ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

滞在延長と2人の喧嘩

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 夕方になって、3人が部屋を訪れてきました。カーナさんは姿が見えない私の様子を見に来てくれて、一郎さんと陽太郎さんは、祥さんに話があったそうです。

 一郎さんが今朝早く、国に連絡をした所、公式に3日間滞在延長を告げられたそうです。延長についても、もう官僚間では両国での調整も出来ていると言われたと、祥さんや陽太郎さんに話していました。

 私は、心配してくれたカーナさんを見て、涙が出ました。

「祥!!ユーイの身体の事も考えずに抱いたわね!可哀想に、夕方になっても動けずに、泣いているわ!大事な番に何してんのよっ!」
「え、その、…。」

 祥さんは、カーナさんに聞かれても、言葉が出てきてません。でも、私の味方であるカーナさんが部屋に居るうちに、伝えたいから。

「…イヤって言ったのに、今夜もするって言うから、祥さんとは口もききたくない。」

 カーナさんの微笑んでいた顔が、だんだん真顔になって、しまいには般若のお面の様な顔になりました。

「なんて馬鹿っ!!祥!!説教よ!!前にもよーく説明した筈だわよねぇ。忘れたのかしら?!ああん?!」
「でもな、カーナ。」

 カーナさんに向かって祥さんをかばおうとしていた一郎さんが、バッサリと言葉で切られました。

「おだまりっ!!いちにも身に覚えがあるわよね!!そこで黙ってなさいっ!!」
「…はい。」

 カーナさん、強し。

「陽もまさか番に無理強いをしてないでしょうね!」
「い、いえ、滅相もない…。」
「怪しいわね。戻ったら、専属侍医と番に聞いてあげるわ。」二ヤーッと加奈さんが笑っていました。
「あの、その、」

 陽太郎さんが、言葉を発せなく、戸惑っています。

「そこに3人並びなさい!!!」カーナさんが言ったら、3人が横一列に並んで、正座で座りました。

 あ、これは、過去にも何度か、やらかして、カーナさんに本気で怒られているから、その条件反射なんだな、きっと。

 そこから、3人は説教されました。最後に「祥!あなたの大丈夫は、ちっとも大丈夫じゃないから!今夜は陽と一緒よ!2人で番に謝罪しながら、反省なさい!私はユーイと一緒に寝るわ!!いちも、私に子供が居なかったら、同じ目に合わせてたでしょうから、一人で反省なさい!!はい!解散!!」

 3人は萎れたまま、私とカーナさんが居る部屋から出ていきました。

「もしかして、水しか飲ませてもらってないの?」

 私が頷くと、メイドに言って、スープとパンを用意させてくれました。ぎこちなく起きあがった私を見て、ワーオランドーラに滞在中は祥からの誘いに乗らない様にと注意されてしまいました。

「ここまで酷いのはツライでしょうから、今夜から私と同室でいい?」

 私が頷くと、「声も出すのがツラいほど、抱き潰したのね。まったく。まずはスープとパンを食べて、ひたすら眠って身体を回復させてね。」

 了承の意を込めて、頷いた。それからパンとスープをおかわりして食べてから、カーナさんと話して、用品について教えてもらえました。

 時々、3人が代わるがわる様子を見に来たけど、カーナさんがキッ!と睨むと、それぞれ用意されている部屋へ帰って行ったようです。

「ジャンヌ様は、王様が流石に年齢を重ねているからか、年の功で加減されていて、元気に蜜月してるって、ここの侍医から聞いたわ。私も日本では女医だったから、気になって聞いちゃったのよ。」
「いいなぁ、ジャンヌ様。」
「ほんと、ヘタレでも今まで我慢出来た上に、自制心があって分別の付く大人で羨ましいわ。いいなぁ。」

 2人して、溜め息をついてしまった。

「悪気があるんじゃないんだけど、困るわよね。」
「…ええ。悪気がない分、無神経に感じてしまうんで、祥さんをそれで嫌いになったら、どうしようって考えちゃって…。」
「あー、分かるわー、それ。私ももう!って切れそうになっていたら、妊娠ですもの。この行き場のない怒りをどうしろと?!って、しばらくは悩んだの。でもね、ワーオランドーラに来て、考える時間が出来て良かったわ。」
「…だからですか、少しだけ、嬉しそうでなく悲しそうに見えたのは。」
「ユーイにはバレちゃってたわね。同じ女性だからかしら。ユーイの世話を焼いていたから、気が紛れたの。でなければ、いちに「別居しましょう!!」って、怒鳴っていたわね。多分。」

