ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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異界渡り(ワーオランドーラ国)編

お祝いの会の準備をします2

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 出来上がった塩唐揚げに醤油味の唐揚げ、肉と野菜の串焼き、焼きお握り2種、ポテトサラダ、根菜をたっぷり使った肉じゃが風煮物、それらをキロ単位で作り上げました…。なんでも、親睦を兼ねて私の料理を振舞って欲しいとジャンヌ様からのお願いをされていたからです。

「あのね、ユーイ様、わたくし、ユーイ様の作る料理が沢山食べたいの。」
「私の料理を?」
「結婚式が終わった後のルー家で行われるお祝いの会で、一杯作って出して欲しいの。でないと、しばらく食べられないでしょ。」
「ユーイ様、私も手伝うから。ジャンヌ様のお願いを叶えましょ、ね。」
「そうですね、材料があれば。カーナ様が手伝って下さるなら、お祝いだし、作ります。」
「結婚式後の初夜に備えて栄養をつけたかったから、嬉しいわ。ありがとう、ユーイ様、カーナ様。」
 なーんて、控室で話してたんです。理由が可愛くなかったですけどね。

 はぁー、着慣れないドレスなんかを着たからかなー、疲れたー。それでもまだ、カーナさんの提案で、残っていた材料を使って、ぶり大根と角煮を作っている最中です。

 まだ肉もたっぷりとあるし、野菜が結構残ってるなー、材料を余らせたくないから、どう使おうかな。

「ユーイ様、お屋敷でも料理を大量に作っていますので、今、お作りになっている分までで大丈夫かと思います。」

 そうだった、お屋敷の厨房ではご馳走が作られてるんだった。食費が浮くから、余った材料はお言葉に甘えて持って帰ろう。ふぅ、味見をしたら余計にお腹が空いたなー。少しでいいから、ここで毒味を兼ねて試食したいなぁ。その前に、魔法で状態維持をしてあるから、お皿を出して、ブレスレットに少量ずつ、しまわなくちゃ。

 いそいそと、カーナさんを立ち合いにして、ブレスレットへ料理を入れていく。余った材料も入れていった。出来上がったばかりの角煮と、ぶり大根に状態維持魔法をかけて、少量取り分けてから、ブレスレットへ入れました。

「あの、作っていて味見をしたら、お腹が空いたんですけど、毒見を兼ねた試食を少量だけしませんか。カーナさん、ダメかな?」
「そーね。美味しそうな匂いだったから、お腹が空いたわ。少しだけ食べましようか。」
「さんせーい!!」
「いいですね。毒味と言う名の試食をしましょう。」

 毒味と言う理由付けをした試食で、多めに作っていた料理が少しだけ減りました。でも、まだまだ沢山ありますから。

 護衛の2人は表立って、お祝いの会でも護衛として食べられないそうです。お祝いの会が始まる前か、終わった後でしか料理を食べられないそうです。なるほど、毒味という試食に賛成してくれたわけですね。実際、ロックさんは毒味がメインで、マシロさんは試食がメインだった気がします。

 出来上がった料理は、ロックさんがマシロさんを立ち合いにして、ロックさんのブレスレットに入れていました。毒を入れられない様にする為だそうです。その間に、カーナさんと洗い物をしています。洗い終わった物は、カーナさんが風魔法と火魔法を使って、温風で乾かしてくれました。

 冷蔵庫の中を空にしたつもりが、まだ、抹茶を使ったパウンドケーキが一番奥に入っていました。

「カーナさん、抹茶のパウンドケーキがあったんだけど、どうしようかなって。」
「そうね、どうしたらいいかしら。」

 マシロさんが手を上げて、飛び跳ねています。

「はい、はーい!私とロック殿に護衛のお駄賃として、くれませんかー!」
「私からもお願いします。」

 ロックさんにも言われてしまった。

「そんな物で良いんですか。お礼になってないような気がしますけど。」
「ユーイ、いいんじゃない。充分なお礼になっているわ。」
「カーナさんが言うなら、大丈夫なんでしょう。はい、状態維持魔法をかけてありますが、元々、余り日持ちしない物なんです。クリームを使ったケーキみたいに、当日に食べないとダメなモノではないんですが、早めに食べて下さいね。」

