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お買い物
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ぐるりと街を回ってようやく分かったのだが、この街は主に武器職人たちが集まるような街らしい。馬車を一流の職人の手で直してもらいたかったのだが……どこも『それは専門外』と言われて拒否された。まあ、『修理できる』と言われたら言われたで買った資材が無駄になるから、ある意味ではこれで良かったのかもしれない。
で、街のいたる所にあった銅像は大昔の天才武器職人だった人をかたどったものだと言われた。へー、というような感じだ。まあ、それ以外特に感想はない。
彼女たちから別れて三十分くらいで諸々の買い出しを終えて、宿屋に戻り馬車に買ってきたものを詰め込む。
ギシギシ、という音がしてきて少し冷や汗を流したが……まあ、もうすぐ資材も届くし、大丈夫だろう。
で、あと三十分ほど空き時間があったので何をしようかと思っていたのだが……たまたま付近を歩いていた街のカップルが、指輪を付けているのを見た。しかも、おしゃれ目的ではなく、付けている位置からあれは結婚指輪だろう。
(……結婚指輪……か……)
空を見上げて物思いに耽る。
俺達は冒険者だ。モンスターを討伐することで生計を立てている。ただし、それには死ぬリスクというものが常につきまとっている。昨日のアナモグリンのときも思ったが、今回のクエストはやはり、かなり危険なものだと思う。もしかしたら……明日、ドラゴンや他のモンスターに殺されるかもしれない。指輪を買ってあげたほうが、死に際の未練というのは少なくなるだろう。
あと、それはどうなの? と言われそうではあるが……シエナとは夫婦関係になったが……指輪のことをすっかり失念していたのだ。このままだと不味い。それに……メリッサとの関係も、このままは良くないだろう。はっきりとした態度で示さないと、それこそ後悔しそうだ。
幸い街を見て回った時に、アクセサリー類を売っているお店があることは把握済み。そこだったら、いい感じの指輪が手に入るかもしれない。
というわけで、善は急げということで俺は借りた部屋と馬車に『少し遅くなる。宿屋で待っておくこと』と書いた置き手紙を置いて……街へと再度繰り出した。
一時間後。クエスト出発時よりかなり軽くなった金貨の袋と、小さい二つの箱をポケットに入れた俺は宿屋へと戻る。
馬車置き場をちらりと見ると、資材屋で買ったものがきちんと届けられていた。しっかりと仕事をしてくれたあの店の人に感謝をしながら、借りた部屋の中へと入る。
「んっ……あっ……あああっ! ……え、ええええエリック様!? おお、おかえりなさいませ! メリッサ様! 今すぐそれを抜いてください! エリック様がお帰りですよ!」
ドアを開けた瞬間、甘い声と焦る声が聞こえてきたが……努めて気にせず、『ああ、ただいま』と言う。
シエナの隣にはメリッサがいて……二人共ベッドの上で顔を真っ赤にしながら、なにやら長くて太いものを手元に持っていたが……あ、今慌てて背中に隠したな。
というか……服が乱れていて非常に股間に悪いんだが……
「……あー、遅くなってごめん。ちょっと買い物をしていてな」
「そ、そうだったんですね! あっ! ふ、服が乱れているのはちょっと軽めの運動をしていてですね! ですよね、メリッサ様!」
「……え!? ええ! その通り! わ、わたくしは誓って自慰をしていたわけではありませんわ! あまりにもエリックが手を出してこないから溜まっていたとか、そういうのではないんですの!」
シエナは絶句。俺はこめかみを押さえて『うーん、この』と言う。
せっかくシエナが無理のあるごまかし方ではあったがこの状況を丸く収めようとしていたのに、メリッサは自ら起爆スイッチを押してしまったような形だ。
まあ、こいつはポーカーフェイスが出来ないし、嘘をつけるタイプでもないからな。ただ……ツンデレっぽいことを言って自爆するのはどうかと思うぞ。
メリッサは、自分が何を言ったのか徐々に理解してきたようで、体と耳をプルプルと震えさせてきた。
これは俺がなんとかするべきだろうな。
「まあ、なんだ? ガス抜きは必要だよな? 俺も……あー、最近は忙しすぎて出来ていないが、まあ……元気出せよ」
「――それはフォローになっていませんわぁあああああ!」
ベッドに突っ伏してメリッサが大泣きをし始めてしまう。
いや、大分フォローしたつもりだったんだが……トドメを刺してしまったのか?
三十分後。なんとかメリッサに泣き止んでもらう。もちろん、シエナのケアも忘れていないぞ?
