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満天の星空の下で
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ミラさんは俺を連れて家の外へと出て、庭にあるテラスで立ち止まる。
空を見上げると満天の星空が広がっていた。まあ、視界が痛みでバチバチしていてこれが星なのかどうか判断がつかないが。
すぐに回復したほうが良いのだが……回復ポーションは残念ながら持ってきていないし、シエナに治してもらおうとすると、告白どころの騒ぎではなくなりそうだったのだ。つまり、今は耐えるしか無かった。
星空を少しの間だけ眺めていたミラさんだったが、俺の方をおもむろに向いてきて、
「……エリック。その……シエナさんとメリッサさん、それと……ソフィアとの結婚おめでとう。ギルド長として、あなたの親しい人として祝福するわ」
ぎこちない笑顔で祝福の言葉を掛けてきてくれた。俺の右手を両手で握ってきながら。
「……ぐっ……あ、ありがとうございます……」
「……?」
俺は唇を噛んで声を出さないようにしながらお礼を言う。
ミラさんは首を傾げていたが……すぐに満天の星空に意識がいってくれたようだ。セーフ!
そのまましばらく俺と手をつないだまま星空を眺めていたミラさんだったが、小さな声で『星が綺麗ね』と俺に言葉をかけてくる。
この言葉を聞いた俺は、スズナに教えてもらった異世界の知識を思い出した。
スズナのいたニホンという国では、ツキという星があるらしい。この世界の空には大きな星などないが。
で、ニホンという国に住んでいる人々、まあカップルは、月を見上げていい雰囲気になるらしい。そこで、タイミングよく『月が綺麗ですね』と男が言って、女が『死んでもいいわ』とか『あなたと見る月だから』と返すらしい。
なんとも奥ゆかしい話である。
で、これがミラさんの言葉とつながるわけだ。男女が逆であるが、俺はこれをチャンスだと思った。ミラさんはスズナの異世界知識を知らない。だが、知らなくても胸に響くやり取りだと思うのだ。
俺は告白する決意をする。このタイミングが良いと、ここならきっとミラさんも素直になってくれると、そう思った。
「ミラさん」
俺は声を掛ける。彼女は『なにかしら?』と優しい表情を俺に向けてきた。
星空のかすかな光がミラさんを美しくライトアップする。俺は胸が高鳴るのを感じた。今までで見たどのミラさんよりも……今のミラさんは美しかったのだ。
俺はそんなミラさんを網膜に焼き付けながら深呼吸を一つして、彼女に奥ゆかしい愛の言葉を掛けた。
「ミラさん。星はずっと綺麗でしたよ」
俺はスズナに教えてもらった『月が綺麗ですね』の返しの中から、一番この場にふさわしいものを選び、ツキを星に変換して口に出した。
この返しの場合、「自分の心の中でずっときれいだった月(星)」、つまりそれは「ずっとあなたが好きでした」という意味になるらしいのだ。なんとも胸がときめく返しだと思う。
さあ、ミラさん。ときめいた表情をして下さい! 顔を真っ赤にして『もうエリックったら~』とかそういう感じのノロケを下さい! ヘイカモン!
「……え? あ、まあ……そうね。星はいつも綺麗だものね」
はい、通じませんでした。ミラさんはときめいた表情ではなく困惑した表情を浮かべていました。どうもありがとうございました!
