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攻防
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ズドドドドドド……ッ!
何がどうなって発生したのか分からないような音を洞窟内に響き渡らせながらも高速で逃げていた俺達に青白い炎が迫ってくる。
見た目からして攻撃力が高そうで、本当にアイギスが持つのか心配になりながらも俺は必死に逃げて逃げて逃げまくる。一番いいのは攻撃を受けないことだからな。
しかし、洞窟の出口がやっと見えてきたところで……奮闘虚しくついに炎に追いつかれて、アイギスとドラゴンブレスとの攻防が始まった。
ギギギギギギッ……パキパキ……パキパキパキ……バギッ!
もしかしたら無傷で耐えきってくれるかもしれないという淡い希望を抱いていた俺だったが……ローラを着けた上で展開したアイギスにものの数秒で亀裂が走り……今にも壊れそうな状況に陥ってしまう。いや、まじでドラゴンブレスの威力どうなってんの!?
アイギスは、展開した後は特に何も手を加えられないことで有名な魔術だ。普通、魔術障壁というものは、壊れかけたら術者が魔力を流し込んで損傷箇所を修復することが出来るのだが……このアイギスは一切それが出来ない。強力な魔術というのは、不便なところが総じてあるものなのだ。万能なものなんて無いってわけだな。
ただ……アイギスが破られてはい終わりー、と諦めてしまうともれなく消し炭にされるどころか跡形もなく成仏してしまう。俺には嫁さん二人がいるのだ。帰ってくると約束したのだからそれは勘弁願いたいということで、残り少ない魔力を使って……アイギスの次に強力な魔術障壁を展開する。
「《シールド》!」
俺が、いや俺達がいつもお世話になっている障壁を展開した瞬間、アイギスが完全に壊れて……消えてしまった。
洞窟の出口まであともう少し。ここをなんとか耐えきったら逃げ切れる!
俺は自分たちの身を守るためにシールドを四方八方に何度も何度も展開する。アイギスと比べるとこの魔術なんて紙同然の強度なので、一瞬にして壊されてしまうのだ。この障壁って結構頑丈なことで有名なんだけどなぁ……ドラゴン相手には荷が重かったらしい。
というか、ドラゴンブレスなっが! もうそろそろ攻撃を止めていただいても良いんですよ?
「だ、大丈夫かいな!? 君、病人みたいな顔色になってるで!」
心の中で愚痴や誰かに向けた解説をしていると……スズナが俺の顔を見て心配そうな顔を向けてきた。
どうやらアイギスを展開するために多大な魔力を消費し、シールドを何度も何度も展開しているせいで……結構潤沢にあった俺の魔力が底をついてきているらしい。少し、いや、大分旗色が悪くなってきた……
ちなみに魔力不足とは、軽度であれば顔色が悪くなって呼吸が浅くなり、それが進行して重度になると意識を失い、そのまま放っておくと最悪死に至る、という中々に怖いことになる病気、というか症状でもある。
しかしながらここで手を緩められないのも事実。魔力の枯渇をひしひしと感じながらも俺はシールドを展開し続ける。
「《シールド》! 《シールド》! 《シールド》! 《シールド》!」
壊されては展開し、壊されては展開し。ドラゴンブレスと必死の攻防を繰り広げていた俺だったが……あと数秒耐えきればこの地獄から抜け出せるというタイミングで、ついにシールドとドラゴンブレスの均衡が崩れてしまった。俺の魔術の起動速度が障壁の崩壊速度に追いつかなくなってしまったのだ。
体を張って守ってくれていたシールド達がパキパキという音を立て壊れ始め……代わりにとばかりに俺達を焼き尽くさんとする炎が漏れてくる。
「や、やばい……! 炎が漏れ出して……! スズナ! お前だけはなんとしてでも守ってみせ――あっつ! いや、背中が熱い! 熱いし痛い! やばい! やっぱ無理かも! 灰になる、灰になるから!」
「エリック! 大丈夫かいな!?」
威勢よく啖呵切ったのに即落ちである。いや、この炎は不味い! 純粋な熱さが背中を焦がしてきてやけどしたときみたいに痛いし、それになんか体に変な異物が入り込んできているような、そんな感覚がする。俺の勘が警鐘を鳴らしているのだ!