で、このタイミングでアレを渡しても良かったんだが……まずは馬車の修理を日が落ちる前に終わらせたいというわけで、馬車置き場へと三人で向かった。
「それで、この買った資材をどのようにして使うんですの? わたくし、気になりますわ!」
あまりにも露骨に、そしていつもよりも大きな声で質問してくるメリッサ。
先程のことを早く忘れてほしいがためにそういうことをしているんだろうが……もう少し自然にだな……
ただ、ここでまたツッコむと泣いてしまうかもしれないので、彼女の話に乗ってやることにする。
「この鉄の板は馬車の床に貼り付ける。このままいけば、そう遠くない未来に馬車の底が抜けそうだからな。この頑丈な鉄で補強しようという魂胆だ。で、角材と木の板は馬車の壁の補強に使う。今の馬車の見た目を崩さないように裏側からの補強になるがな」
馬車の該当箇所を指差しながら説明する。正直言って、こういう補強作業はド素人だからあってるかどうかは分からないんだが……今までこの方法で上手くやってこれたのでおそらくは大丈夫だろう。
いい感じのところで説明を終えたので、早速俺は修理に取り掛かる。
まずは……鉄の板の加工からだ。このままだとでかすぎて床に張れないので……力技で引きちぎることにした。
で、街のいたる所にあった銅像は大昔の天才武器職人だった人をかたどったものだと言われた。へー、というような感じだ。まあ、それ以外特に感想はない。
彼女たちから別れて三十分くらいで諸々の買い出しを終えて、宿屋に戻り馬車に買ってきたものを詰め込む。
ギシギシ、という音がしてきて少し冷や汗を流したが……まあ、もうすぐ資材も届くし、大丈夫だろう。
で、あと三十分ほど空き時間があったので何をしようかと思っていたのだが……たまたま付近を歩いていた街のカップルが、指輪を付けているのを見た。しかも、おしゃれ目的ではなく、付けている位置からあれは結婚指輪だろう。
(……結婚指輪……か……)
空を見上げて物思いに耽る。
俺達は冒険者だ。モンスターを討伐することで生計を立てている。ただし、それには死ぬリスクというものが常につきまとっている。昨日のアナモグリンのときも思ったが、今回のクエストはやはり、かなり危険なものだと思う。もしかしたら……明日、ドラゴンや他のモンスターに殺されるかもしれない。指輪を買ってあげたほうが、死に際の未練というのは少なくなるだろう。
あと、それはどうなの? と言われそうではあるが……シエナとは夫婦関係になったが……指輪のことをすっかり失念していたのだ。このままだと不味い。それに……メリッサとの関係も、このままは良くないだろう。はっきりとした態度で示さないと、それこそ後悔しそうだ。
幸い街を見て回った時に、アクセサリー類を売っているお店があることは把握済み。そこだったら、いい感じの指輪が手に入るかもしれない。
というわけで、善は急げということで俺は借りた部屋と馬車に『少し遅くなる。宿屋で待っておくこと』と書いた置き手紙を置いて……街へと再度繰り出した。
一時間後。クエスト出発時よりかなり軽くなった金貨の袋と、小さい二つの箱をポケットに入れた俺は宿屋へと戻る。
馬車置き場をちらりと見ると、資材屋で買ったものがきちんと届けられていた。しっかりと仕事をしてくれたあの店の人に感謝をしながら、借りた部屋の中へと入る。
「んっ……あっ……あああっ! ……え、ええええエリック様!? おお、おかえりなさいませ! メリッサ様! 今すぐそれを抜いてください! エリック様がお帰りですよ!」
ドアを開けた瞬間、甘い声と焦る声が聞こえてきたが……努めて気にせず、『ああ、ただいま』と言う。
シエナの隣にはメリッサがいて……二人共ベッドの上で顔を真っ赤にしながら、なにやら長くて太いものを手元に持っていたが……あ、今慌てて背中に隠したな。
というか……服が乱れていて非常に股間に悪いんだが……
「……あー、遅くなってごめん。ちょっと買い物をしていてな」
「そ、そうだったんですね! あっ! ふ、服が乱れているのはちょっと軽めの運動をしていてですね! ですよね、メリッサ様!」
「……え!? ええ! その通り! わ、わたくしは誓って自慰をしていたわけではありませんわ! あまりにもエリックが手を出してこないから溜まっていたとか、そういうのではないんですの!」
シエナは絶句。俺はこめかみを押さえて『うーん、この』と言う。
せっかくシエナが無理のあるごまかし方ではあったがこの状況を丸く収めようとしていたのに、メリッサは自ら起爆スイッチを押してしまったような形だ。
まあ、こいつはポーカーフェイスが出来ないし、嘘をつけるタイプでもないからな。ただ……ツンデレっぽいことを言って自爆するのはどうかと思うぞ。
メリッサは、自分が何を言ったのか徐々に理解してきたようで、体と耳をプルプルと震えさせてきた。
これは俺がなんとかするべきだろうな。
「まあ、なんだ? ガス抜きは必要だよな? 俺も……あー、最近は忙しすぎて出来ていないが、まあ……元気出せよ」
「――それはフォローになっていませんわぁあああああ!」
ベッドに突っ伏してメリッサが大泣きをし始めてしまう。
いや、大分フォローしたつもりだったんだが……トドメを刺してしまったのか?
三十分後。なんとかメリッサに泣き止んでもらう。もちろん、シエナのケアも忘れていないぞ?
で、このタイミングでアレを渡しても良かったんだが……まずは馬車の修理を日が落ちる前に終わらせたいというわけで、馬車置き場へと三人で向かった。
「それで、この買った資材をどのようにして使うんですの? わたくし、気になりますわ!」
あまりにも露骨に、そしていつもよりも大きな声で質問してくるメリッサ。
先程のことを早く忘れてほしいがためにそういうことをしているんだろうが……もう少し自然にだな……
ただ、ここでまたツッコむと泣いてしまうかもしれないので、彼女の話に乗ってやることにする。
「この鉄の板は馬車の床に貼り付ける。このままいけば、そう遠くない未来に馬車の底が抜けそうだからな。この頑丈な鉄で補強しようという魂胆だ。で、角材と木の板は馬車の壁の補強に使う。今の馬車の見た目を崩さないように裏側からの補強になるがな」
馬車の該当箇所を指差しながら説明する。正直言って、こういう補強作業はド素人だからあってるかどうかは分からないんだが……今までこの方法で上手くやってこれたのでおそらくは大丈夫だろう。
いい感じのところで説明を終えたので、早速俺は修理に取り掛かる。
まずは……鉄の板の加工からだ。このままだとでかすぎて床に張れないので……力技で引きちぎることにした。
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