ある日、私の頭に耳が生えました

巻乃

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獅子国編

白虹の留学1

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 白虹は異界渡りをして、わずらわしい人間関係をスッキリ出来た事に満足していた。

 窮屈で周りが五月蠅くて決まりも沢山あって、自分で何一つ決められないし自由時間なんて存在しない皇女なんて、いつかは本気で辞めたいと思っていたので、異界渡りで留学になったのは、白虹にとっては渡りに船だったのだ。

「白星、あなたを逃がせなくてごめんなさいね。身体の弱い男子を女子として育てるって獅子国の慣習、何の意味もなかったのに何も出来なかったわ。幼い私ではどうにもならなかったの。

 お父様もお爺様も私が馬鹿だって思い込んでくれていたから、助かったわ。これでもう馬鹿の振りをしなくて済むのね。あれは結構、精神的に疲れるから好きじゃなかったわ。」

 宰相白角もとい、お父様は、私が暮らすのに不自由しない様に最低限、用意してくれたペントハウスであったけれど、最初に見た時は、生活していた宮より遥かに小さかったのには驚いたわ。
 でも、何もかもコンパクトで無駄がない家を気に入ったの。それに、留学経験のある青水仙を護衛兼ブレイン替わりに連れて来れたので、何も知らない私は助かったと思っているわ。

 でも、でも、異界渡りをする前に青水仙がお父様の思惑を探って辿りついた、二度と帰れないし、寿命も操作されて、人間として生きるしかないと決められている片道だって知って、泣いたわ。そこで、いいわ、こっちからあんな場所を捨ててやるって開き直ったの。

 そこで、私達は移住した国で結婚相手を見つけて幸せになってやるって決めて、守れるようにと獅子国で魔法の契約をしたわ。命を懸けて、幸せになってやるって!

『互いに人間の寿命分しか生きられない様にされるなら、人生のパートナーとして気に入る相手を見つけて、あっちで暮らして行こう。どうせ、獅子国には帰れないのだから。』と言った、青水仙当人がそれを守っていないの!って、どういう事?!

 異界渡りをして、3ヵ月はこっちの世界の常識や生活に慣れる為にと、色々な人から色々な事を習ったわ。
 その後、ハイスクールに転入してすぐ、沢山の男性にメッセージやプレゼントをもらったし、「彼女になって。」って何人かに申し込まれたのに、青水仙が全て断ってしまったのよ!私も素敵だわって思っていた方が何人かいらしたのにも関わらず!

「ブレインとしては、認められません。
 一夜の相手としてからポイ捨てするつもりでいる男共の匂いが臭過ぎます。白虹さん(様付けは対等でないと断ったので、お互い、さん付けで呼んでいるわ。)を狙っているだけで下心丸出しです。警戒心が無さ過ぎます。」

「どうしたらいいのよ!」ってキレた私に、青水仙は言ったの。

「相手の中身と経済力も見ないと、失敗するでしょう?白虹さんは、食べるのにも困るような相手と結婚するつもりなのでしょうか?」

 悔しいけれど、青水仙の言う事は正しいって分かっています、色狂いや暴力を振るう相手、借金のある相手も嫌ですわ。

「分かりました。まずは、お友達から始めるのですね。この本に書いてあった通りに。」

「そうです。こちらには、この手のマニュアル本が多々ありますが、嘘を本当に見せかけて書いたモノもあるので、マニュアル本を買う時は、内容を比較検討してから購入するのが良いでしょう。」

「便利だわ、マニュアル本って。これが無かったら、知らないことだらけで迷ってしまいますもの。」

「では、私は今夜の懇親会の用意をしてきます。」

「私も学校で頑張るから、青水仙さんも良い相手を見つけて下さいね。」

 青水仙は苦笑いをして、仕方がないって顔をしてから、

「女性はどなたも個性的で綺麗ですが、あの化粧臭いのが私の鼻にはツラいです。ですが、今夜も相手探しをする為に参加してきます。」

「媚薬とか薬物を無効化する魔道具が獅子国から定期的に送られて来ているから、身に着けれるのは助かるけれど、一応、媚薬や睡眠薬には気を付けて。」

「何で皆さん、先に既成事実を作ろうとするのでしょう?まずはお付き合いから始めたいのに。

 匂いが苦手な相手とはつがいたくないです。お付き合いをしてから、大丈夫かどうかをすり合わせたいんですが、分かって下さらない女性が多くて困ります。」

 青水仙も溜め息を吐いているけれど、私も自分の相手を見つけなければならないわ。

「私はハイスクールの課題を片付けてから、何か適当に食べて寝るわ。明日も学校があるの。」

「朝はいつもの時間に声をかけますので、それまでには帰宅します。」

「ええ、お願いしますわ。」

 私、朝、起きるのが苦手なの。こっちに来るまでは、メイドが起こしてくれていたから気付かなかったんだけど。

 慌てて買った大きな音で起こす時計を幾つも無意識の魔法で壊しているから、それを見て呆れた青水仙が起こしてくれる様になったのよ。

 今夜、青水仙に相応しい相手が見付かればいいんだけど。

 こっちに来る前、お父様が自分の欲望を叶える為だけに、私と青水仙を追い出すつもりだって気付いていた青水仙。
 カーナ様が懐妊してナーオ・ロウへ戻って来ると言う噂を聞いたそうよ。それで、カーナ様を諦める為にと最後に一目見るつもりでお茶屋で働いて待っていたのに、そこで夫と仲が良い所を見せられたうえ、派手に振られたって話してくれたわね。

 私はまだ誰も好きになった事がなかったから気楽だけれど、青水仙は好きだった婚約者に番が見付かって、その婚約を破棄されたんですもの、ツラかったんだろうなって想像出来ますわ。

 このコミック各種を読破した私には!

 まさか、恋愛や結婚について書いてある本の中に、絵で分かり易く解説されているコミックと言う物があるって知らなかったの!もう、コミックなしでは生きられないのよ!特にロマンスが沢山のコミックが私の中ではブームになっているの!

 それよりも、今、私がすべきなのは宿題と課題だわ!学歴がないと生活するのにも結婚するのにも苦労が付きまとうって書いてありましたもの!

 そうやって、宿題と課題を済ませた私は、青水仙が出掛けるのを見送ってから、電子レンジで温めた冷凍食品を食べて眠りました。
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