 お礼になるなら…と了承したけど、素人の手作りだし、早めに食べて欲しい事を伝えてから、2人にパウンドケーキを手渡しました。2人は荷物にならない様にと、自分達のそれぞれのブレスレットに入れていました。

 片付けも終わったし、料理もロックさんのブレスレットの中だし、冷蔵庫の中もカーナさんの魔法で綺麗になりましたし、ここでする事が無くなりました。

「ユーイ、ここでする事が終わったのだから、着替えに行きましょう。もう少し、お洒落なモノに着替えないと。」
「え、また着替えるんですか。」
「貴族のたしなみよ。」

 そうだよね、料理をしてそのままじゃダメだよね。祥さんの立場もあるんだよね。

「はい、祥さんの立場もありますしね。カーナさん、服を選んでもらえますか。」
「いいわよ。男共に選ばせると、凄ーく地味で目立たないモノを選ぶからねー。」

「では、お部屋の前までの護衛を致します。」
「護衛致します。」

 2人に護衛してもらいつつ、部屋に戻りました。
「油や調味料、食べ物の匂いがしているから、シャワーを浴びた方がいいわ。でないと、美味しそうって私達が食べられると思うわ。ええと、服はこれでいいんじゃないかしら。靴はこれ、アクセサリーは指輪とブレスレットがあれば、なくていいと思うわ。それから、メイドに頼んで、髪を編み込みしてもらってね。噛み痕で番持ちって、酔っ払いにも一目で分かるように、分かり易くしておいて。余計な嫉妬は買わないようにね。」

 うわ!恐ろしい事を!

「はい!編み込みですね!」
「それと、祥にキスしてもらっておいて。他の男を寄せ付けないように、匂い付けをしてもらって。犬は鼻が良いから、男避けになるわ。」
「はい!カーナさん!」
「じゃ、私も危ないから、シャワーを浴びるわ。ユーイも早く入った方がいいわ。」
「ありがとうございました!」
「番の事を知らないから、ユーイは、私に遠慮せずに聞いていいのよ。じゃあ、後で。」

 カーナさんの言う通りなら、早くお風呂へ入らなくちゃ!

 急いで、シャワーを浴びに浴室へ入りました。シャワーを浴びていると、バタンと部屋のドアを開閉する音がしたので、祥さんが戻って来たようです。危なかったー。今、食べられたら、お祝いの会に出れなくなっちゃうよ。

 カーナさんから毎日少しづつ教えてもらった魔法の、風魔法で髪を乾かしてから部屋に戻ると、祥さんがお茶を飲んでいました。

「祥さん!餡子か抹茶のお茶菓子を食べませんか?」
「結依が作ったの?」
「そう!祥さんに食べて欲しくて、ブレスレットに色々沢山作ってから、沢山入れておいたの!」

 祥さんがニコニコ笑顔です。作って、ブレスレットに入れた物を祥さんに言っていきました。増々、笑顔になっています。勝手に料理したから、祥さんに怒られると思ったけど、友達に差し入れしたくて作ったんですと話したら、頭を撫でられました。

「結依は正直で良いね。離れていた間も、私の事も沢山考えていてくれたんだ。」
「差し入れは半分口実で、あとの半分はこっちで作った物を祥さんに食べてもらいたかったから。ラノベとかだと、貴族のご令嬢は厨房へ入らないから、もしかして…って思ったの。」
「そうか。あっちでは、2人で作ったりしていたからね、そうか、お礼は何が良い?」
「ええと、お礼は要らないけど、匂い付けに、キスして欲しい。」
「じゃあ、結依の作った物を食べる前に、結依を味見しようか。」
「…はい。」

 匂い付けは30分もかかりました…。

 祥さんのリクエストで、羊羹と、抹茶と栗のパウンドケーキと、塩唐揚げと醤油味の唐揚げを少しだけ出してから、私は呼びだしたメイドさんに髪を編み込んでもらい、薄化粧をしてもらいました。

 祥さんは「どれも美味しいよ。緑茶とご飯が欲しくなるね。国に帰ったら、ご飯を炊いて、2人で食べよう。」って言ってくれました。胃袋から、男性を掴めとカーナさんが力説していた訳が少しだけ理解出来ました。
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