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【4】夜の踊り子
真夜中の御門寮
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「へぇー、先輩に勉強見て貰ってんだ、いいなあ!」
幾久と同じクラスの桂弥太郎は羨ましそうにそう幾久に言った。
「ハル先輩、めっちゃ教え方うめーもんな。幾久絶対成績あがるぜ」
そう言ったのは同じくクラスの伊藤俊介だ。
「うん、確かに教え方上手かった。すごく判りやすい」
幾久が頷くと、なぜか伊藤が得意げに言う。
「だろだろ。この俺様を鳩につっこめる実力の持主だからな!実力は折り紙つきってもんだよ」
伊藤曰く、自分は絶対に最低レベルのクラスである千鳥にしか入れない程度だったのを鳩のレベルにまで押し上げてくれたのが高杉なのだという。
元々、高杉が習い事の先輩ということもあり、伊藤は高杉を心酔している。高杉がいるから幾久が住んでいる御門寮に入りたいと言っているほどだから相当だ。
「まあ、助かる。それに本当に鳳はレベル高いって判ったし」
この報国院は成績でクラスが決まるのだが、その成績トップのクラスが『鳳』で、幾久と同じ寮に居る二年生三人は全員がその鳳クラスに所属している。
当然勉強はできる人ばかりだ。
ここに入学した当時は、所詮進学校といっても地方レベルだと東京出身の幾久は思っていたが、そんな考えはすぐ払拭された。
トップクラスの鳳どころか、次のランクの鷹クラスだってかなりのレベルだったのだ。
地元出身の桂と伊藤と違い、この学校の事情には全く疎かった幾久であっても所属してひと月も経てばクラスのレベルが見えてくる。
(よくよく考えりゃ、父さんもこの学校出身なんだもんな)
幾久の父はこの報国院の出身で、東大から官僚になったエリートだ。レベルが低いわけがない。
「でもさ、ヤッタだって雪ちゃん先輩とかいるじゃん。教えてくれそうなのに」
弥太郎の所属する寮には、面倒見のいい桂雪充という三年生が居る。頼めば勉強くらい見てくれそうなものだが。
「うーん、頼めば教えてくれるとは思うんだけど、実は結構タマのガードが固いというか」
タマ、とは同じ一年生で鳳クラスに所属している児玉の事だ。弥太郎とは同じ寮で生活していて、三年の桂雪充に懐いている。
「タマがずーっと雪ちゃん先輩に勉強見て貰ってるからさ。なんか頼みづらくって」
「児玉君かぁ。だったらしょうがないね」
幾久と違い、児玉はこの報国院に入りたくて入りたくて、鳳に所属したくてしたくて、やっとの思いで入ったそうで、そんな訳で報国院の価値も知らず、この学校に入りたくて入った訳ではない幾久とは対照的だ。
以前、幾久が不良に絡まれたときに助けてくれたのは児玉なのでそこまで嫌われてはいないだろうが、この学校に全く思い入れがないどころか踏み台にする所だった幾久に対して児玉があまりいい感情を持っていないのは確かだろう。
「タマってけっこう冷静そうに見えて激しいから」
「あー……わかるかも」
助けて貰ったとき、幾久に喧嘩を売ってきた他校の生徒に思い切り冷静な表情なのにいきなり相手を一撃でひるませ、かばんを投げつけた。
おかげで幾久はあれ以上酷い目にあわなかったし、いろいろ助かりはしたのだが。
(あんときの児玉君、怖かったよな)
いつもの、尊敬している雪ちゃん先輩に向けるような、きらきらした従順な目ではなく、いきなり噛みついてくるような凶悪な表情だった。
(雪ちゃん先輩があこがれっぽかったから、やっぱかなり本当はアレ、なのかな)
本当はあの凶悪なほうが児玉の本性で、いつもは三年の雪ちゃん先輩の手前おとなしくしているらしい事は簡単に想像がついた。
(……怒らせないように気をつけよ)
それより、幾久には今の鳩クラスよりひとつでもレベルを上げる事のほうが重要だ。
「みんなやっぱ上のクラス狙うの?」
幾久の問いに、桂弥太郎と伊藤は顔を見合わせた。
「俺は絶対にいつか鳳狙ってっけど、かなり無理っぽいしなあ」
伊藤の言葉に弥太郎も頷く。
