家で少女は夢を見る

ピエロ

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一章 少女の夢

策略

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まずいことになった。
とうとうテレビニュースでアイカの顔写真が公表された…
時期にここも特定されてしまうかもしれない。
アイカは今…どこにいる…!!



アイカはいつものように夕方の散歩を楽しんでいた。

肌寒い季節。だが、アイカは冬が一番好きだった。服もかわいいものをたくさん身につけることが出来るし、何より年末に近づくにつれ、美味しいものを沢山食べれる。

「年末…か…。」
アイカは年末になると毎年おばあちゃんの家に集まり、みんなでピザを囲み楽しんでいた。

「お母さん元気かな…お父さんも…お酒飲みすぎてないかなぁ…」

今から帰って許してもらえるのかな。
私の事なんかそもそも心配してないのかな。

そう思うとアイカは1人悲しくなり、涙を流してしまった。

「おや、君は…」

「え…?あ…。」

いつも犬の散歩をしているおじいさんだ
普段声なんかかけてこないのに、どうしたんだろう。

「君。警察に行くぞぉ!」
「ワンッ!」

アイカはおじいさんに手を捕まれた。おじいさんは携帯電話を取りだし警察に電話をかけようとしていたが、手袋をしていた為上手く打ち込めていない様子だった。

「ちょ、ちょっと!なんで私がっ…!!」

「なんでってぇ…お前さん家出してるんだろ?」

「なんで…それを…?」

自分が家出していることを全く関わりのないおじいさんが知っていることにアイカは驚いた。

「ええい!くそ!手袋が邪魔で打ち込めんっ!直接交番まで届ける!これでもう安心だっ」

「ワンッ!ワンッ!」

やだ!!このまま戻ったらあの日々に元通りだ。あんなつまらない毎日は嫌だ!ワタルといたい!!

「待ってください!!」

大きな声でアイカ達を呼んだのは、行きを切らした女の人だった。

「え…桃…さ」

アイカの言葉に被さるように桃は彼女の頬に手を当て、その場にしゃがみこんだ

「ダメでしょうが!どうして家から出るの…お姉ちゃん心配だったじゃない…」

「…ごめん…なさい」

「あ、すいません。この子は一昨日見付かって。昨日まで病院で見てもらって、今日家に帰ってきたんですけど、またどこか行こうとしてて」

おじいさんは桃のほうを見て、納得した顔をした。

「なんだ、家族の元に帰れたのか!良かった良かった!もう家族の元を離れるんじゃないぞ?家族ってのはなぁ…」

そこからおじいさんの長話の後、彼女達は開放された。

2人で手を繋いで、ワタルの家まで帰る。
いつも見ている風景も、桃と一緒にいるとちがく見えた。
「あの…ありがとう」

先程の例を彼女に控えめに告げ、桃の手を離し足早にワタルの家に向かった。

「…あなた」

桃はそれを止めるかのように後ろから話しかける

「おうちに帰りなさい」

「え?今から帰るよ?」
「そうじゃない!!!」

桃の大きな声にアイカは驚いた
あの優しい顔が鬼のような形相に変わった桃の顔をアイカは死ぬまで忘れることは無かった

「家族が心配してる。テレビであなたの両親が泣きながら話してるのを見た。お父さんが1秒でも早くあなたのことを抱きしめて上げたいって」

「…そう。」

そのまま歩き出すアイカに彼女は驚いた。
もちろん彼女は真実を告げた。
 「ちょ、ちょっと!!ご両親が心配してるんだよ?これ以上悲しませるの!?」

「…私は。お父さんから抱きしめられた記憶なんてない。」

「…は?」

「本当だよ。お父さんが変わってから、お母さんはおかしくなった。
前までは私のことを大好きで何度も抱きしめてくれてたのに。あの人が来てからそんなのはなくなった。もちろん仲が悪いわけじゃない。ちゃんとお父さんをしてくれてる。
でも、どうしても『お父さん』とは思えない。」

「それはあなたのエゴでしょ…あなたが受けいれていないだけ!」

「…あなたは、自分の夢を親に否定される気持ちが分かりますか?大声で笑われて、他の夢にしろ、無理だなんて言われた事ありますか?」

アイカは涙を流しながら桃に近づいていった

「夢…」

桃もまた、頭の中で『夢』という文字を探しに探した。でもその言葉は見つからなかった。
今まで夢なんてなかった。 
ただ目の前のことをこなしてきただけ。
何も目標がない、この先のことなんて考えたくもない。与えられたらそれをこなすのみ、それが彼女だった。
だから、夢を持っているアイカを妬んだ

「どんなに出来なくてもそれを応援してくれるのが親だと思ってた…!なのに否定された!私は歌手になりたかったの!!でも合唱コンクールの時に音程が外れたのをみんなにバカにされて、親にもバカにされて、金賞取れなかったのも私のせいにされて…!!まるで私の存在が否定されてるみたいで…。
だから私、あそこから逃げ出したの」

涙を流すアイカに桃は近づき、彼女を抱きしめた。

「そっか…辛かったね。大丈夫だよって言ってもらいたかったんだよね。大丈夫…大丈夫だよ」
「うぅ、うわぁあん」

号泣するアイカを抱きしめながら、桃は思った






「やっぱり。消さないと」


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