しかしながら、魔術障壁で防ぎ切れなかった炎と熱は全て俺の背中にダイレクトアタックをかましてきてくれる。なんとしてでも守りたいスズナには被害はない様子だ。ここまで守る義理はないかもしれないが……せっかくかなりの危険を冒して助け出したのだ。怪我なんてさせたくない。
ただ状況は最悪である。あと少しのところで打つ手なしの状況になってしまったのだ。しかし……俺は弱いとは言えS級ランクの冒険者。まだ諦めない。諦めないのだ! なぜなら……切り札がここにあるからな!
魔力不足と背中の痛みで途切れそうになる意識をなんとか繋ぎ止めながら、胸ポケットから小さな瓶を取り出し……それを思いっきり地面に叩きつける。
刹那。地面からドドドドドッ! と、見た目からして頑丈そうな城壁が生えてきて……一瞬にして俺達をドラゴンブレスから守ってくれる強固な壁となった。
俺が地面に叩きつけた小瓶は、超希少で超高いマジックアイテムだ。今のように何もないところから城壁を出現させて、ありとあらゆるものから身を守ってくれる強固な壁を作ってくれるというめちゃくちゃすごいアイテムである。ただ、こいつは『使用者の魔力がたくさんある状況でこのマジックアイテムを使うとただの土塊みたいな強度しか出せず、魔力が枯渇すればするほど、危機に陥れば陥るほど壁が頑丈になっていく』という変な特徴があるのだ。まあ、つまりは切り札として使え、ということだな。
で、俺はわらにもすがる思いでこいつを使ったのだが……どうやらめちゃくちゃ頑丈な壁として機能してくれいるらしい。あのアイギスを一瞬で粉々にしたドラゴンブレスを食らってもびくともせず、今も俺とスズナを守ってくれている。
そんな壁を見て安堵しながらも、危険が去ったわけではないので気は抜かずにトップスピードを維持したまま洞窟を出て……シエナとメリッサが待っている場所まで駆けていく。
正直今すぐにでもぶっ倒れたいくらい体が重いし、あの炎をくらった背中は悲鳴をあげたくなるくらい痛かったが、いつあの壁が崩壊するのか分からないからな。それに、またドラゴンが俺達を追ってくるかもしれない。今のうちに出来る限遠くへ逃げるのがいいだろう。
まあ、説明書には討伐難易度『死』レベルのモンスターの攻撃を一時間ほど耐えた実績があります、ということが書いていたから大丈夫だとは思うが……絶対ではないだろうし。
何がどうなって発生したのか分からないような音を洞窟内に響き渡らせながらも高速で逃げていた俺達に青白い炎が迫ってくる。
見た目からして攻撃力が高そうで、本当にアイギスが持つのか心配になりながらも俺は必死に逃げて逃げて逃げまくる。一番いいのは攻撃を受けないことだからな。
しかし、洞窟の出口がやっと見えてきたところで……奮闘虚しくついに炎に追いつかれて、アイギスとドラゴンブレスとの攻防が始まった。
ギギギギギギッ……パキパキ……パキパキパキ……バギッ!
もしかしたら無傷で耐えきってくれるかもしれないという淡い希望を抱いていた俺だったが……ローラを着けた上で展開したアイギスにものの数秒で亀裂が走り……今にも壊れそうな状況に陥ってしまう。いや、まじでドラゴンブレスの威力どうなってんの!?
アイギスは、展開した後は特に何も手を加えられないことで有名な魔術だ。普通、魔術障壁というものは、壊れかけたら術者が魔力を流し込んで損傷箇所を修復することが出来るのだが……このアイギスは一切それが出来ない。強力な魔術というのは、不便なところが総じてあるものなのだ。万能なものなんて無いってわけだな。
ただ……アイギスが破られてはい終わりー、と諦めてしまうともれなく消し炭にされるどころか跡形もなく成仏してしまう。俺には嫁さん二人がいるのだ。帰ってくると約束したのだからそれは勘弁願いたいということで、残り少ない魔力を使って……アイギスの次に強力な魔術障壁を展開する。
「《シールド》!」
俺が、いや俺達がいつもお世話になっている障壁を展開した瞬間、アイギスが完全に壊れて……消えてしまった。
洞窟の出口まであともう少し。ここをなんとか耐えきったら逃げ切れる!
俺は自分たちの身を守るためにシールドを四方八方に何度も何度も展開する。アイギスと比べるとこの魔術なんて紙同然の強度なので、一瞬にして壊されてしまうのだ。この障壁って結構頑丈なことで有名なんだけどなぁ……ドラゴン相手には荷が重かったらしい。
というか、ドラゴンブレスなっが! もうそろそろ攻撃を止めていただいても良いんですよ?