「そりゃ、上のクラスに行ければいいけど、今すぐ上に行きたいっていう目標もないし、鳩なら現状維持でいけるし」
それに、と弥太郎が言う。
「一年の最初の試験が実は一番みんな張り切るって、雪ちゃん先輩が言ってたから、正直今回は見送ろうかなと」
「あ、それ栄人せんぱ……吉田先輩も言ってた」
幾久が頷く。
受験して出た結果が一年前期のクラスだから、希望したランクのクラスでなかった場合、一番頑張るのがこの試験だと言っていた。
「そっか。次から頑張るほうが楽な場合もあるか」
「うん。いっくんも面倒ならそうしたらいいのに」
弥太郎が言うが幾久はうーん、と考えて首を横に振る。
「やっぱ結果出しとかないと父さんに悪いし」
「そっかー。でも寮の先輩鳳だし、教えて貰ってんならいけるんじゃない?」
「絶対大丈夫だって!なんたってハル先輩がいるんだからな!」
二年の高杉を心酔している伊藤は相変わらずで、しかし確かに教え方は抜群に上手いのでそうかも、と幾久も頷いたのだった。
先輩たちは普段本気でふざけている分、真面目になるのも本気だった。
幾久が勉強を『なんとなく』やらなきゃな、と考える前にすでにスケジュールが組まれ、その中には先輩達三人分の勉強の予定も組んであった。
つまり、幾久の勉強を見つつ、幾久が考えている最中は自分達も勉強するという非常に無駄の無いスケジュールを組んでいた。
学校から帰って着替えを済ませ、お茶を飲んで一息ついたら吉田が「じゃ、そろそろやろっか」と言うとさくっと全員が勉強モードに入る。
集中してやって、ある程度の時間がきたら吉田がいいタイミングで「ぼちぼち休憩にしない?お茶入れるよ?」と休みを提案する。
そんな事を数回やっているうちに寮母の麗子さんがいつの間にか来て夕食を作ってくれて、それが済んだらまた勉強、風呂、というスケジュールだった。
こんな風に勉強ばかりというとうんざりしそうなのだが実際そんなことはなかった。
多分、判らない問題があってもすぐに教えてくれる先輩が傍にいるし、その教え方が上手いのでストレスに感じることも無かった。何時まで、と決まっていることもないし、なにかと吉田が休憩をはさむのであんまり根をつめているようにも感じない。
(本当に頭が良い人はガツガツしないって言うもんな)
高杉も久坂も吉田も、勉強はしていても必死感は見えないし、話している内容も授業のおさらいや予習っぽい。幾久から見ても、多分この人たちは今のクラスから落ちることはないだろう、ということは想像がついた。
「じゃ、わしらは先に休むぞ」
「おやすみ、いっくん」
風呂からあがった高杉と久坂が言うと、まったりテレビを見ていた幾久は「ふぁーい」と返事をした。
勉強はとっくに済んでいたが、いまから幾久の好きなサッカーの番組が始まるのだ。
この寮の人はあまりサッカー、というか海外のサッカーに興味がないので結果一人で幾久は見る事になる。
すでにお風呂も済ませているのであとは寝るだけだ。
台所では吉田が片付けたり、明日の支度をしたりしている。
「いっくん、俺先に寝るけどかまわない?」
「あ、いいっすよ。おれ、今日ちょっと試合見たいんで、寝るの遅くなるっす」
「りょー、じゃ俺片付け終わったら適当に寝るね!」
「うす」
こんなときはこの寮で本当に良かったと思う。
慣れるまではうっとおしい事もあったが慣れてしまえば大人のいない家みたいで面白いし、実際幾久は自宅に居た頃よりも自由だった。
自宅に居た頃はサッカーもおどおどしながら、母の機嫌を伺いながら見なければならなかったけれどここではそんなこともない。
テレビを見ていると、吉田がコーヒーがたっぷり入ったサーバーを置いた。
「たくさん入れといたからさ、飲んでいいよ」
「うっす。でもこれ、多くないっすか?」
コーヒーがあるのはありがたいが、こんな何杯も必要ない。マグカップに一杯で充分なのに。
「ああ、いいよ置いといて。どうせガタが夜中に飲むし」
「あ、そっか」
三年の山縣は夜型で、よく夜中に起きてはネットでゲームをしたり友人と遊んでいるみたいだった。
「じゃあ、これ余った分は置いといていいっすね」
自分のぶんだけをカップに注ぎ、幾久が尋ねると吉田が「そうそう」と頷いた。