心の中で涙を流す俺だったが、これしきのことでは諦めない。というか、そもそも半分くらいは『通じないだろうなぁ』とは薄々感じていたのだ。だから、俺はすぐさま次の手を打つ。
「ミラさん、大事な話があります。聞いてもらっていいですか?」
次の手は、どストレートに話をする、というものであった。
これは今までの俺だったら出来なかったことだ。するとしてもしどろもどろになって、途中で誰かが助けてくれないと話が延々と進まない状態に陥っていただろう。だからこその遠回しの告白だった。
しかし、ソフィアのおかげで強気でいけば、案外コロッと頷いてくれることが分かった。俺はここにきてようやく覚醒したのだ。
また、今回はミラさんが俺に好意を寄せていることは女性陣から確認済み。もう怖いものなど無い、という感じだ。
俺は真剣な表情を見せる。痛みとミラさんから漂ってくる甘い甘いフェロモンに耐えながら真剣な表情を見せる。
ミラさんは少し照れたような表情を見せ始める。顔もだんだんと赤くしていって、俺とつないでいた手を離して、ギュッと胸の前で硬く握る。
雰囲気は最高。俺のコンディションは最悪。ただ、絶対に失敗できない。
俺は気合いを入れる。そして……告白した。
「ミラさん、俺と結婚して下さい」
シンプルな言葉。しかし、それだけに最もインパクトのある言葉。
ミラさんはツンデレである。変に言葉を濁すと逃げられる可能性があった。だから、言い逃れの出来ないこの言葉で勝負を掛けた。
ここまでどストライクに言ったの初めてだった。俺は心臓が爆発するんじゃないかというくらい鼓動する。
して、ミラさんの反応は……
「…………ねえ、エリック。私のどこが好きなの?」
まさかの返事なしの質問返しであった。
俺は少し驚く。まさかのお断りするつもりか!? と。
しかし、ミラさんは嬉しそうな顔をしていた。だから、これはイケると思って、質問に答える。
「ミラさんの優しいところです」
「私、いつもあなたを殴ったり蹴ったり無視したりして、全然優しく無いわよ?」
「……そ、それはそうですが……でも、根元の部分は優しいじゃないですか。まあ、出会った頃のような全面的な優しさはありませんが……。あと、なんだかんだ俺のことを考えてくれているって信じてますから」
俺はいい笑顔をミラさんに向ける。
手がだらん、としているからなんともしまらない格好だが……ミラさんは俺の目だけを見ているようだから問題ない。
「ソフィアにもついさっき告白したらしいじゃない。そんなすぐに私にも同じ告白をするのはどうなの?」
「……ソフィアは良いと言っていたので」
「私は何も言っていないけど?」
まあ、確かに。――じゃない! 納得しちゃ駄目だぞエリック!
ミラさんの言っていることは正論だが、ここで押し負けたらミラさん、もう二度と俺に告白させてくれないかもしれないんだ! 気合い入れて答えろ、エリック!
「俺が告白したいからしただけです」
そしてもういっちょ!
「そういうミラさんは、もし仮に今日俺が何も言ってこなかったらどうしていたんですか?」
「…………一生許さないわ」
「なら、別に問題ないじゃないですか」
「…………」
ミラさんが黙りこくる。
よし! クリアだ!
しかしミラさん。まだ耐え続ける。
「私、結婚したからと言ってそんなにデレないわよ? 途中で愛想が尽きると思うのだけど」
「俺をそんな男だと思っているんですか?」
「…………ごめんなさい」
良いぞ良いぞ! 今日は今までにないくらいミラさんに対する返しが上手い! あとひと押しのはずだ!
俺は畳み掛ける。
「ミラさん、俺と結婚するのが嫌なんですか?」
「ちがっ! そうじゃなくて……結婚したら、一蓮托生なのよ? だから、エリックが後悔しないようにって――」
「俺は後悔しませんよ。ミラさん、だから返事を下さい」
「で、でも……私、処女じゃないわよ? 大きいデ○ルドを使って自慰していたせいで膜破れちゃったし、穴もガバガバに――」
「膜ありなしなんて俺は気にしません。あと、トイレで見たアレより俺のはデカイので問題ないです」
「……そ、そう……」
「ミラさん。正式なものはドラゴン退治の後になると思いますが、俺と結婚して下さい」
「……本当にいいのね? 私、忠告したからね? どうなっても知らないわよ?」
「ええ、それでもいいです。それで返事は?」
もうここまで俺が勇気を出して言ったんだ。今までにないくらい勇気を出したんだ。さあ、ミラさん返事を!