「だ、大丈夫かいな!? 君、病人みたいな顔色になってるで!」
心の中で愚痴や誰かに向けた解説をしていると……スズナが俺の顔を見て心配そうな顔を向けてきた。
どうやらアイギスを展開するために多大な魔力を消費し、シールドを何度も何度も展開しているせいで……結構潤沢にあった俺の魔力が底をついてきているらしい。少し、いや、大分旗色が悪くなってきた……
ちなみに魔力不足とは、軽度であれば顔色が悪くなって呼吸が浅くなり、それが進行して重度になると意識を失い、そのまま放っておくと最悪死に至る、という中々に怖いことになる病気、というか症状でもある。
しかしながらここで手を緩められないのも事実。魔力の枯渇をひしひしと感じながらも俺はシールドを展開し続ける。
「《シールド》! 《シールド》! 《シールド》! 《シールド》!」
壊されては展開し、壊されては展開し。ドラゴンブレスと必死の攻防を繰り広げていた俺だったが……あと数秒耐えきればこの地獄から抜け出せるというタイミングで、ついにシールドとドラゴンブレスの均衡が崩れてしまった。俺の魔術の起動速度が障壁の崩壊速度に追いつかなくなってしまったのだ。
体を張って守ってくれていたシールド達がパキパキという音を立て壊れ始め……代わりにとばかりに俺達を焼き尽くさんとする炎が漏れてくる。
「や、やばい……! 炎が漏れ出して……! スズナ! お前だけはなんとしてでも守ってみせ――あっつ! いや、背中が熱い! 熱いし痛い! やばい! やっぱ無理かも! 灰になる、灰になるから!」
「エリック! 大丈夫かいな!?」
威勢よく啖呵切ったのに即落ちである。いや、この炎は不味い! 純粋な熱さが背中を焦がしてきてやけどしたときみたいに痛いし、それになんか体に変な異物が入り込んできているような、そんな感覚がする。俺の勘が警鐘を鳴らしているのだ!
しかしながら、魔術障壁で防ぎ切れなかった炎と熱は全て俺の背中にダイレクトアタックをかましてきてくれる。なんとしてでも守りたいスズナには被害はない様子だ。ここまで守る義理はないかもしれないが……せっかくかなりの危険を冒して助け出したのだ。怪我なんてさせたくない。
ただ状況は最悪である。あと少しのところで打つ手なしの状況になってしまったのだ。しかし……俺は弱いとは言えS級ランクの冒険者。まだ諦めない。諦めないのだ! なぜなら……切り札がここにあるからな!
魔力不足と背中の痛みで途切れそうになる意識をなんとか繋ぎ止めながら、胸ポケットから小さな瓶を取り出し……それを思いっきり地面に叩きつける。
刹那。地面からドドドドドッ! と、見た目からして頑丈そうな城壁が生えてきて……一瞬にして俺達をドラゴンブレスから守ってくれる強固な壁となった。
俺が地面に叩きつけた小瓶は、超希少で超高いマジックアイテムだ。今のように何もないところから城壁を出現させて、ありとあらゆるものから身を守ってくれる強固な壁を作ってくれるというめちゃくちゃすごいアイテムである。ただ、こいつは『使用者の魔力がたくさんある状況でこのマジックアイテムを使うとただの土塊みたいな強度しか出せず、魔力が枯渇すればするほど、危機に陥れば陥るほど壁が頑丈になっていく』という変な特徴があるのだ。まあ、つまりは切り札として使え、ということだな。
で、俺はわらにもすがる思いでこいつを使ったのだが……どうやらめちゃくちゃ頑丈な壁として機能してくれいるらしい。あのアイギスを一瞬で粉々にしたドラゴンブレスを食らってもびくともせず、今も俺とスズナを守ってくれている。
そんな壁を見て安堵しながらも、危険が去ったわけではないので気は抜かずにトップスピードを維持したまま洞窟を出て……シエナとメリッサが待っている場所まで駆けていく。
正直今すぐにでもぶっ倒れたいくらい体が重いし、あの炎をくらった背中は悲鳴をあげたくなるくらい痛かったが、いつあの壁が崩壊するのか分からないからな。それに、またドラゴンが俺達を追ってくるかもしれない。今のうちに出来る限遠くへ逃げるのがいいだろう。
まあ、説明書には討伐難易度『死』レベルのモンスターの攻撃を一時間ほど耐えた実績があります、ということが書いていたから大丈夫だとは思うが……絶対ではないだろうし。
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