主人という関係』だとふれ回ったら、その関係性からいざというときに抜け出せなくなる気がする。なんというか……シエナとの間に壁が出来てしまうというか……そんな感じがするのだ。
なので、ここは意味ありげな言葉を後ろに付けておくのが一番いいだろう。よし、そうしよう!
「俺とシエナは主人と奴隷という関係だ。今は、まだな」
「……なるほど。まあ、エリックの事情は知っているし、奴隷の証である首輪が付いているからなんとなくは予想していたが……なるほど。しかし、『今は、まだな』とか言っているあたり、シエナさんをいずれ奴隷ではなく彼女、いや、あわよくば妻として娶りたいと考えているんーー」
「ワイアット! せっかく濁した部分を全て言うな! じゃなくて! というか、お前はそういうところがあるから女性からモテるのに、付き合った瞬間彼女が逃げるんだぞ!?」
「おい! 図星を突かれたからといって俺を巻き込むな!」
くそっ! やはりこいつの口は塞いでおかないといけないのか!
自分の手でワイアットの口と、ついでに鼻を塞ぎ、俺の後ろにいるシエナに対して弁明をする。
「ごめんなー! ワイアットは少し妄想が激しい男なんだ。不快な事を言われたと感じたかも知れないが許してやってほしい」
「ムゴゴゴゴッ!」
「あ! いえ……不快だなんて……むしろ嬉しかったと言いますか……それよりも、ワイアットさんが死にそうな顔をしているので、息をさせてあげたほうが……」
「……ム……ゴゴ……」
彼の方を見ると、顔が紫色になっていた。
バッと手を離して呼吸をさせてあげる。
「ワイアット! 大丈夫か!? 誰にやられたんだ!」
「ごほっ……ごほっ……エリック……お前にやられたんだが……」
「なんだって!? それは大変だ! だが、それよりも今すぐ飯を作ってくれ!」
「……お前は本当に……まあ、いい。エリックも色々考えていることがあるんだろうしな」
意味深な言葉を掛けてきたが……よし! これでさっきのワイアットの発言もシエナは忘れてくれただろう。
後ろにいた彼女をちらりと見ると……俺の視線に気づいたのか、ニッコリと笑ってくれた。
あーダメダメ。そんな事をされたら『トゥンク』ってしちゃいますよ。
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