ミラさんは顔を下に向けて、前に組んでいた手をモジモジする。
モジモジ……モジモジ……コク……
ミラさんは首を縦に振る。
「言葉でも返事してください」
モジモジ……モジモジ……モジモジ……
「末永くよ、宜しく……お願いします……」
「はい、こちらこそ」
して、痛みに耐えながらの告白は幕を閉じた。
この後。シエナに両腕を治してもらったのだが、ミラさんが泣きながら俺に抱きついて『ごめんなさい』と何度も謝ってきたり、シエナ達からめちゃくちゃ心配されたが、最終的にはいい感じでパーティを終えることが出来たので問題ない。
一つ良くないことがあったとすれば、シエナ達から『なんだか臭いませんか?』と言われたことだろうか。……アレをしていたミラさんはまあ臭うだろうし、俺もアレをぶっかけられたから臭うよね。うん。
ちなみに、魔術を使用しても呪いの進行速度は変わらないと目の周りを真っ赤にさせたミラさんが言っていたので、それについても問題はなかったぞ。
空を見上げると満天の星空が広がっていた。まあ、視界が痛みでバチバチしていてこれが星なのかどうか判断がつかないが。
すぐに回復したほうが良いのだが……回復ポーションは残念ながら持ってきていないし、シエナに治してもらおうとすると、告白どころの騒ぎではなくなりそうだったのだ。つまり、今は耐えるしか無かった。
星空を少しの間だけ眺めていたミラさんだったが、俺の方をおもむろに向いてきて、
「……エリック。その……シエナさんとメリッサさん、それと……ソフィアとの結婚おめでとう。ギルド長として、あなたの親しい人として祝福するわ」
ぎこちない笑顔で祝福の言葉を掛けてきてくれた。俺の右手を両手で握ってきながら。
「……ぐっ……あ、ありがとうございます……」
「……?」
俺は唇を噛んで声を出さないようにしながらお礼を言う。
ミラさんは首を傾げていたが……すぐに満天の星空に意識がいってくれたようだ。セーフ!
そのまましばらく俺と手をつないだまま星空を眺めていたミラさんだったが、小さな声で『星が綺麗ね』と俺に言葉をかけてくる。
この言葉を聞いた俺は、スズナに教えてもらった異世界の知識を思い出した。
スズナのいたニホンという国では、ツキという星があるらしい。この世界の空には大きな星などないが。
で、ニホンという国に住んでいる人々、まあカップルは、月を見上げていい雰囲気になるらしい。そこで、タイミングよく『月が綺麗ですね』と男が言って、女が『死んでもいいわ』とか『あなたと見る月だから』と返すらしい。
なんとも奥ゆかしい話である。
で、これがミラさんの言葉とつながるわけだ。男女が逆であるが、俺はこれをチャンスだと思った。ミラさんはスズナの異世界知識を知らない。だが、知らなくても胸に響くやり取りだと思うのだ。
俺は告白する決意をする。このタイミングが良いと、ここならきっとミラさんも素直になってくれると、そう思った。
「ミラさん」
俺は声を掛ける。彼女は『なにかしら?』と優しい表情を俺に向けてきた。
星空のかすかな光がミラさんを美しくライトアップする。俺は胸が高鳴るのを感じた。今までで見たどのミラさんよりも……今のミラさんは美しかったのだ。
俺はそんなミラさんを網膜に焼き付けながら深呼吸を一つして、彼女に奥ゆかしい愛の言葉を掛けた。
「ミラさん。星はずっと綺麗でしたよ」
俺はスズナに教えてもらった『月が綺麗ですね』の返しの中から、一番この場にふさわしいものを選び、ツキを星に変換して口に出した。
この返しの場合、「自分の心の中でずっときれいだった月(星)」、つまりそれは「ずっとあなたが好きでした」という意味になるらしいのだ。なんとも胸がときめく返しだと思う。
さあ、ミラさん。ときめいた表情をして下さい! 顔を真っ赤にして『もうエリックったら~』とかそういう感じのノロケを下さい! ヘイカモン!
「……え? あ、まあ……そうね。星はいつも綺麗だものね」
はい、通じませんでした。ミラさんはときめいた表情ではなく困惑した表情を浮かべていました。どうもありがとうございました!