「じゃあ、俺寝るから。お先に。あんまり夜更かししちゃ駄目だよ」
「はい、おやすみなさいっす」
そう言うと吉田は自室へと戻った。
幾久と同じクラスの桂弥太郎は羨ましそうにそう幾久に言った。
「ハル先輩、めっちゃ教え方うめーもんな。幾久絶対成績あがるぜ」
そう言ったのは同じくクラスの伊藤俊介だ。
「うん、確かに教え方上手かった。すごく判りやすい」
幾久が頷くと、なぜか伊藤が得意げに言う。
「だろだろ。この俺様を鳩につっこめる実力の持主だからな!実力は折り紙つきってもんだよ」
伊藤曰く、自分は絶対に最低レベルのクラスである千鳥にしか入れない程度だったのを鳩のレベルにまで押し上げてくれたのが高杉なのだという。
元々、高杉が習い事の先輩ということもあり、伊藤は高杉を心酔している。高杉がいるから幾久が住んでいる御門寮に入りたいと言っているほどだから相当だ。
「まあ、助かる。それに本当に鳳はレベル高いって判ったし」
この報国院は成績でクラスが決まるのだが、その成績トップのクラスが『鳳』で、幾久と同じ寮に居る二年生三人は全員がその鳳クラスに所属している。
当然勉強はできる人ばかりだ。
ここに入学した当時は、所詮進学校といっても地方レベルだと東京出身の幾久は思っていたが、そんな考えはすぐ払拭された。
トップクラスの鳳どころか、次のランクの鷹クラスだってかなりのレベルだったのだ。
地元出身の桂と伊藤と違い、この学校の事情には全く疎かった幾久であっても所属してひと月も経てばクラスのレベルが見えてくる。
(よくよく考えりゃ、父さんもこの学校出身なんだもんな)
幾久の父はこの報国院の出身で、東大から官僚になったエリートだ。レベルが低いわけがない。
「でもさ、ヤッタだって雪ちゃん先輩とかいるじゃん。教えてくれそうなのに」
弥太郎の所属する寮には、面倒見のいい桂雪充という三年生が居る。頼めば勉強くらい見てくれそうなものだが。
「うーん、頼めば教えてくれるとは思うんだけど、実は結構タマのガードが固いというか」
タマ、とは同じ一年生で鳳クラスに所属している児玉の事だ。弥太郎とは同じ寮で生活していて、三年の桂雪充に懐いている。
「タマがずーっと雪ちゃん先輩に勉強見て貰ってるからさ。なんか頼みづらくって」
「児玉君かぁ。だったらしょうがないね」
幾久と違い、児玉はこの報国院に入りたくて入りたくて、鳳に所属したくてしたくて、やっとの思いで入ったそうで、そんな訳で報国院の価値も知らず、この学校に入りたくて入った訳ではない幾久とは対照的だ。
以前、幾久が不良に絡まれたときに助けてくれたのは児玉なのでそこまで嫌われてはいないだろうが、この学校に全く思い入れがないどころか踏み台にする所だった幾久に対して児玉があまりいい感情を持っていないのは確かだろう。
「タマってけっこう冷静そうに見えて激しいから」
「あー……わかるかも」
助けて貰ったとき、幾久に喧嘩を売ってきた他校の生徒に思い切り冷静な表情なのにいきなり相手を一撃でひるませ、かばんを投げつけた。
おかげで幾久はあれ以上酷い目にあわなかったし、いろいろ助かりはしたのだが。
(あんときの児玉君、怖かったよな)
いつもの、尊敬している雪ちゃん先輩に向けるような、きらきらした従順な目ではなく、いきなり噛みついてくるような凶悪な表情だった。
(雪ちゃん先輩があこがれっぽかったから、やっぱかなり本当はアレ、なのかな)
本当はあの凶悪なほうが児玉の本性で、いつもは三年の雪ちゃん先輩の手前おとなしくしているらしい事は簡単に想像がついた。
(……怒らせないように気をつけよ)
それより、幾久には今の鳩クラスよりひとつでもレベルを上げる事のほうが重要だ。
「みんなやっぱ上のクラス狙うの?」
幾久の問いに、桂弥太郎と伊藤は顔を見合わせた。
「俺は絶対にいつか鳳狙ってっけど、かなり無理っぽいしなあ」
伊藤の言葉に弥太郎も頷く。
「そりゃ、上のクラスに行ければいいけど、今すぐ上に行きたいっていう目標もないし、鳩なら現状維持でいけるし」
それに、と弥太郎が言う。
