後宮で侍女になった私は精霊に好かれている

精霊に守られ世界最強の転生者になりました

十一、戻りました。そして、恐怖。

おばちゃんの一件を済ませたあと、花琳姉さんは隣町の農家の旦那に貰われ、一件落着した。

私は十歳。禿だった（紅花 ホンファ）は六歳。
まだ働けるわけが無いので、もう一度薬屋に行き、面倒を見てもらった。
本当に、感謝してもしきれない。

私は薬屋の薬草の世話やお店の掃除を手伝った。草木の成長を操れるのに薬草の世話は必要なのかと尋ねると、

「成長を操作したものは、あまり薬として効き目が良くないんだ。見た目とかは良いんだけどね。だからあまり私の能力は仕事に必要ないね。」

メリットもあればデメリットもあるという事か。

紅花はまだ幼いので養母の赤ちゃんと遊んだり、文字を教えてもらったりしていた。
花街にいた時より顔色が良くなった気がする。
まあ、あの事件の時しかこの子を見たことないけど。

それから二ヶ月経った頃、突如大きな翼を持った怪獣みたいな生き物が数体、街に現れた。

夜だったためほとんどの人は寝ていたらしく、奴が落とした岩や大木に気が付かなくて家ごと潰されてしまった人もいたそうだ。

街の薬屋と医者は被害者の応急処置に向かった。私も同行した。

偶然にも、ここの街に岩や大木を落とし、被害を加えてしまったようには見えない。

まるで計画されていたようだ。

だとしたらなぜ？

人類が憎いから？

奴らにそんな事まで考えられるのかな。

だったら、裏で何かしている人がいる。

感が鋭かったら、怪我人の周りに集まった医者などの人類の味方的存在の人を滅ぼしに向かってくるかもしれない。

奴等は数体。

この街の医者は二人。薬屋は私も入れて三人。

この五人が一番危ういかもしれない。

今とるべき行動は……どこか安全な場所を探し、そこに怪我人を運んでくること。

安全な場所と言っても、そんなところどこにあるんだ。

『創ればいいじゃないか。』

え？

『ワタシがシールド空間を創ろうか。』

久々に精霊さんの声を聞いた。

シールド空間…お願いしようかな。

『まあ、これを創ったらお前が能力者なのはバレるけど。』
　
別に良いよ。
特に隠す理由もないし、命と引き換えには出来ないから。

『ああ、了解した。』　

街の外れの空き地にシールド空間を創った。
ピカッ！と一瞬光り、奴等が二匹くらい近づいて来た。