心の中で涙を流す俺だったが、これしきのことでは諦めない。というか、そもそも半分くらいは『通じないだろうなぁ』とは薄々感じていたのだ。だから、俺はすぐさま次の手を打つ。
「ミラさん、大事な話があります。聞いてもらっていいですか?」
次の手は、どストレートに話をする、というものであった。
これは今までの俺だったら出来なかったことだ。するとしてもしどろもどろになって、途中で誰かが助けてくれないと話が延々と進まない状態に陥っていただろう。だからこその遠回しの告白だった。
しかし、ソフィアのおかげで強気でいけば、案外コロッと頷いてくれることが分かった。俺はここにきてようやく覚醒したのだ。
また、今回はミラさんが俺に好意を寄せていることは女性陣から確認済み。もう怖いものなど無い、という感じだ。
俺は真剣な表情を見せる。痛みとミラさんから漂ってくる甘い甘いフェロモンに耐えながら真剣な表情を見せる。
ミラさんは少し照れたような表情を見せ始める。顔もだんだんと赤くしていって、俺とつないでいた手を離して、ギュッと胸の前で硬く握る。
雰囲気は最高。俺のコンディションは最悪。ただ、絶対に失敗できない。
俺は気合いを入れる。そして……告白した。
「ミラさん、俺と結婚して下さい」
シンプルな言葉。しかし、それだけに最もインパクトのある言葉。
ミラさんはツンデレである。変に言葉を濁すと逃げられる可能性があった。だから、言い逃れの出来ないこの言葉で勝負を掛けた。
ここまでどストライクに言ったの初めてだった。俺は心臓が爆発するんじゃないかというくらい鼓動する。
して、ミラさんの反応は……
「…………ねえ、エリック。私のどこが好きなの?」
まさかの返事なしの質問返しであった。
俺は少し驚く。まさかのお断りするつもりか!? と。
しかし、ミラさんは嬉しそうな顔をしていた。だから、これはイケると思って、質問に答える。
「ミラさんの優しいところです」
「私、いつもあなたを殴ったり蹴ったり無視したりして、全然優しく無いわよ?」
「……そ、それはそうですが……でも、根元の部分は優しいじゃないですか。まあ、出会った頃のような全面的な優しさはありませんが……。あと、なんだかんだ俺のことを考えてくれているって信じてますから」
俺はいい笑顔をミラさんに向ける。
手がだらん、としているからなんともしまらない格好だが……ミラさんは俺の目だけを見ているようだから問題ない。
「ソフィアにもついさっき告白したらしいじゃない。そんなすぐに私にも同じ告白をするのはどうなの?」
「……ソフィアは良いと言っていたので」
「私は何も言っていないけど?」
まあ、確かに。――じゃない! 納得しちゃ駄目だぞエリック!
ミラさんの言っていることは正論だが、ここで押し負けたらミラさん、もう二度と俺に告白させてくれないかもしれないんだ! 気合い入れて答えろ、エリック!
「俺が告白したいからしただけです」
そしてもういっちょ!
「そういうミラさんは、もし仮に今日俺が何も言ってこなかったらどうしていたんですか?」
「…………一生許さないわ」
「なら、別に問題ないじゃないですか」
「…………」
ミラさんが黙りこくる。
よし! クリアだ!
しかしミラさん。まだ耐え続ける。
「私、結婚したからと言ってそんなにデレないわよ? 途中で愛想が尽きると思うのだけど」
「俺をそんな男だと思っているんですか?」
「…………ごめんなさい」
良いぞ良いぞ! 今日は今までにないくらいミラさんに対する返しが上手い! あとひと押しのはずだ!
俺は畳み掛ける。
「ミラさん、俺と結婚するのが嫌なんですか?」
「ちがっ! そうじゃなくて……結婚したら、一蓮托生なのよ? だから、エリックが後悔しないようにって――」
「俺は後悔しませんよ。ミラさん、だから返事を下さい」
「で、でも……私、処女じゃないわよ? 大きいデ○ルドを使って自慰していたせいで膜破れちゃったし、穴もガバガバに――」
「膜ありなしなんて俺は気にしません。あと、トイレで見たアレより俺のはデカイので問題ないです」
「……そ、そう……」
「ミラさん。正式なものはドラゴン退治の後になると思いますが、俺と結婚して下さい」
「……本当にいいのね? 私、忠告したからね? どうなっても知らないわよ?」
「ええ、それでもいいです。それで返事は?」
もうここまで俺が勇気を出して言ったんだ。今までにないくらい勇気を出したんだ。さあ、ミラさん返事を!
ミラさんは顔を下に向けて、前に組んでいた手をモジモジする。
モジモジ……モジモジ……コク……
ミラさんは首を縦に振る。
「言葉でも返事してください」
モジモジ……モジモジ……モジモジ……
「末永くよ、宜しく……お願いします……」
「はい、こちらこそ」
して、痛みに耐えながらの告白は幕を閉じた。
この後。シエナに両腕を治してもらったのだが、ミラさんが泣きながら俺に抱きついて『ごめんなさい』と何度も謝ってきたり、シエナ達からめちゃくちゃ心配されたが、最終的にはいい感じでパーティを終えることが出来たので問題ない。
一つ良くないことがあったとすれば、シエナ達から『なんだか臭いませんか?』と言われたことだろうか。……アレをしていたミラさんはまあ臭うだろうし、俺もアレをぶっかけられたから臭うよね。うん。
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