ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

文字の大きさ
67 / 108

お買い物

しおりを挟む
 ぐるりと街を回ってようやく分かったのだが、この街は主に武器職人たちが集まるような街らしい。馬車を一流の職人の手で直してもらいたかったのだが……どこも『それは専門外』と言われて拒否された。まあ、『修理できる』と言われたら言われたで買った資材が無駄になるから、ある意味ではこれで良かったのかもしれない。
 で、街のいたる所にあった銅像は大昔の天才武器職人だった人をかたどったものだと言われた。へー、というような感じだ。まあ、それ以外特に感想はない。
 
 彼女たちから別れて三十分くらいで諸々の買い出しを終えて、宿屋に戻り馬車に買ってきたものを詰め込む。
 ギシギシ、という音がしてきて少し冷や汗を流したが……まあ、もうすぐ資材も届くし、大丈夫だろう。
 で、あと三十分ほど空き時間があったので何をしようかと思っていたのだが……たまたま付近を歩いていた街のカップルが、指輪を付けているのを見た。しかも、おしゃれ目的ではなく、付けている位置からあれは結婚指輪だろう。
(……結婚指輪……か……)
  空を見上げて物思いに耽る。
 俺達は冒険者だ。モンスターを討伐することで生計を立てている。ただし、それには死ぬリスクというものが常につきまとっている。昨日のアナモグリンのときも思ったが、今回のクエストはやはり、かなり危険なものだと思う。もしかしたら……明日、ドラゴンや他のモンスターに殺されるかもしれない。指輪を買ってあげたほうが、死に際の未練というのは少なくなるだろう。
 あと、それはどうなの? と言われそうではあるが……シエナとは夫婦関係になったが……指輪のことをすっかり失念していたのだ。このままだと不味い。それに……メリッサとの関係も、このままは良くないだろう。はっきりとした態度で示さないと、それこそ後悔しそうだ。
 幸い街を見て回った時に、アクセサリー類を売っているお店があることは把握済み。そこだったら、いい感じの指輪が手に入るかもしれない。
 というわけで、善は急げということで俺は借りた部屋と馬車に『少し遅くなる。宿屋で待っておくこと』と書いた置き手紙を置いて……街へと再度繰り出した。

 
 一時間後。クエスト出発時よりかなり軽くなった金貨の袋と、小さい二つの箱をポケットに入れた俺は宿屋へと戻る。
 馬車置き場をちらりと見ると、資材屋で買ったものがきちんと届けられていた。しっかりと仕事をしてくれたあの店の人に感謝をしながら、借りた部屋の中へと入る。

「んっ……あっ……あああっ! ……え、ええええエリック様!? おお、おかえりなさいませ! メリッサ様! 今すぐそれを抜いてください! エリック様がお帰りですよ!」

 ドアを開けた瞬間、甘い声と焦る声が聞こえてきたが……努めて気にせず、『ああ、ただいま』と言う。
 シエナの隣にはメリッサがいて……二人共ベッドの上で顔を真っ赤にしながら、なにやら長くて太いものを手元に持っていたが……あ、今慌てて背中に隠したな。
 というか……服が乱れていて非常に股間に悪いんだが……

「……あー、遅くなってごめん。ちょっと買い物をしていてな」
「そ、そうだったんですね! あっ! ふ、服が乱れているのはちょっと軽めの運動をしていてですね! ですよね、メリッサ様!」
「……え!? ええ! その通り! わ、わたくしは誓って自慰をしていたわけではありませんわ! あまりにもエリックが手を出してこないから溜まっていたとか、そういうのではないんですの!」

 シエナは絶句。俺はこめかみを押さえて『うーん、この』と言う。
 せっかくシエナが無理のあるごまかし方ではあったがこの状況を丸く収めようとしていたのに、メリッサは自ら起爆スイッチを押してしまったような形だ。
 まあ、こいつはポーカーフェイスが出来ないし、嘘をつけるタイプでもないからな。ただ……ツンデレっぽいことを言って自爆するのはどうかと思うぞ。
 メリッサは、自分が何を言ったのか徐々に理解してきたようで、体と耳をプルプルと震えさせてきた。
 これは俺がなんとかするべきだろうな。
 
「まあ、なんだ? ガス抜きは必要だよな? 俺も……あー、最近は忙しすぎて出来ていないが、まあ……元気出せよ」
「――それはフォローになっていませんわぁあああああ!」

 ベッドに突っ伏してメリッサが大泣きをし始めてしまう。
 いや、大分フォローしたつもりだったんだが……トドメを刺してしまったのか?
 
 三十分後。なんとかメリッサに泣き止んでもらう。もちろん、シエナのケアも忘れていないぞ?
 で、このタイミングでアレを渡しても良かったんだが……まずは馬車の修理を日が落ちる前に終わらせたいというわけで、馬車置き場へと三人で向かった。


「それで、この買った資材をどのようにして使うんですの? わたくし、気になりますわ!」

 あまりにも露骨に、そしていつもよりも大きな声で質問してくるメリッサ。
 先程のことを早く忘れてほしいがためにそういうことをしているんだろうが……もう少し自然にだな……
 ただ、ここでまたツッコむと泣いてしまうかもしれないので、彼女の話に乗ってやることにする。

「この鉄の板は馬車の床に貼り付ける。このままいけば、そう遠くない未来に馬車の底が抜けそうだからな。この頑丈な鉄で補強しようという魂胆だ。で、角材と木の板は馬車の壁の補強に使う。今の馬車の見た目を崩さないように裏側からの補強になるがな」

 馬車の該当箇所を指差しながら説明する。正直言って、こういう補強作業はド素人だからあってるかどうかは分からないんだが……今までこの方法で上手くやってこれたのでおそらくは大丈夫だろう。
 いい感じのところで説明を終えたので、早速俺は修理に取り掛かる。
 まずは……鉄の板の加工からだ。このままだとでかすぎて床に張れないので……力技で引きちぎることにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...