ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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日本編

今日は病院で検診です

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 昨日は、今まで停滞していた私の人生が、凄い勢いで動き始めた日でした。

 私、祥さんとシテしまいました。名実ともに大人になりましたし。プロポーズをされて、「はい。」って答えちゃって、祥さんの婚約者になりましたし。で、凄ーく身体が怠くてあちこちが痛いけど、幸せな気持ちでいます。祥さんの腕の中で目が覚めたんですもん。これで幸せじゃなかったら、変ですよね。

 時計を見ると、もうすぐ6時です。昨日行けなかった初コーヒーショップにも間に合いそうですし、祥さんに「おはようございます。」って声をかけてみました。

「…ん、おはよう。結衣子が可愛い。よしよし。」

 褒めて、頭を撫でてもらえました。私が小さい頃、してもらいたかった事を祥さんはしてくれます。私も祥さんの頭を撫でてみます。大きな猫を撫でている気分です。ふにゃっとした笑顔をしたら朝から、祥さんにバリバリ食べられましたが、7時過ぎにはアパートから出られました。

 病院の中のコーヒーショップで、私は迷った末に、クロワッサンサンドとカフェオレにして、祥さんは、コーヒーにミルクだけを入れて、サンドウィッチにしました。

 食べ終わってもまだ時間があったので、チーズケーキを追加注文してもらって、食べながら、初コーヒーショップを堪能していた私達の席まで陽太郎さんがやって来ました。

「祥、おはよう。」
「陽も、おはよう。」
「おはようございます。」

「祥にメールで教えてもらったけど、婚約したって知ったよ。お二人さん、婚約おめでとう。結衣子さんなら、俺の婚約者とも気が合いそうだし、移住したら、俺の婚約者を紹介するから。」

「あと20分で、予約時間か。」
「早めに終わらせたいなら、早く言った方がいいと思う。」

「そうするか。結衣子は食べ終わりそう?」
「少し前に食べ終わったから、移動出来るよ。」
「じゃあ、行きますか、お二人さん。」

 陽太郎さんの案内で、お医者さんの所まで案内されて、私は自己紹介をしました。

 お医者さんも渡辺姓で、渡辺一郎さんと言う名前でした。渡辺一郎さん個人の携帯の番号とメールアドレスが書いてある名刺を私と祥さんにそれぞれくれたんだけど、私は携帯を持っていないと言ったら、「珍しいね。」って言われたけれど。

「日本から移住する直前まで医者に行くような事があれば、まずは一郎さん宛にメールを送るか、電話に伝言を残して欲しい、くれぐれも他の医療機関には行かない様に。」

 私の目を見て言い聞かせるように話します。

「それに、私達は日本人とは違う所があるので、捕まって実験動物モルモットにされない様に気を付けて欲しい。どんなに些細な事でも、私(一郎さん)宛にメールを送るか、電話に伝言を残して欲しい。必ずだよ。」と念押しされました。

 捕まって実験動物モルモットにされる程なんだとビックリしているうちに、採血、検尿、レントゲンに触診、諸々の検査をしてから、私達の書いた問診表を見ながら一郎さんが確認をしました。その後、各種予防接種と成長を固定する注射を打ってから、帰宅しました。

 昨日から身体のあちこちが痛かったのに、更に注射で追い打ちをかけられた状態になった私が、ズーンと沈んでいると、祥さんから「(小声で)嬉し過ぎて昨日から調子に乗ってしまい、今朝も食べてしまって、ごめんなさい。」と謝罪が来たのでした。

「うん、あちこちが痛くてツラかったのに、注射で追い打ちをかけられて、気分が下がっちゃった。でも、後悔はしてないから。筋肉痛って久しぶりだと、ツラいんだね…。」

 痛みを堪えて、苦笑いをすると祥さんがシュンと萎れてしまいました。

「えー、そんなお二人さんに朗報です。予防注射と固定注射をしたから、医師の一郎さんから、「3日程、外を出歩るくな!」と言われたので、タクシーでの帰宅になりましたーー。」

 おどけた調子でタクシーで帰れるよと告げる陽太郎さんに「タクシーに乗った事も2回しかないんです!だから嬉しいです!」と言うと、何故か、「祥、良かったな。」って祥さんが言われていました。

 病院なので、正面玄関前にはタクシーが沢山停まっていました。先頭に停まっていたタクシーに私が先に乗り込んで、祥さんが乗り込もうとした時、「あとでメールするから、見てくれ。」と陽太郎さんに言われていました。

 タクシーに乗って、祥さんが運転手さんにアパートの場所を説明してくれたので、私は乗っているだけで楽でしたが、タクシー料金を払うつもりでいました。

 降りる時に、私がタクシー代を払おうとしたら、祥さんがカードで料金を払ってしまったので、私の出番はありませんでした…。

 アパートの部屋に入ってから、「祥さん、タクシー代は半分払います。」と申し訳なく思った私が言っても、
「元々、昨日から無理をさせていたので、タクシーで帰るつもりだったんだ。ここは私が払いたいんだ。私は男で体力は女性よりもあるし、女性の様に傷が痛くて動けないって事はないから、結衣子の方がツラくて当たり前なんだ。せめて、払わせてくれ。」

「…祥さんの言う通り、トイレに行く度に…えー、と、痛みます。出血もあって、ナプキンを当てていないと、下着や服を汚しそうで怖いです。」

「だから、今日から洗濯や掃除、食事の支度は私がするから、遠慮しないでくれ。」
「そこまでするのが普通なんですか?」

「そう。番の女性と初めてシタ時には女性が落ち着くまでの間と、女性が動けなくなるまでシタ時は、番の男性が女性に世話をしたり、家事や育児に動くのは普通というか常識なんだよ。だから、気にしないで欲しいな。」

「分かりました。私は産まれた国の常識を知らないので、祥さんが教えて下さいね。」
「ああ、もちろんだとも!…まずは、ゆっくりしていて欲しい。」

「じゃあ、布団に横になっていてもいいですか、怠くって。」
「任せておいて。家事は一通りできるから。」
「祥さん、お願いします。」

 私も疲れていたのでしょう。昼寝ならぬ夕寝をしていました。目が覚めたら、祥さんの作ったご飯を食べて、予防接種をしたのでお風呂を控えて、2人して早寝をしました。 
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