ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

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俺、シエナの服を買います! その1

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 翌日。
 疲れからか少し遅めに起床してしまった俺達は、パパっとご飯を食べ、身支度を整えて街へと繰り出した。

 丁度、冒険者達はギルドに行ってクエスト争奪戦をしている時間だったので、街には冒険者以外の職業の人が多く見受けられた。
 ここは強者の冒険者が集うアルメルド。しかし、冒険者だけの街、というわけではない。
 冒険者が使う武器を売っている武器屋や防具を売る防具屋、薬を売る薬屋などで働く人達もいる。しかも、その人達もエキスパート、つまりは超一流の職人だらけだ。
 つまり、アルメルドは様々な職業の強者が集う街、という表現の方が正しいだろう。

 シエナも昨日とは違った格好の人たちを見て興味津々といったような感じだ。
 このまま街行く人たちを観察するというのも一興かもしれないが、今日はシエナの服を買いに来たので、それはまた今度だな。


 というわけで、しばらく歩いた後、俺が目星を付けていた店に入る。

「いらっしゃいませだにゃ~って、エリックさんだにゃ! それにメスを連れているにゃ! 明日は槍でも降ってくるのかにゃ!?」

 店内に入って早々、俺にとってもシエナにとっても失礼なことを言ってきた彼女は亜人で猫耳としっぽを生やしているニーニャだ。
 彼女とは酒場で意気投合して仲良くなった。まあ、からかいグセがあるのが難点だが可愛い。

「おい、メスって言うのはやめろ。あと槍なんて降ってこないぞ」
「じゃあ、エリックさんの雌豚だということだにゃ?」

 ニヤニヤと俺を見ながらからかう。
 ……こいつは本当に……一度分からせてやらねばならんかもしれない。
 シエナの方を見ると……顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。おそらく『俺の雌豚』というところに反応したんだろう。
 ……なぜ『雌豚』という意味を知っているんだ……? 言葉通りに受け取ればどういう意味ですか? みたいな顔をするはずだし……
 物凄く気になったが、無理やり気持ちを切り替えて本題に入ることにした。

「今日は彼女、シエナの服を作ってもらおうと思ってな。女性の服なんて分かならないし、一人ひとりの体に合わせた服を作ってくれて、センスのあるニーニャに頼もうかと思って」
「そういうことだったんだにゃ。まあ、ニーニャはこの街で一番のセンスがあるからにゃ! エリックさんが頼ってくるのも無理ない話にゃ」

 背中と見紛うような胸を張り『えっへん』というような顔になる。
 ……硬そう……ではなく! 確かにニーニャの言う通り、彼女はセンスがある、らしい。
 俺もニーニャと仲良くなってからここで服を買いだしたんだが、ワイアットに『お前……急に服のセンスが良くなって……一体どうしたんだ!?』と例のごとく両肩をがっちり掴まれて前後に激しく揺さぶられた。
 彼女ならシエナに最高に似合う服を選んでくれるはずだ。

「それじゃあ早速シエナちゃん、向こうに行くにゃ!」
「は、はい!」

 ニーニャとシエナは女性服売り場の方へと消えていった。
 俺もついて行っても良かったのだが……パンツとかそういうのも売っているので、やめておいた。


 男性用の服売り場では、靴下やTシャツ、上着などが売っている。
 この店には、どれも他の街では手に入らないほど機能的なものばかり置いているのだ。例えば、汗をかいたらすぐにその汗を吸収してくれるものから、通気性が抜群に良いもの、肌触りが気持ちぃ~となるものまでよりどりみどりである。
 まあ、俺は今日は見るだけなんだけどな。
 Tシャツはまだ買い溜めがあるし、パンツはそんな消耗するものではないし、靴下はまだいけるし、服はニーニャに選んでもらったばかりだ。
 金は持っているので、少しでもヨレヨレになったら買い換えるのもいいのかも知れないが……自分にはそこまで投資しないと決めているのだ。
 それに……ここのお店に売っているものはどれも高いんだよな……
 例えばこの爽やかな感じのする服。
 上着だけで……銀貨五枚もする。
 銀貨一枚でちょっとリッチな宿に一泊できるので……そこに五泊できるほどの値段だ。
 『オススメ!』と書かれているズボンなんて銀貨十枚だ。
 まあ、説明欄に伸縮性が抜群で防具の上からでも楽々と履けておしゃれし放題! と書いているので、高くなるのは分かる。
 冒険者は通常、というか必ず防具を付ける。これはモンスターからの攻撃を受けた際に少しでもダメージを減らすためなのだが……どうしても防具というのは機能性重視になってしまって見た目が無骨と言うか、おしゃれっていう感じはしないらしい。俺は結構好きなんだが……
 そこで、防具の上から着ることが出来る服というのをニーニャが開発した、というわけだ。
 といっても鎧とかの上からは流石に無理らしいが。でも、それでも彼女の服によって冒険者はおしゃれをすることが出来るようになった。
 ただ、そういう服に使う繊維はかなり貴重らしく、結果バカみたいにお高い値段になったらしい。

 しばらく待っていると、奥の方からガタガタガタと機械が動く音が聞こえてくる。
 この店では、採寸を終えたらニーニャが作業室に入ってその場で服を作るのだ。
 だいたい作業を始めてから二十分ほどで服を織り終えるという、普通ではありえない速度で。
 ちなみにその作業は見ることが出来る。ニーニャ曰くサービスというか、パフォーマンスみたいなものらしい。
 おそらくシエナも作業室に入ってその神の如き技術を目の当たりにしているのだろう。


 音が聞こえだしてから四十分後。いつもより時間がかかったらしいが、ニーニャが俺を呼びに来た。

「エリックさん。完璧なコーディネートが出来たにゃ! このお店で出せる最高級の素材をフル動員してようやくシエナちゃんに釣り合うようになったんだにゃ。彼女、ものすごい逸材だにゃ!」

 ニーニャが興奮したような感じで話してくれる。
 そうだろう、そうだろう。
 ……このお店で出せる最高級の服というのが気になるが……まあ、いっか。
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