「一年の最初の試験が実は一番みんな張り切るって、雪ちゃん先輩が言ってたから、正直今回は見送ろうかなと」
「あ、それ栄人せんぱ……吉田先輩も言ってた」
幾久が頷く。
受験して出た結果が一年前期のクラスだから、希望したランクのクラスでなかった場合、一番頑張るのがこの試験だと言っていた。
「そっか。次から頑張るほうが楽な場合もあるか」
「うん。いっくんも面倒ならそうしたらいいのに」
弥太郎が言うが幾久はうーん、と考えて首を横に振る。
「やっぱ結果出しとかないと父さんに悪いし」
「そっかー。でも寮の先輩鳳だし、教えて貰ってんならいけるんじゃない?」
「絶対大丈夫だって!なんたってハル先輩がいるんだからな!」
二年の高杉を心酔している伊藤は相変わらずで、しかし確かに教え方は抜群に上手いのでそうかも、と幾久も頷いたのだった。
先輩たちは普段本気でふざけている分、真面目になるのも本気だった。
幾久が勉強を『なんとなく』やらなきゃな、と考える前にすでにスケジュールが組まれ、その中には先輩達三人分の勉強の予定も組んであった。
つまり、幾久の勉強を見つつ、幾久が考えている最中は自分達も勉強するという非常に無駄の無いスケジュールを組んでいた。
学校から帰って着替えを済ませ、お茶を飲んで一息ついたら吉田が「じゃ、そろそろやろっか」と言うとさくっと全員が勉強モードに入る。
集中してやって、ある程度の時間がきたら吉田がいいタイミングで「ぼちぼち休憩にしない?お茶入れるよ?」と休みを提案する。
そんな事を数回やっているうちに寮母の麗子さんがいつの間にか来て夕食を作ってくれて、それが済んだらまた勉強、風呂、というスケジュールだった。
こんな風に勉強ばかりというとうんざりしそうなのだが実際そんなことはなかった。
多分、判らない問題があってもすぐに教えてくれる先輩が傍にいるし、その教え方が上手いのでストレスに感じることも無かった。何時まで、と決まっていることもないし、なにかと吉田が休憩をはさむのであんまり根をつめているようにも感じない。
(本当に頭が良い人はガツガツしないって言うもんな)
高杉も久坂も吉田も、勉強はしていても必死感は見えないし、話している内容も授業のおさらいや予習っぽい。幾久から見ても、多分この人たちは今のクラスから落ちることはないだろう、ということは想像がついた。
「じゃ、わしらは先に休むぞ」
「おやすみ、いっくん」
風呂からあがった高杉と久坂が言うと、まったりテレビを見ていた幾久は「ふぁーい」と返事をした。
勉強はとっくに済んでいたが、いまから幾久の好きなサッカーの番組が始まるのだ。
この寮の人はあまりサッカー、というか海外のサッカーに興味がないので結果一人で幾久は見る事になる。
すでにお風呂も済ませているのであとは寝るだけだ。
台所では吉田が片付けたり、明日の支度をしたりしている。
「いっくん、俺先に寝るけどかまわない?」
「あ、いいっすよ。おれ、今日ちょっと試合見たいんで、寝るの遅くなるっす」
「りょー、じゃ俺片付け終わったら適当に寝るね!」
「うす」
こんなときはこの寮で本当に良かったと思う。
慣れるまではうっとおしい事もあったが慣れてしまえば大人のいない家みたいで面白いし、実際幾久は自宅に居た頃よりも自由だった。
自宅に居た頃はサッカーもおどおどしながら、母の機嫌を伺いながら見なければならなかったけれどここではそんなこともない。
テレビを見ていると、吉田がコーヒーがたっぷり入ったサーバーを置いた。
「たくさん入れといたからさ、飲んでいいよ」
「うっす。でもこれ、多くないっすか?」
コーヒーがあるのはありがたいが、こんな何杯も必要ない。マグカップに一杯で充分なのに。
「ああ、いいよ置いといて。どうせガタが夜中に飲むし」
「あ、そっか」
三年の山縣は夜型で、よく夜中に起きてはネットでゲームをしたり友人と遊んでいるみたいだった。
「じゃあ、これ余った分は置いといていいっすね」
自分のぶんだけをカップに注ぎ、幾久が尋ねると吉田が「そうそう」と頷いた。
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