ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

ある意味、予想通りの場所に着きました

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 陽太郎さんの代わりに、魔力を提供する人が来て10分位した後に、「異界渡りの偽装と書き換えが出来た。移動する。」と、一郎さんが言ってきた。

 マミ姉さん(加奈さん)は、マスクをしている所だった。

「ブレスレットからマスクを出して、マスクで消臭する様に魔法をかけたの。これなら、大分マシになりそう。」

 マミ姉さん(加奈さん)の言う事を聞いていたら、動物園で狼の展示の前に行くと犬臭かった事を思い出してしまった。ああ、そうだ、私も犬はずーっと苦手だったし、近くに寄って来られるのも嫌だったな、と。

 それに今は、苦手な臭いが周りでしているような気がしていた状態から、苦手な臭いがしていて嫌だ!に変化してしまった。臭くて顔をしかめたら、マミ姉さん(加奈さん)がマスクを1枚くれました。

 その場で、すぐに消臭する魔法の仕方を教えてもらい、私もマスクで消臭する様に魔法をかけました。必死だったからなのか、魔法は1度で成功しましたよ…。

 私、マスクを荷物へ入れたっけ?3日間はマスクが必要になるよね。どうしよう…。

「くくくっ、ミサも犬はダメだったね。臭いのが我慢出来ないんだね。」一郎さんと一緒に私達の側へ戻って来ていた祥さんが笑って言うもんだから、反論したくて、マスクをずらして鼻を押さえて話す。
「(くぐもった声で。)仕方ないじゃない。我慢出来ない程、嫌いな臭いなんだもの。」

 それだけ言ったら、急いでマスクをつけた。意識したら、我慢出来ない位、ダメな臭いだった…。うう、臭い。

「陽から渡されたブローチを2人共、付けているなら、それでいい。ミサさん、祖母からのプレゼントで形見だと話して、他人には絶対触れさせない様にして欲しい。マミは臭いの原因元に行くから、悪阻で一杯一杯になると思う。聞けば答えるけど、当てには出来なくなると思って欲しい。」

 マスクをしているので、頷くだけにした。私が、悪阻で具合の悪いマミ姉さん(加奈さん)を守る妹なんだと強く思って、ボロが出ない様に自分にも言いきかせるように、ぶつぶつと呟いて反芻した。

「じゃあ、異界渡りの地点へ移動して、異界渡りをする。」一郎さんが言った。
「2人は手を繋いで、離れない様にしてくれ。」祥さんが私とマミ姉さん(加奈さん)に言った。

 お手伝いをしてくれた男性陣総勢8人(そんなに居たんだ!って思ったけど)は、日本での下準備やら本国との連絡をになったりするそうです。異界渡りをする私達5人に皆さん、手を振って見送ってくれました。

 先頭を歩いていた陽太郎さんが歩いて歪んだ地点に近付いて行くと、フッとその姿が消えました。

 怖くなって立ち止まった私と、その手を繋いでいたマミ姉さん(加奈さん)は、一緒に立ち止まってくれました。

「さぁ、行こう。潮目が変わると知らない世界に飛ばされる。本国へ移動するなら、今の潮目に乗るしかないんだ。ミサ、行くんだ。二度と会えなくなる訳じゃない。勇気を出して!」

 祥さんが叱咤激励してくれた。

「…行きます。」

 怖いけど、1人じゃない。私はマミ姉さん(加奈さん)と一緒に祥さんの居る国へ帰るんだ。

 1歩、1歩、歩いて移動する。私の横には祥さんが、マミ姉さん(加奈さん)の横には一郎さんがいる。4人で、歪んだ地点に入ったと思った瞬間、加奈さんが、強く手を握ってくれたので、私も手を握り返した。