 カーナさんも一郎さんも色々あるんだ。

「陽太郎さんの番も私みたいに悩んでないといいんですけど。」
「ああ、ありえそうね。でも、陽の婚約者は両方の母親に相談しているわよ。きっと。」
「で、愚痴の言い合いしてそうですね。」
「そうかもね。父親の愚痴を零してそう。ふふっ。私も、朝方近くまでしつこかったから、眠いわ。スープとパンを食べてから寝るわね。」
「はい。」

*****(この会話をブローチで聞いていた3人は)*****

「うわ!水しか飲ませてないの?」
「…面目ない…。」
「俺に謝ったって仕方ないじゃんか。」
「祥、それは酷過ぎだぞ。」
「一兄はどうやって、セーブしているんだい?」
「あんまりしつこいと、身体を蹴られる。」
「「うわー!!こわー!!」」

 用品の説明をきいて、どう使うか考える3人。りていない様だ。

「ジャンヌ様は、王様が流石に年齢を重ねているからか、年の功で加減されていて、元気に蜜月してるって、侍医から聞いたわ。私も日本では女医だったから、気になって聞いちゃったのよ。」
「いいなぁ、ジャンヌ様。」
「ほんと、ヘタレでも今まで我慢出来た上に、自制心があって分別の付く大人で羨ましいわ。いいなぁ。」

 2人して溜め息をついていたのが、ブローチから聞こえて来た。

「ヘタレって、忍耐力があるんだな。」
「羨ましがられてる。ヤバい。」
「カーナもか…。」
「大人か、俺には無理だな。」
「私も無理。」
「同じく。」

 会話を聞いていると、「嫌い」とか「別居」とかのマズそうな言葉が聞こえた。

「…嫌われる危険まであるのか!」
「べ、べ、別居!…(ズーンと沈んだようだ。)子供達に救われたんだ!でも、でも。」
「陽、おまえも危ないかも、な…。」
「(サーッと血の気が引く音。顔色が青い。)心当たりが…。ここへ来る直前に、母親達に生温い視線を向けられていた…。まさか…。」

 3者3様で、落ち込むのであった。

「一人じゃ寂しいから、私もベッドを運び込んでもらって、一緒の部屋にいていいか?」
「一兄ならいいよ、俺も気を付けないと何を言われているか分かんないな。」

「祥、カーナが付いていたのに、あの宰相補佐にヤキモチを妬いて暴走するなよ、な。」
「だって、私のユーイが…。」

「惚れられるほど、良い女ってことじゃんか。俺なら、自慢になる。」
「陽、実際は自慢になんかならないぞ。一昨日、獅子国から密書が届くまで、私は機会があれば青水仙を殺そうと思っていたんだ。」
「一兄の気持が分かるよ、私だって王太子として、感情を表に出さない訓練をしていたんだ。それがユーイには通用しないんだ。」
「…わっかりたくねーな、その気持ち。」

「今も、部屋の外でユーイとカーナさんの護衛をしながら、2人の会話を聞いて、宰相補佐のロック殿がほくそ笑んでいる気がする。」

「横取りは出来ない。ユーイさんは祥の番だから。他国の王族の番で婚約者なんだ。ユーイさんは祥を好きでいるし、身体も許している。どんなに望んでも、ユーイさんは一途に祥をしたっているから悩むんだ。どうでもよかったら、あんなに悩まない。無関心でいる筈だ。犬嫌いなユーイさんは、あの男には惚れない。犬だから。」

「ごめん。一兄の言っている事は理屈としては理解出来るんだけど、感情が荒れ狂うんだ。」

「分かるさ。でもな、そうでもしないと、愛し過ぎて、番を殺してしまう男もいるんだ。失くしたくないなら、屁理屈でもいいから、事実を確認しろ。」

「ま、3人で頭を冷静にしますか。俺も、国に帰ったら、婚約者に謝り倒さないと、なぁ。」

 3人で溜め息をついた。

「あの分じゃ、明日もユーイさんは回復出来ないでしょう。カーナが一緒だからいいとして、明日は、茶屋のあった場所でも、ワーオランドーラの役人と一緒に検証でもしましょうか。」
「そうしますか。」
「俺は護衛だから、当然付いて行くわ。」
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