ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。

練太郎

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スズナ

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 その後。スズナに何度も謝って、俺があの発言をした理由を伝えると……あらぬ誤解が解けたようで、なんとか場を丸く収めることに成功した。危なかった……スズナどころかシエナとメリッサにも見放されるところだった……。

「コホン。それで、シエナとメリッサは俺の意識がない間に話を聞いたのかもしれないが……スズナ。俺はお前の事をもっとよく知りたい」
「え……? さっきの今で、いきなり大胆なことを言ってくるんやな……。いや、ウチとしては嬉しいというか……。じゃあ……体を綺麗にしてこなあかんから、先にシャワーを――」
「……俺の言葉が足りなかったのは認めるからそれ以上話を広げるな。言い直すぞ? 俺はお前のことをあまり知らないんだ。だから自己紹介をしてくれ」

 ……なにをどうしたら『ソッチ』の話になるのか分からん。いくら死線を一緒に乗り越えた俺とスズナであったとしても、肉体関係を持つのは早すぎる。というか、彼女は貞操観念が強いんじゃないのか?
 俺がブレーキを踏んだおかげかスズナは思いとどまってくれたようで、恥ずかしがる顔からいつもどおりのニコニコ笑顔に切り替わる。
 
「そ、そういうことかいな……。では自己紹介をば。ウチの名前は如月鈴奈! この世界とは違う世界の日本っちゅうところからやってきた異世界転移者や!」

 彼女は体を起こして、俺に騎乗しているような格好になりながらそんなことを言ってくる。
 ……あー、なんか凄いことを言ってきたが、この全裸で抱き合ったり引っ付かれている状況のせいで話が全く入ってこない。まずはこれをなんとかしようか。


 して五分後。俺達は服を着て、部屋にあった椅子に座ってからスズナの話を聞くことにした。ちなみに、スズナにはシエナの私服を着てもらっている。

「相変わらず胸の辺りが苦しいなぁ……でもシエナさん、ありがとうな。ウチに服を貸してくれて」
「……い、いえ……同じエリック様同盟に所属する者同士、助け合うのは当然ですから……でも、胸が苦しいアピールは止めてください。下手をすればエリック様同盟(貧乳)とエリック様同盟(巨乳)に派閥が分かれる危険性があるので」
「わ、分かったわ……」

 ……いや、分かるなよ。まずエリック様同盟とやらにツッコミを入れるべきなんじゃないのか? なんでそこをスルーしてんだ? というかいつの間に出来たんだよ、その訳の分からん同盟。いや、別に悪い気はしないからいいんだけどさ。

「……コホン。じゃあ、そっちの話にも一息ついたところで、もう一度自己紹介をしてくれ」
「うっしゃ、任されたで! えー、ウチは如月鈴奈! この世界とは違う世界の日本っちゅうところからやってきた異世界転移者や!」

 さっきとほとんど同じことを言ってくる。
 ……一度整理しよう。彼女の名前は『キサラギスズナ』で、この世界とは違う世界の……いや、ここでまず躓くな……。

「もう少し詳しく説明してくれないか? この世界以外に、人間が住んでいる世界があるっていうのか?」
「あるで! ウチらの世界ではフィクションで良くそういう設定があったから特に違和感を覚えなかったんやけど……説明するのが難しいから、『この世界と似たような世界がもう一個ある』って思ってーや」

 ……なるほど。意味がわからないが自然の摂理みたいな感じで理解しろということだな? 了解了解。
 じゃあ、脳内整理に戻ろう。彼女はこの世界とは違う世界のニホンというところからやってきた異世界転移者だと。ほうほう。なるほどね。

「……なあ、それって本当なのか? 俺達を騙そうとして嘘を言ったりとか、そういうことじゃないのか? いや、すごい失礼なことを言っているのは承知なんだが」

 深く考えずに彼女の言葉を飲み込もうとしたのだが……どうも信じられない。本当のことを言っているのだとしても、先に彼女が詐欺師か何かだと思ってしまう。ただ、俺達を騙してどうするんだ? ってなるけど。

「……まあ、そう思うのも分かるで。シエナさんとメリッサさんにも初めてこれを伝えたときは全然信じてもらえんかったし。せやけど、全部事実なんや。本当は女神様がこの場にいたらそれを証明できるんやけど……残念ながらいーひんからなぁ……。本当はウチと女神様は二人一緒にこの世界に来る予定やったんや。けど、女神様が『ゲームのイベントが始まったから手が離せない!』とか転移当日になって言ってきてな? なら日程をずらすかって提案したんやけど、この世界に危機が迫っているからあなただけは先に行ってください~って言われて、仕方なくウチだけがこの世界に転移してきたってわけや。せやけど、転移の途中でなにかあったらしくてな。気がついたら全裸でドラゴンに体を掴まれてたんや。『そうはならんやろ』ってなるけど『なっとるやろがい』やからしゃーないんや。ったく、ほんまにあのぐうたらでテキトウな女神にはしゃきっとしてほしいわ。転移して初っ端から危機的状況とか……洒落にならんで」

 ペラペラと彼女はどうやって異世界から転移してきたのか、なんであの時ドラゴンに掴まれていたのかを説明してくれた。
 ……なる……ほど……急に女神様という存在が出てきて余計に怪しくなってきたが……嘘を言っている顔では無かったな。
 うーん、彼女の言葉を信用して良いのかどうか……あまりにも話に現実味が無いんだよな……。こんな時に嘘を見抜く魔術とかがあればいいんだが……俺はそんなの知らないしなぁ……

「……よし分かった。じゃあ、一つ質問させてくれ。スズナは自分のことを異世界からの転移者だと言った。だったらどうして俺達と意思疎通が出来るんだ? 俺達の世界でもそうだが、離れた土地に住んでいる人とは会話が困難になるんだ。使っている言語とかそういうのが違ってな。でも、スズナとはちゃんと会話できている。これっておかしくないか?」
「それはこの世界へと転移する時に、女神様から不便がないようにってことでこの世界の言語とか知識を頭にインプットしてもらったからや。なんかよう分からんけど、『神の力が為せる技です』とか言うとったで」
 
 ……なるほど。それなら理屈は通る。
 ふむ。やっぱりスズナが嘘を言っているような感じはしないし、頭ゆるゆるですか? とか言われそうではあるが、俺としてはスズナの話を全面的に信じても良い。ただ……彼女たちの意見も聞いてみるか。
 というわけで、ずっと黙って俺達の会話を聞いていたシエナとメリッサに話を振ることにした。

「シエナとメリッサは、スズナのことをどう思う?」
「そうですね……最初は怪しいとは思っていたのですが……エリック様のことを本当に心配して、甲斐甲斐しくお世話をしている様子を見て……スズナ様のことを信じることにしました」
「わたくしもスズナさんが嘘を言っているとは思えませんわね。わたくし、エリックも知っての通り感情が表に出やすいタイプで、よく詐欺をしようと企む人に声をかけられるんですの。けれど、スズナさんはそういうような人たちがする目をしていませんでしたわ」

 なるほど。二人共スズナの話を信じると。
 ……うん。そうだな。
 
「よし、俺もスズナの話を信じることにしよう。色々信じられない話ではあったが……スズナが嘘を言っているとは思えないしな。疑って悪かった。許してくれ」
「気にせんでええで。そもそも、こんなことを言うウチのことを信じてもらえるとは転移前には思ってなかったし。エリックもシエナさんもメリッサさんも、みんなええ人や。ウチ、感動で涙がちょちょぎれそうやで」
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