 ふわふわ浮いている感じが治まると、地面の上に立っていた。周りを見回すと、知らない森?林?と、平地の切れ目に立っていました。

 はっ!と気付いて、手を繋いでいた筈のマミ姉さん(加奈さん)を探す。私の斜め後ろで、うずくまっていた。

 はぁーーー、マミ姉さん(加奈さん)が一緒でよかったーー。

「マミ姉さん(加奈さん)、大丈夫?」
「…ええ、何とか。ふわふわな感じに酔ったみたい。今までは何ともなかったのにね、…やっぱり犬臭いわ。」
「それじゃあ、私達、予想通りの場所に着いたんですか?」
「そうみたい。王城の様な、犬臭さマックスの場所だったら、着いた途端に盛大に吐いてたかも、ね…。」

 うわぁー!私はなった事がないけど、噂に聞く二日酔いより酷そうで、マミ姉さん(加奈さん)がツラそうだ。

 「着いたら、スカーフを外して、誰に話しかけられても知らんぷりしていて欲しい。マミさん(加奈さん)とはぐれないように。どんな状況でもだ。親切に見えても、詐欺や強盗はいるから。祥と俺とで話したよね、着いたばかりの者を狙うって。」と、陽太郎さんの話していた事を頭の中に思い出していた。

「マミ姉さん(加奈さん)、スカーフを外して、耳が出ても大丈夫な様に頭に被りましょう。」

 私がそう言うと、マミ姉さん(加奈さん)がノロノロとスカーフを外したので、スカーフを受け取り、耳が出ても大丈夫な様にと、頭に被せてスカーフの端を顎の下で縛った。私も、マミ姉さん(加奈さん)と同じ様にした。

 迎えが来るだろうとその場に居る事にしたけど、マミ姉さん(加奈さん)を座らせたくて、周りを見回した。さっきは気付かなかった木の切り株が見えた。あそこなら、マミ姉さん(加奈さん)も座れるだろうと声をかける。

「マミ姉さん(加奈さん)、あそこに木の切り株があるわ。あっちで座りましょう。」
「…ええ、歩くのも辛いわ、ミサ、お願い。」

 マミ姉さん(加奈さん)を支えながら歩いて、思っていたよりも大きな木の切り株だったので、2人で座っていた。町外れだからだろうが、人がいない。見掛けないと言った方が正しいかもしれない。そうして、1時間ぐらい座っていただろうか、遠くから、何かの音がした。こちらに近付いて来るようだ。

「…多分、この音は、こちらに向かって馬車が近付いているからしているのだと思うわ。」
「馬車ですか、車とかはないんですか?」
「自然を維持するのに、この世界は馬車を選択したの。車みたいに排気ガスもないでしょ。」
「言われて見れば、そうですね。自然に厳しい車じゃダメな理由が分かりました。後でメモします。」
「今はメモしない方がいいわね。さてと、迎えの馬車は何処のかしら。」
「王城からではないんですか?」
「分からないわ。私が知っている事で今の状況を考えてみたら、心当たりが2、3あるの。」
「2,3あるって?」
「まずは1つ目、王城から王の使者が来る。2つ目、王の番の公爵家令嬢が情報を知って、私達を王よりも早く確保しに来る。3つ目、それ以外の勢力からの馬車。王よりも公爵令嬢よりも私達を手に入れて何かしらの有利性が見込める所から、ってとこでしょう。そうね、王城は犬臭さマックスだから、私はそれ以外が希望かな。」

 へ?って私が呆気にとられている間に、マミ姉さん(加奈さん)が飄々と話す内容に驚いた。

「えーと、私には状況が飲み込めないんですが…。」
「ミサ、そういう時は姉さんに任せなさい。いちが心配する程、酷くはないの。ただ、波があるのよ。キッカケがなければ、大丈夫なの。試しにマスクをずらしてみる?」
「好奇心はありますが…、確認するだけですよね。」

 そう言って2人してマスクをずらして確認してみると、異臭状態で涙目になるレベルだった。急いでマスクを装着し直して、涙を拭いた。マミ姉さん(加奈さん)は悪阻が起きてしまい、顔色が悪くなってしまった。

 そうして、チャレンジャー過ぎた自分達を2人して反省して、マスクand消臭魔法の偉大さをひしひしと体感した2人でした…。
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